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【ライターのタイプ別】モチベーションアップ法と「向いている案件」

早く春が来ないかなあ。寒いの嫌だなあ。
今回も、ツイッターでいただいたネタに答えていきたいと思います。ご査収ください。

ライターのモチベーションの違いをどんなところに感じますか。その違いは成果の質や向いている案件にも影響を及ぼすと思いますか。

ありがとうございます。以前、このツイートをしたところ、多くの方から反響をいただき、そのツイートにさらに質問いただく形で今回のネタをいただいております。なんとディープな。

ライターや編集者のモチベーション。

僕が編集部を運営するなかでも、これは非常によく意識するポイントだったりもします。メディアというのはどうしても「コンテンツを作る人のテンションややる気」がそのまま制作物にも影響を及ぼしてしまうという側面があると思っているからです。

それでは今まで編集部員のマネジメントの過程で見出したいくつかのパターンを、本稿ではご紹介したいと思います。

4パターンで切る「編集人材のモチベーション」

これは完全に僕の独断と偏見ですが、ライターの編集人材のモチベーションを分類すると、次のようになるかなと思っています。

これまでの投稿をご覧の皆さんお気づきの通り、僕が大好きな”4象限”ですが、今回横軸は「情緒的⇔具体的」、縦軸は「内向き⇔外向き」として見ています。ではお付き合いください。

※「今回デザインこったな」と思ったあなた。目の付け所がさすがです。
 感想やご所感をぜひつぶやいて教えてくれるとうれしいです。

①「記事を書くこと自体が目的」なひとびと

まずは左上。「モチベーションが自分向きにあり、かつ情緒的なケース」。要するにライターとして書くのが楽しいとか、成長したいなど、そういう感じの人です。

「学生時代から文章書くのが好きだった」とか、「数ある中でもライティングスキルに自分の才能があると思っている」とか。そういう人が当てはまるのではないかなと思ったりします。伝統的にライターになる人が多かったのも、もともとはこのゾーンではなかろうか。

こうした人材のモチベーションアップを図る上で重要なのは、本人の中での納得感。

要求水準を超える品質の良いものが届けられたかどうか。自分から見ても満足のいく仕事ができたかどうか。

短期的にはこのあたりを満たしていくことが重要ですが、長期的に見ると「同じことを繰り返しているばかり」だと焦燥感にかられやすい。他の人よりも自分の方が…といった、プレーヤーとしての競争意識にも繋がりやすいのがこのゾーンにいる人にいる人の一種の特徴のように思ったりします。

このゾーンにいる人たちに向くと思う案件は、伝統的なメディアでの案件のように、「質」が強く求められるような「商品としてのコンテンツ」です。

自ら企画し、書いた記事が多くの人にリーチすることは、このゾーンにいる人たちにとって非常に大きなものですし、成長実感も得やすい。また、質の高さを評価してくれる目利きの編集者がいるような環境に身を置いた方が、プレーヤーとしても満足しやすいのだと思います。

一方こういう人材に対してフィードバックを行う際は、本人が自己満足的な仕事に終始していないかを非常によく吟味しますし、本人もそこに問題意識を覚えているケースは多いかなと思ったりもします。

②「チームプレーにやりがいを見出す」ケース

続けて左下のゾーン。ここは、「制作に携わる他の人に『ありがとう』と言われるとうれしい」「編集者と二人三脚が楽しい」みたいな感じで強いモチベーションを感じるような方をプロットしてみました。

ライターに限らず編集者でもこのゾーンに入る人は多い印象がありますが、このゾーンにいる人たちに向いているのは「チームの調整役」です。

「自身の問題意識」というより、全体の方針を重視し、みんなで形にしていく過程に魅力を感じやすいこのゾーンの人たちは存在は、組織運営上非常に重要だったりもします。「自分がこうしたい」という強い思いより、他の人と協働しながら物事を進めたいという意識が強いので、柔軟に物事を進めてもらえるという安心感も。

特に事業会社でのオウンドメディア運営などでは、「個人として書きたいことを書く」というより、事業上必要とされる成果を定義し、そこから逆算してコンテンツを作っていくという発想が求められます。

