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パリ・日帰り旅行(副題:印象派を追いかけて)

バイトのシフトを出してくださいと言われて、ふうむ来週働きっぱなしかと思った。学業でできることは今のところないので、迷惑にならない程度に労働と娯楽のバランスを取りたい。

ちょうどこの前モネ好きならマルモッタンとオランジュリーは外せないですよ、と言われたことを思い出して、そうか日帰りパリを敢行するかと思い至った次第である。今週途中から大旅行に行くのに丸一日休んですみませんでした(懺悔)。


朝7時ロンドン発のEurostarをとって、20時パリ発にした。よって朝5時起床。朝6時King's Cross and St. Pancras駅に到着して、パスポート・コントロールとフランス入国審査を済ませる。Eurostarの場合は出発駅側で到着駅側の入国審査も先に済ませるので妙なものだなと思う。

既に駅は混み合っている。結局エンジントラブルで30分出発が遅れたので、その間に本日の計画を確認する。前回は本当に何も用意しなかったが、今回はチケットはもう買っておいた。

~お品書き~
07:00 London発
10:10 Paris Gare du Nord着 →メトロで移動
11:15 Musee Marmottan Monet着
13:00 移動(メトロ)
14:00 Musée de l'Orangerie着
15:45 移動(徒歩)
16:00 Muse d'Orsay着
18:00 移動(メトロ)
19:00 Paris Gare du Nord着

トンネルを抜けたら雪国であった、は知らない人のいない一節であるが、エゲレスの場合はトンネルを抜けたら美しきフランスの平原であった、である。目が覚めたらトンネルを抜けてたし電車はフランスを走っていた。

Gare Du Nordには30分遅れで着いた。今回は一日地下鉄乗り放題モバイルパスみたいなのを買ってみた。これで乗り放題だ。 

Gare du Nordの地下は大阪駅くらいの複雑さがある

地下鉄4に乗って数駅動いてから、地下鉄9に乗って西の方まで移動する。公園を抜けたらMusee Marmottan Monetだ。マルモッタン美術館ともいう。

スポーツの絵を集めた特別展開催中

超有名な「印象・日の出」は現在オルセー美術館に貸し出されているが、地下のモネの部屋は健在である。地下に降りて行ったら一面モネで深く息を吸った。ハスの花の絵だけではなくて、彼の書いた風景が広がっているのが嬉しい。

左側奥まで全部モネ 手前もモネ

合わせて、ベルト・モリゾの絵画で埋められた一部屋があって、モリゾをモリゾとして認識したのは初めてだったので良い美術館だと思った。シスレーも!

モリゾー

とは言いつつあまり大きくない美術館なので、予定よりも少し早めに出た。1時間あったのでエッフェル塔を見ながら行こうと思った。マルモッタンとオランジュリーの間にエッフェル塔が立っている。

よく見るとエッフェル塔って茶色なんだな(灰色だと思っていた)

地下鉄の窓、セーヌ川の上からエッフェル塔が見えた。ちなみにエッフェル塔の周りには土産物売りが大量に湧いていたのでロンドンで培ったスルースキルがやたらと役に立った。

セーヌと青い空、フランスの得意技!

エッフェル塔を下から写真を撮って満足したので、さらに東の方へ歩く。セーヌ川沿いに歩いて行けば良いので楽だ。初夏の日差しで、夏が来るんだなあと思う。

ルーブルのお隣に

もうしばらく歩いたら、ルーブル美術館の隣にあるオランジュリー美術館だ。ここでお昼をとりあえずとってから、睡蓮の部屋を見る。

壁四面がモネの睡蓮になっている

オランジュリーの方は睡蓮の部屋がメインなので、私の好きなモネの風景画はあまり見られなかった。あくまで観光に来ました!みたいな感じ。

結構混んでいますね

その代わりに、上のフロアでマリー・ローランサンを集めていて、今まであんまり興味がなかったけれど、直で見てみたらすごく好きだった。綺麗ないろ!

ローランソン

そのまま美術館を出て橋を渡って、オルセーへ。オルセーは今なんと「1874年パリ」と銘打って印象派の歴史を辿った特設展をやっている。なんというラッキー!ブーダンの水彩画、さっきのモリゾー、そしてとうとう対面できたモネの「印象・日の出」にも会えてたいそう満足した。

ブーダンの水彩画 水彩画って好きなんだよな

ちなみに欧米の展示会にしては結構混んでいて、人混みをかき分けながら見る感じだった。

モリゾー はっきりした色使いなのに印象派なのが素敵なのかな
モネ ボート 色合いがちょっとモネっぽくないかも
モネ 日の出、始めて見たら色合いが淡くて筆致も薄くて優しくてびっくりした
みんな大好きルノワール

17:30にはオルセーが閉館準備を始めてしまうので、無事追い出されて帰路に着いた。途中でノートルダム大聖堂駅らしき駅が乗り換えだったので、ちょうどいいわいと思って駅の外に出てみて、ノートルダムらしきものを眺めて帰ってきた。

帰りの電車も20分くらい遅れて、無事10時くらいにはロンドンに帰宅した。

今回はオルセーで特別展をやっていたことも相まって、ひたすら印象派を見続けたパリ旅行だった。モネ・シスレー・ピサロ・モリゾーなどなど。イギリスを離れる前に行っておいてよかったし、オルセーで特別展をやっていたのもナイスタイミングだったわけで、ベスト・タイミングである。


印象派の絵を見ているとき、私はいつも鼻の奥がつんとしている。なんでかわからないけれど、溢れてきてしまいそうな涙を堪えながら。なんでだろうか。誰かにとって世界がこんなに綺麗に見えているということを、もしくは世界は綺麗に見えうるということを実感させてくれるからだろうか。しかし同時に、セーヌ川の上から大陸の広い空を望むとき、もしくはテムズ川の上から朝焼けを望むとき、私たちは印象派の絵画の額縁の向こう側の世界に立っている。私たちは同じ息を飲み、同じ涙を堪えながらこちらとあちらを行き来していて、それが気軽にできると思い出させてくれるのが私にとっての絵画なのかもしれない。

のんびり絵を見て、のんびり散歩してのんびり電車に揺られながら、また一つ大学生活を終わりに近づけようとしている、そんないちにちであった。さようならフランス、また来る日まで。


番外編:パリの街角


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