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宝石箱

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エッセイ集。大切な瞬間を収めています。
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#旅する日本語

《朱色と輝く青.》

 祖母との旅は、久しぶりだった。 九十を過ぎた彼女と出かけることは「もう難しい」といつか…

《虹色の秋.》

 旅先でみられると嬉しい「虹」。その美しさと偶然性には、旅の気分をうんと盛り上げてもらえ…

《眠り猫の顔.》

 温泉は苦手なはずだった。湯上りの真っ赤な顔を子どもながらに恥ずかしいと思っていた。  …

《稲と宝石.》

 「金色にきらきら輝いてる」 窓の外をみつめながら、そう思った。 旅に向かう列車は、埼玉…

0015 《ひと夏の.》

 恋なのかもしれない。  2019年の夏。アメリカ西海岸にある、サンタモニカへやってきた。真…

0013 《ロンドンのタクシーに乗って.》

 いつまでも若々しい人。そんな魅力的な人生の先輩たちに私は憧れる。  数年前から恒例にな…

0011 《彼女のブルーの瞳は.》

 ひとり旅の途中。写真のフォルダに自分がいないことにふと気づいた。そんな時に、出逢ったのがある女性だった。  彼女は今私が滞在しているサンタモニカ(カルフォルニア州)を拠点に活動しているフォトグラファーだ。美しい海や空を背景に写真を撮ってもらうことになった。  出来上がった作品を見て驚く。眩しい笑顔の私がそこにいるのだ。こんな表情は自分でも見たことがない。できることさえ知らなかった。旅先のワクワクがこれを生んだのだろうか。いや。きっとそうじゃなくて、彼女の目に映る世界はい

0010 《あの時の空.》

 野球場が好き。あの賑わいの虜に私はなっているのだ。今回の旅でもそこへ行くことをとても愉…

0007 《煌びやかな街で.》

 ハッとした。出逢ったばかりの彼に心の中を読まれてしまったのだ。  ロサンゼルスに来てち…

0006 《母のせなか.》

 母とのふたり暮らしが長い。ふり返ると小さな頃から二人きりでいることが多かった。今も一緒…

0005 《六月の果実.》

 新しい街。そこへ降り立つ時のワクワクがたまらなく好きだ。これからどんな出逢いが待ってい…