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ライト兄弟 イノベーション・マインドの力

2024年8月の図書はこちら。
「ライト兄弟 イノベーション・マインドの力」
著:デヴィッド・マカルー
訳:秋山勝

今年二回目の要約。
今回の本はSpotifyでよく聞いているポッドキャスト「COTEN RADIO」で、以前聞いたライト兄弟編にて紹介されていたもの。そのエピソードを聞いて、面白さを感じ読んでみようと手に取った次第。
が、しかし、結構分厚い本で読み終わるのに時間がかかった(笑)

今回は要約というより、ライト兄弟に関わる話の中で面白かった部分をピックアップして書く為、どちらかというと読書感想文的な感じになると思う。


まず、ライト兄弟の何がすごかったのか。
それがタイトルにもあるイノベーションマインドとそれを推進する為の行動力。

ライト兄弟それぞれの特性は言うなれば、兄ウィルバーは研究家気質、弟オーヴィルは起業家気質で、オーヴィルが面白そうだなと思った事をやり始めウィルバーがそこに加わって伸ばしていく、そんな風に新しいことをやって来た。

最初は印刷業。
印刷業面白い!と思ったオーヴィルが自分で工房を開き、兄ウィルバーや高校の友達を巻き込んで始めた。その時、印刷だけをするのではなく、高校の友達の力も借りながら、その地域オハイオ州デイトンにおける地元紙みたいなものを自ら作って発行していた。

次に自転車業。
今度は自転車が来る!と思ったオーヴィルが自転車に関わる工房を作った。それが後のライト自転車商会であり、このお店にて売り上げた資金を元に飛行機開発に取り組むことになる。

この自転車業にて、兄ウィルバーの研究家気質の力が思う存分生かされる。
元々母親が機械工だったこともあり、子供の頃から二人とも機械いじりが好きだった事もあり、自転車業が上手く成功する。

そして、自転車業を進めて行く中で兄ウィルバーが飛行機というものに惹かれていく。

飛行機って面白いかもと思った兄ウィルバーがまずやった事、それがスミソニアン協会に資料くれと手紙を送った事。

その当時(今も)、スミソニアン協会と言えばアメリカ国内における科学界の最高権威みたいな所で、航空機に関する研究開発も進んで行っていた。そんな所に、デイトンという片田舎に住むウィルバーが手紙を送っても無視されそうだなと思うかもしれないが、ウィルバーはとにかく熱意を伝えた結果、なんとスミソニアン協会から資料をもらう事が出来た。(笑)

普通に考えればやらなさそうな事も、やってみなきゃ分からないじゃないか、といったマインドで行動した。これがすごいなと思う。

その後、航空機の開発を進め、飛行実験をしたいと考えた兄ウィルバーは、何よりも重要なのが強い風が常に吹いている事であると考えていた。かつ落ちる事を踏まえると砂地が適している為、そのような場所を探していた。

よし、聞こう、と今度はワシントンにある連邦気象局に手紙を書き、そんな場所を教えてくれと依頼した結果、ノースカロライナ州アウターバンクスにあるキティホークが良いんじゃないと教えてくれた。

そして、このキティホークにて1903年12月17日、人類が初めて航空機で空を飛んだ。

ライト兄弟が航空機を開発するにあたって、面白そうな事をどんどんやってみよう、分からなければ聞いてみよう、といった行動力がとにかく成功に起因していたんじゃないかと思う。


もう一つ、ライト兄弟のすごかったポイントを挙げるならば、とにかく働き者という点。

ライト兄弟の父親が宣教師という事もあり、二人とも敬虔なクリスチャンだった。その為、日曜は完全な休息日としていたが、それ以外の曜日はとにかく働いた。

先述の通り、キティホークにて飛行実験をしている際、地元の人たちがライト兄弟の実験を数年に渡り手伝ってくれていた。その手伝いをしていくれていた人たちが後に、なぜ彼らが空を飛べたのかといった質問に対して、「二人が懸命に働き、自分たちの理想に対して全身全霊と全エネルギーを捧げたから」と言っていた。

また、フランス ル・マンでの公開飛行含め数々の成功を収め、地元デイトンにて二日間に及ぶ式典が催された時、なんと二人は交互に式典を抜け出し次の飛行に向けた航空機の開発と準備を進めていた。

ライト兄弟が二人とも働き者であったことは、周りにいた人から見ても明らかで、その努力が正に成功に導いた。

この努力の部分、実は少し考えないといけない点がある。

ライト兄弟は父親や兄妹といった家族には恵まれ、頻繁に手紙でやり取りをするなど深い愛情や絆があったが、実は二人とも生涯奥さんがいなかった。

ここで思うのは時間の使い方というところ。
ライト兄弟は奥さんを持たなかったのか、もしくは持てなかったのか分からないが、恐らくそこに費やす時間が無かったのではと思う。パートナーとの時間を作る位であれば、航空機の開発をしていたいと思っていたのかも。

それくらい一つのものに没頭して時間を費やさなければ、やはり大きな偉業は成しえないのではと考える一方、自分にはそこまで出来るかというとそうではないかなと感じた。

ライト兄弟には元の家族という関係性が強かった為、そこまで孤独は感じなかっただろうが、今の自分が時間の全てを一つに費やした場合、孤独にしかならないと思う(笑)

理想をどこまで追いかけられるかといった点と、孤独にどれだけ耐えられるかといった点はまさにトレードオフだなと感じた。


以上、この本を読んで個人的に面白かった点、示唆を得られた点を書いてみた。とにかく驚いたのは1903年に初めてライト兄弟が空を飛んで、今年で121年。これだけの期間で、今では普通に飛行機に乗って遠くに行けるようになっている事実が、科学の進歩の凄さを感じる。

最後に一つだけ。
1969年7月20日、ライト兄弟と同じオハイオ州で生まれ育った一人の男、ニール・アームストロングが人類で初めて月面に降り立った。
この時、アームストロングはライト兄弟への敬意を示すものとしてある物を持っていた。それが、ライト兄弟が1903年に乗っていたフライヤー号の羽布の一部だったらしい。

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