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《母、内緒.》

 母の日にちなみ、本日はわたしの「お母さん」のご紹介を。こう感じていることは、ご本人たちには内緒の、半年前に出逢った6名の女性たちだ。

 「完璧な女性」と皆さんが認めるNさん。小柄な上に腰がほんのり曲がっていらっしゃるため、可憐な印象を持つ彼女だけれど、お料理、お菓子づくり、書、お花とすべてが堪能だそう。わたしの質問にも毎回丁寧に答えてくださる。

 続いて、Hさん。まとめ役として、いつもてきぱきと動いてくださる彼女。華やかな見た目に、高くお上品な声。わたしの名前を呼ぶときにも「様」をつけてくださる謙虚さにもはっとさせられて。

 「まなさんがいると明るくなる。」「立ち姿勢も、座り姿勢もきれい。」と事あるごとに褒めてくださるYさんは、他のお母さま方よりお若いため、Hさんの手の回らないことのすべてを嫌な顔一つせず担ってくださっている。

 そして、Kさん。背が高くて、物静か。それでも、間違いを目にすると、すっとわたしの着物に手を伸ばし、首を横にふり、正してくださる。笑った時の優しい目元も印象的で。

 お庭に小川が流れるお屋敷にお住まいのOさん。おっとりされている上に、忘れっぽさも可愛らしくて。それでも、あみだくじを引けば一等を当て、他の方が苦戦することも初見でこなしてしまう強運の持ち主だ。

 「初々しいわね。」とよくおっしゃってくださるのはIさん。30半ばになるとこの言葉を頂戴することはめったにない。かく言うIさんは、堂々とした風格と艶っぽさをあわせ持つ。年始にいただいた年賀状は、額に入れて飾りたいほど、達筆でもいらっしゃった。


 この「お母さん」たちというのは、茶道の先輩方だ。平日に丸一日かけて行なわれるお稽古のため、参加されているのは、子育てがひと段落した母世代の方ばかり。

 そのような彼女たちとの出逢いはあまりに嬉しいものだった。「茶の湯」の世界を毎度、ただ無邪気に愉しむことができているのは、お母さんたちがわたしをうんと子どもに戻してくれるからにほかならない。

 日常は、祖母の介護にあたっているせいか「わたしがしっかりしなくては」という頭でいることが多いようなのだ。それに加え、母はどこか少女のような人なので、これまた「しっかりせねば」と思うことは増える。


 
 まるでお母さんのような存在ができたこと。思いがけず、いっぺんに6名もできたことは大きな歓びだ。

 今日はこの素敵な「お母さん」たちに、その出逢いに感謝したい。そして、姉妹のようにいつも遊びに付き合ってくれる実の母にも「ありがとう。」と言いたい。

 


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