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【日常】ロンドンでコロナに罹った話

※本記事の筆者はロンドンに在住しており、2022年1月1日時点での現地の保健機関の指示にしたがって対応しています。

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鼻詰まりだな、と思った。風邪でずっと体調を崩していたのがようやく良くなってきたので、ご馳走のつもりで(芽を出しかけていたジャガイモで)作ったサーモングラタンの味があんまりしなかった。食べ終わってから、New loss or change of smell (新たに発生した、嗅覚の喪失もしくは変化)はコロナの症状にあたることに気がついて、一応簡易在宅調査キットで検査をして、呑気に風呂に入って出てきたら、陽性を示す2本線が出ていた。より正確性の高いとされているPCRを受けて(ちゃんと在宅で受けた)、やっぱりコロナだった。

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「オミクロン株」と呼ばれる新しい新型コロナウイルスの変異株が出たのは、11月末のことだった。新しい新型コロナウイルスというのは、なかなかに馬から落馬しているような気もするが、とにかく新しい変異株である。日本政府の対応はすごく早く、瞬く間に(既にそこそこ厳しかった)水際対策が厳しくなり、ロンドンからのクリスマスの帰省を諦めた日本人の友人も多かった。

同時に、オミクロン株がイギリスに上陸するのも早かった。ロンドンの感染者数は見る見るうちに膨れ上がり、いつロックダウンするのか?しないのか?というような状況になった。Instagramのストーリーで、感染者になった人や、フラットメイトが感染してしまって外に出られなくなった(濃厚接触者になると、10日間⦅後に7日間に変更⦆自宅で隔離しないといけない)人を見ることも多くなったし、そんなに珍しいことでもなかった。

12月の半ば、1学期の最後の1週間には、どうにかオンラインと対面の授業を混合できていた大学の授業が、完全オンラインになった。クリスマスに帰省する生徒への配慮(大学でクラスターが生じると帰宅できなくなるため)と、既に隔離が必要な学生が多すぎて、対面での授業ができなくなってしまったからだったらしい。

それでも健康な肉体を保っていたのだが、12月の終わりに突然体調を崩した。バイト中に寒気が出てしまって、帰宅したら38度の熱が出ていた。翌日には40度まで上がり、クリスマスにまたぶり返して、ようやく落ち着いた。これは普通の風邪かインフルエンザで、検査をしたがコロナではなかった。一つ愚痴を言うと(政府批判等ではなく、本当に愚痴だ)、完全一人暮らしでコロナ禍で「コロナと同じ症状の風邪」をひくと、にっちもさっちも行かなくなる。基本的にコロナを発症した場合は「症状が出てから10日間」かつ「症状が消えるまで」隔離しないといけず、治療薬的なものはない。NHS(国民皆保険)のページには、「あまりに症状が悪くなったら連絡するように」とだけ書いてあって、特に救済はない。一日10万人感染者が出ていたら当たり前だろう。一方の風邪の場合は、多くの医療機関が「PCR検査で陰性であること」を受診の条件としていて、それがわかるまでは受診できない。オンライン診療という手もあるのだが、どちらにしろ薬を貰いに行くか買いに行くかせねばならず、PCRを受けるにも外に出なければならず、かつPCRの結果が陰性になるまでは公共交通機関も使えないため、理論上は歩き・自転車・自家用車のいずれかで行くことになるが、スーパー発熱している状態でそれは不可能で、結果熱を出そうが咳が出ようが家で倒れているしかなくなるのである。これからは家に市販薬を買い置きしておこう。

それはいいとして、クリスマスとお正月というゴールデン期間を臥せって過ごした私は、年始にようやく買い物に出られるようになり、どうやら家の最寄りのスーパーか薬局でコロナを拾ったらしい(なぜならそこにしか行っていないからだ)。1月3日には嗅覚は回復して、5日には疲労感や寝汗等のオミクロン株に特徴的な症状も消えた。もともと風邪で伏せっていたのが幸いして、誰か他の人に移したり、濃厚接触者を生じさせてしまったりしなかったのは唯一の救いだな、と思った。

6日目以降に、「24時間以上離したテストで陰性の結果が2回」を記録すれば隔離を終えられるのだが、8日目まで陽性が消えなかったため、10日間フルで隔離して、ちょうど新学期を迎えた。イギリスでは、政府もしくは大学等に依頼すれば、在宅でコロナの検査をできるキットを受け取ることができ、それを用いて週に2回の検査を行うことが推奨されているので、検査を完全に在宅で受けられるのは安心だった。

コロナに罹ったとはいえ、アルバイトを休んで大幅に迷惑をかけたのと、課題の締め切りを延長してもらった以外は、ただただ家で隔離していただけだった。2回ワクチンを打ったからよかったのだろうか。オミクロンだったからなのか、若いからなのか、後遺症がなかったのはありがたいことだった。

3回目のブースター接種をする予定だったが、感染してしまったので1ヶ月待たなくてはいけなくなってしまった。兎にも角にも、冬休みのほぼ全てを在宅で過ごしたわけで、今年はこれ以上悪いことは起こらないだろうな、と信じたい。どうぞ皆様ご安全で。

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