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人生初の1人旅は、人目を気にした悲しい旅だった

高校2年の4月、全日制から通信制の高校へ転入した私は、時間をもて余していた。時間もあることだし、誕生日にどこかに日帰り一人旅をしてみようか!と思い立ち、いくつか候補を出してみた。

富山から特急列車で行ける範囲となると、特急「サンダーバード」で関西方面。特急「しらさぎ」で名古屋。特急「はくたか」で越後湯沢。特急「北越」で新潟の計4つの案が出た。

ちなみに、当時はまだ北陸新幹線が開業しておらず、金沢から新潟や越後湯沢方面に行く特急列車が存在していた。関西や名古屋方面も、北陸新幹線がまだなかったので、富山から乗り換えなしで行くことができた。

いくらかかるか。何時の列車があるのか。駅周辺に観光スポットがあるのか。を踏まえて考えた結果、特急「サンダーバード」で京都に行くことに決めた。

7月4日(木)、私の誕生日がやってきた。朝早く起きて、母に駅まで送ってもらう。そこから事前に買った切符を持って、「サンダーバード」に乗り込んだ。修学旅行の時は、琵琶湖とは反対側の席だったので、今回は琵琶湖側の席を取っていた。あいにくの雨で残念だから、またいつかリベンジが必要だな。この時はまだ、自分が「サンダーバード」のヘビーユーザーになるとは思ってもみなかった。

2時間45分近く乗り、京都駅に着いた。京都駅は、修学旅行の時は時間がなく、満喫することができなかった。満喫できなかった分、今回は駅や京都タワーの写真を撮りまくった。

さて、ここから事前に計画していた予定を遂行していく。

先ずは「市バス一日乗車券」を購入する。バスチケットセンターのようなところへ行き、自動券売機で購入した。一人だし、人見知りなので、対面式で買うのが苦手。だから、自動券売機の存在は有り難く、同時に都会なんだと実感した。

次に市バスに乗り、清水寺へ向かう。市バス自体利用するのが初めてだった私は、清水寺最寄りのバス停に停まっても、最終目的地が異なるバスに困惑した。賭けで、正解の清水寺方面のバスに乗れた。乗車中も違ってたらどうしようと不安に駈られながらも、無事に最寄りのバス停に着いた。

最寄りのバス停に着き、歩いて清水寺へ目指す。「まっぷる」を見ながら歩いていくも、方向音痴で案の定、道に迷ってしまった。内心焦ったけれど、恐らく清水寺へ向かってそうな人の跡をついて行き、なんとか修学旅行で見覚えのある所にたどり着けた。

清水寺に着き、拝観料を払って散策していく。修学旅行では班でまわったが、今回は一人だ。高校生が一人で平日うろちょろしていて、周りからどんな目で見られるんだろう?と気になりはした。ただ、ここまで向かうまでに既に一人だだったから、今更気にしても仕方がない。

散策を済ませ、生八つ橋を買い、次は金閣寺へ目指す。お昼ご飯の記憶がないので、もしかしたら食べていない可能性が大。人見知りだから、一人でお店に入るのにはとても勇気のいることで、当時はできなかったようだ。

清水寺の最寄りのバス停まで歩いて戻り、そこからバスに乗って、北大路バスターミナルを目指す。北大路バスターミナルで乗り換え、金閣寺へ。

金閣寺の記憶もあまりない。ただ、雨だったので、修学旅行で見たときの感動は味わえなかった。

金閣寺の最寄りのバス停からバスに乗り、京都駅に戻ってきた。京都駅で自分と同年代の制服を着た高校生カップルを見かけた。自分とは違ってキラキラしていて羨ましく、自分には青春を経験することなんてないんじゃないか?と失望した。

夕食は要らないと母に言っていたので、京都らしいものが食べに、和食屋さんで1食3,000円する京御膳のようなものを食べた。これが京料理かと思いながら味わった。

夕食後は、京都駅の売店で父と母が好きな「赤福」(当時はなぜ三重のものが京都にあるのか不思議だった)を買い、京都をあとにした。

人生初の1人旅は、自分が毎日学校に行けていないことに対するコンプレックスと、雨も手伝い、重苦しく悲しい旅だった。

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