いまの会社から転職すべきか迷ったら見るnote

私は総合商社で働いています。総合商社といえば、平均年収は1,000万を優に超え、高収入な仕事の定番です。然しながら、そんな総合商社からも社員の流出が目立つようになっています。理由はいくつも考えられますが、以下のような分析記事も出ており、多くは「成長のスピードが遅い」というもののようです。

かくいう私も数年前に転職を迷ったものの一人で、その時に転職活動をし、オファーを得た上で上司に相談までしたものの、最終的に商社に残る決断をしています。この時の思考プロセスを整理したため、今、転職をすべきか迷っているそこの貴方の参考になれば幸いです。また、転職を迷っている方に限らず、大きな決断を迫られている方にもお勧めです。

私の結論は、「今は転職はしない」というものですが、人それぞれのフェーズや価値観によって、判断は変わるため、ここではあくまで思考プロセスを参考にして頂きたいと思います。私自身も一度は上記決断をしましたが、このままずっと残るかはまた別の話です。

尚、ここでの思考プロセスは、私が尊敬する瀧本哲史氏の著書である「武器としての決断思考」に大いに影響を受けており、興味がある方は本書もお読み頂きたいと思います。(文末にリンク掲載しています)

命題

私がオファーを貰ったのは商社マンが転職しがちな勢いあるITベンチャー企業だったので、命題は「ベンチャー企業に転職をすべきか否か?」とします。”ベンチャー企業”の部分は、読者の方々のオファー先に合わせて頂ければよいですし、またまだオファーが無いのであれば、「今の会社を辞めるべきか否か?」としてもよいと思います。

思考のプロセス

思考プロセスは至ってシンプルですが、転職した場合のメリットとデメリットを併記し、自身のとっての重要性で重みづけをした上で、それらを比較し、重要な方に決定するというものです。(繰り返しになりますが、より詳細には、「武器としての決断思考」をご覧ください。)

転職のメリット

先ずはメリットを列挙します。以下3要素を含むことが、メリットの条件となります。
①内因性(いまに問題がある)
②重要性(その問題が重要である)
③解決性(しようと思っている行動を取るとその問題が解決される)

上記を踏まえ、私が考えたメリットは以下3つでした。
(1) 現職のやりがいの無い業務から抜け出し、ベンチャー企業において新規事業の立ち上げ等のやりがいのある仕事ができる。
(2) スピード感を伴って経験することができ、素早く経験値を積むことができる(その後のキャリアに幅が広がる)。
(3) 転職先のベンチャー企業が拡大すれば、若くして要職に就き、責任ある業務に携わることができる(かもしれない)。

転職のデメリット

次にデメリットを列挙します。メリットの裏返しですが、以下3要素を含むことがデメリットの条件となります。
①発生過程(しようと思っている行動を取ると新たに問題が生じる)
②深刻性(その問題が深刻である)
③固有性(現状ではその問題は発生していない)

上記を踏まえて、私が考えたデメリットは以下2つでした。
(1) 対海外向けのビジネス機会、転勤の機会が限られてしまう。
(2) 年収が下がる。

メリットとデメリットの比較

メリットとデメリットを提示できたら、これらを比較、判定します。判定する場合は、質×量×確率を確認します。(『武器としての決断思考』では、この前にメリットとデメリットが本当なのか?という検証を行いますが、ここは割愛します。当時の私はメリットが本当だと信じていたので検証までしていません。)

質は自身の価値観に照らした重要性、量はメリットを定量化できるのであれば定量化した結果、確率はそのメリットデメリットを得ることができる確率を指します。質を便宜的10点満点で評価し、定量化は難しいので”1”として扱い、確率は自身でイメージした確率を入れて、以下のように計算してみました。

上記の結果、元々検討していた内容だと、私はやりがいや経験値を重視しており、「ベンチャー企業への転職」が取るべき選択肢でした。然し、この意思決定の結論を踏まえて、上司に相談したところ、社内で海外事業の経営に近いポジションを提示されました。これによって、新たに上記赤字の要素が加わり、私の天秤は傾き、現職残るという決断をしました。

世間一般的に見れば、これは「会社による引き留め工作を了承した」と映るのですが、重要なのは、ある意思決定に拘り過ぎるのではなく、自身が重要だと思うポイントを明確にし、その都度正しい意思決定をするということだと私は考えています。事実、私は当時の意思決定に一切の悔いは無く、今はモチベーション高く業務に取り組むことができています。

それでは、皆さんが良いキャリア選択をできますようにお祈り申し上げます。


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