鬼滅の刃 読了の感想

 ※以下ネタバレ注意です

ジャンプコミックスは以前から超人気の大作をいくつも生み出してきた。ワンピース、ナルト、銀魂等々。そして2017年から連載を始め、映画版は千と千尋の神隠しをしのぎ売上第一位を誇った鬼滅の刃。 私はアニメ1期を見た後、劇場版の無限列車編を鑑賞し、最後に単行本の鬼滅の刃を読んだ。アニメや映画とのギャップ、なぜここまで売れたのか、様々な考察を含めながら、感想を述べていきたいと思う。

 単行本を読んでまず感じたことだが、正直言って絵はそんなにきれいだと感じなかった。と、いうよりも、アニメの作画、背景があまりにもきれいすぎたこともあるだろう。アニメの作画、背景は素晴らしかった。1期の一番最初の場面。炭治郎が禰豆子を背負って雪が積もった山の中を歩くシーン。雪に覆われた世界、木々の枝は、炭治郎の白い息など細部にわたってそのこだわりが見て取れた。その期待のまま単行本のほうを読んだからかもしれない。しかし、鬼滅の素晴らしいところは、そのキャラのバリエーション。正直言って柱たちは全員嫌いだった(禰豆子をめぐる一件で)。煉獄さんももちろんだ。みんな、禰豆子に対してあたりきつくないか…。鬼に身内を殺された人もいる中で仕方ないとは思うが。ちょっとは炭治郎の話も聞きなさいよと憤りを感じた。しかし、無限列車編でまず煉獄さんの好感度が跳ね上がった。そして、それ以降柱の人物描写は単行本でも最後まで質が落ちることなく、丁寧にされていたように思う。それぞれにそれぞれの背景がある。そして、この漫画のもう一点着目したいところは、柱や鬼滅隊などの炭治郎サイドだけでなく、鬼側の背景もしっかりととらえていることである。最後姿が崩れ消えていくその一瞬に、鬼たちの悲しい過去が語られる。敵側にも同情の余地を与えているのである。

 そして、この漫画のかなめとなるのが鬼舞辻無惨だろう。無惨は謎が多い男である。それでいて、彼に対する恐怖心はとても強い。彼についてあまり語られてはいないが彼がとてもヤバイ存在であることは作中のキャラクターたちも我々読者の共通の認識を持っている。なぜ彼のことをそんなに知らないのにも関わらず、彼が脅威だと感じるのか。それは、1000年もの間彼を倒せなかったという過去と、ほかの鬼たちから感じる無惨への畏怖である。鬼たちが無惨に付き従うのは、何をやっても無惨から逃れられないその恐怖からだ。彼らは強くなければ消される。そして、強くなるには無惨に気に入られ、その血を体内に取り入れなければならない。序盤、あまり語られないにもかかわらず、無惨に対する恐怖心が募るのはそういった様々な背景があるからだろう。

 このようにキャラクターの描写が非常に豊かで、それはない面だけでなく外見もである。ちなみに私は天元様が最推しである。禰豆子をめぐる話ではあまり好きではなかったし、なんだこいつといった感じであった。しかし、彼の命の比重。嫁が一番。3人もの嫁を持ち、それでいて印象が全く悪くならない。さらにその美貌。派手好きでなければ普通に人気ランキング上位にのめりこんでいたのではないだろうか。まあ、その派手好きもまた良いのだが。鬼滅のキャラクターたちはかき分けもとても丁寧であるので、多少作画が乱れても、誰が誰だということにはならないと気付いた。伊黒さんと義勇さんはたまに見間違えたが。あそこまで、キャラクターの見た目にバリエーションを持たせるのはやはり作者の腕があっての物だろう。

 ここまで、鬼滅の魅力について語ってきたのだが、さてさて本題はなぜここまで売れたのかということである。大体の漫画がアニメ化をきっかけにして売れる。鬼滅も売れ始めの原因はアニメ化だったように思う。そしてそのアニメが大成功し、、、といった感じだろう。アニメだと、炭治郎はよく自分を自分で励ましていたり、思ったことをそのまま口に出していったりする。はじめは炭治郎が少しうるさいという印象だったが単行本で読んでみると、なるほどかえって彼の心理状況が分かりやすく、感情移入しやすいのである。また、この漫画にはナレーションという立場が存在した。定期的に表れ(セリフの形であるが)、今後の展望や今の状況がどのように後に影響するのかを解説してくれるのである。炭治郎のセリフとナレーションの両方が合わさることで、情報量が多い場面でもとても分かりやすく、なおかつ感情移入がしやすかった。そこで、少し重い内容を含むにも関わらず、広い年齢層に好かれたということが、この売り上げの一因なのではないかと思う。このわかりやすさのおかげで、私は鬼滅全23巻を一日で読破してしまった。(読後は謎の高揚感と達成感に満ち溢れていた。)また、もう一つ売れた理由としてはやはりキャラクターの個性が豊かな点だろう。様々なキャラクター、多種多様な背景に多種多様な戦い方。読者を飽きさせないのである。戦闘シーンはくぎ付け必至であった。この戦況をどのようにくりぬけるのだろうか、そんな思いで最後まで駆け抜けたという印象だ。

 以上、ダダっと鬼滅の刃読了の感想を述べてみた。勢いのまま書いた文章であり、読みにくい点も多々あった方と思うが、ここまで読んでくださりありがとうございます。今後も、映像化がまたあるかもしれないしまだまだ期待がやまない鬼滅です。

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