その過程ではライター以外のマーケットはマーケティング部門やエンジニア部門など数々の共同が発生するため、こういう人たちがいると非常に心強いのです。

その一方で、優柔不断なりやすいのもこのゾーンにいる人たち。「あなたはどう思うんですか」と問われると急に答えに臆してしまう方なんかも多いかもしれません。

いずれプロジェクト自体を率いてもらいたいと考えると、常に「自分自身はどうすべきと思っているのか」を持っておくことも大事なのかなと思います。

③「待遇重視型」なひとびと


3つ目。右上のゾーンは、「具体的かつ自分に向いた報酬」にやりがいを感じるパターン。すごくすごく端的に言ってしまえば、「お金がモチベーション」みたいな感じでしょうか。

ここにいるゾーンの人たちモチベーションを高めるために、個人的に意識してるのは、「コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスをいかに高めていくか」です。

ライターであれば、成果に応じたインセンティブ的なものを用意することも考えられますし、それが無理でも、作業環境を効率化させたり、やり取りを簡略化させて、効率的に量産体制を作っていくような形をとると、お互いにWin-Winになりやすいように思っています。

特に、媒体が「コンテンツの数を増やしたい」というフェーズにある場合だと、「お金さえもらえるならガンガン動く」という人たちの存在はありがたかったりもします。うまく協力体制を作れれば、バーサーカーのようにたくさんのコンテンツを作ってくれる、というか。

コンテンツに対して”良い意味”で強いこだわりがなかったりもする分、媒体側としてはハンドリングもしやすく、一定の距離感も保ちやすい。特に媒体初期の「方針が揺れがちな時期」は、細かいことを言わずにドライに試行錯誤してくれる人材の存在は、意外と助かったりもします。

一方でこうした人材の場合課題になりがちなのは、コスパやタイパを意識しすぎるあまり、本質を見誤る可能性があること。その結果、逆に編集の工数がかさんでしまうケースも起こりえるという点です。

ということもあり、報酬と仕事の質をバランスを見極めながら協働していく姿勢が、このゾーンにいるの人たちには求められるかと思います。媒体が「量を増やすフェーズ」から「質を高めるフェーズ」へと移った瞬間、依頼が大幅に減る可能性もあるので要注意です。

④「成果にコミットしたらうれしい」ケース

最後、右下のゾーンです。

こちらは「具体的かつ外向き」なモチベーションということで、「成果にコミットしたするかどうかを意識する人」と定義してみました。

・本当にページビューが上がったのかどうか
・読者がそのコンテンツを読んで本当に動いたのか

などなど、「コンテンツが当初の目的を果たしたのかどうか」というところを非常によく気にする人たちで、そこができているのであればバリバリ頑張れる/そうでなければ悩んでしまう…、といったイメージです。

このゾーンにいる人たちにおすすめしたいのは、記事を書く以外の手法活用した「メディア自体の運営」です。

最終的なゴールに向かって、記事を書くというだけにとどまらず、様々な手法に挑戦し、実際にアクションを促していく。
そういった働きかけをしていくと、本人もしっくりきますし、「戦略に対して自分が整合したアクションをとっている」という安心感を得てくれることも多いです。

ただ、多くの場合メディアというのは成果が見えづらく、「ああ、自分って読者に貢献しているなぁ」なんていう実感がそう簡単に得られるわけではありません。

経営者や編集の責任者がビジョンを指示し、段階的にゴールに向かっていることを伝えないと、モチベーションがずるずると下がっていくのがこのゾーンの人たちの特徴なので、その辺りには細心の注意を払います…。ハマれば強い反面、ゴールが見えない中で頑張りづらい、というのがこの象限の人材の強みでもあり、弱みのようにも思います。

みんなちがって、みんないい

今回は大まかに四つに分けてみましたが、実際は皆さん、それぞれの要素をいくらずつか持っているというのが現状だと思いますし、ライフステージによってもどこに自分がプロットされるのかは変わっていくもののようにも思います。

ただ、ここで強調したいのはどんなモチベーションであれ、活躍できる場があるということです。

編集の仕事ってとっても幅広いものだと思うので、「今モチベーションが上がらない」という方も、ぜひ少し広い視点で物事を見てみるといいんじゃないかなあと。そしたら意外な楽園が見つかるかもしれません。

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