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コラージュMVって勝手に命名。コラージュオンリーのmonobrightとバランス勝負のSuperflyの一騎打ち!(オススメMV #34)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の34回目です。(連載のマガジンはこちら)

前回の鬼束ちひろさんの回の文章がやたら長かったので、今回はさらっと2つのMVを紹介します。
今回のテーマは「コラージュMV」。
と言っても「コラージュMV」というジャンルがあるわけではなく、勝手に私が付けた名称です。

そもそも皆さん「コラージュ」って知っていますか?
色々なイラストや写真の一部を切り出して素材にし、それを組み合わせてひとつの作品を作る手法のことです。
通常は絵画、つまり静止画ですが、これを動画でやるとこうなるのでは?というMVが「コラージュMV」になります。

まず最初のコラージュMVはこちら、monobrightの「英雄ノヴァ」です。

怒涛のようなMVですね。
目まぐるしく展開する映像とスピード感のある楽曲の組み合わせが特徴的ですが、決して乱暴な感じではなく緻密さが感じられるMVです。

この楽曲を提供するmonobright(モノブライト)は、2006年に北海道で結成された5人組のバンドですが、なんと途中で元BEAT CRUSADERSのヒダカトオルさんが加入し、バンド名を大文字のMONOBRIGHTに改名。
その後ヒダカトオルさんが脱退され、さらにはドラムの瀧谷翼さんが脱退されたあとカタカナ表記のモノブライトに改名し、最終的には2017年に活動休止となっています。

脱線しますが、ヒダカトオルさんが加入されたときは驚きました。
ひと回り以上年上の、いわばベテランミュージシャンが若者たちのバンドにひとりで乗り込む...これは驚愕です。
同じ年齢層でチームを組みがちですが、このヒダカトオルさんの動きはその固定観念を打ち破り、それだけでも世の中にメッセージアウトされた行動であると思っています。拍手です。

話をMVに戻しましょう。
実は、このMVがmonobrightとの出会いでした。
最初観た時はこの手の楽曲を主とするバンドかと思ったのですが、他の楽曲を聴いて観ると全くそんなことはなく、ふり幅の広いバンドで良作も結構リリースしています。
特に「孤独の太陽」や「アナタMAGIC」、「雨にうたえば」などが私のお気に入りで、今でもたまに聴いています。

この「英雄ノヴァ」のMVを観てみましょう。
様々な違ったテイストの映像を組み合わせている、いわばツギハギの映像ですが、違和感がないばかりか逆に不思議な統一感があり、そのツギハギが魅力になっているMVです。
これぞ、最初に説明した「コラージュ」そのものですよね。

このMVの制作はメチャクチャ大変だったと思います。
どんな映像のどこを切り取るのか、それをどう組み合わせるのか、切り方が少し違っただけで受ける印象は大きく変わります。
それともう一つ大変な点があります。
基になる映像の著作権の問題です。
著作権がフリーあるいは安価で利用できる映像のみに絞って使う、という条件が課されたうえでの制作となるため、大きな制約があったことでしょう。

それでもこの手法を使って制作することを決断されたことにまず称賛を送りたく、そしてその難しい手法を使って制作した結果、素晴らしいMVが完成したところに、このMVのすごさがあります。

ちなみに、このMVの監督は田辺秀伸さん。
多くのMV制作を手掛ける一流のMV監督で、monobrightのMVの多くはこの田辺さんの作品です。
数多くのMVを手掛けながら、全く手を抜かずにこのMVを制作されたことも称賛せずにはおれません。

次のコラージュMVの紹介にまいりましょう。
次のMVは、Superflyの「How Do I Survive?」です。

パワフルかつファンキーな楽曲と、ちょっとレトロなテイストの映像の組み合わせが絶妙なMVですね。
かつ、いい具合にコラージュ映像が使われているのが印象的です。

Superflyは2004年に愛媛で結成された、ボーカルの越智志帆さんの歌声が特徴的なバンドで、超有名な楽曲「愛をこめて花束を」をはじめ様々な賞も受賞された押しも押されぬビックアーティストです。
しかし、初期の楽曲の多くを手掛けられていた元メンバーの多保孝一さんが2014年に抜けられた後はピンとくる楽曲が少なくなり、最近はあまり聞かなくなってしまっています。

この楽曲との出会いは、テレビCMです。
良質なCMを提供してくれるモード学園の2008年のCMソングとして出会いました。(ちなみに、この楽曲のリリースはCM放映の数か月後です)
CMの映像もさることながら、楽曲のパワーとファンキーさに心打たれ、「この楽曲なんなんだ! 誰の曲なんだ!」と探したところ、Superflyというバンドの「How Do I Survive?」であることが判明し、すぐ買いに走ったがまだ売っていなかった...という経緯があります。

さて、この「How Do I Survive?」のMVですが、本題の「コラージュ」の手法がいい割合で使用されており、かつ越智さんのカントリーチックな雰囲気とマッチするコラージュ映像で、世界観の演出がばっちりです。

それともう1点特筆すべき点があり、それは楽曲と映像のバランスが若干楽曲のほうを前に出している点です。
これは、コラージュの手法を使っている明るい場面と、ボーカルの越智さんがメインで出ている夜の路上の暗い場面の比率によるものと考えられます。
これが、明るい場面でかつコラージュで賑やかな映像ばかりであれば、もう少し映像が前に出てくるため、その分楽曲が前に出なくなります。
その辺のバランスが素晴らしく、この監督の番場秀一さんが「この楽曲、めっちゃいいので、楽曲を押し出し気味にしよう!」と思われたのではないかと想像しています。(ホントに勝手な想像です...)
なお、番場さんはSuperflyのMVの多くを手掛けておられますが、このMVが最初のようで、それだけこのMVの出来がよくてリピートされたのではないかと(これも勝手に)想像しています。

コラージュMVを2つ紹介しましたが、実は一番紹介したい「コラージュMV」はこの2つではないのです。
本当は、The Tubes(チューブス)の「Piece by Piece」のMVが私の中でのコラージュMVのナンバーワンなのですが、残念ながらオフィシャルMVがどこにも見当たらず、本連載のポリシーとして紹介できません。
ご興味ある方は、ぜひ検索して観てみてください。

ちなみに、The Tubesは1972年にデビューした米国のバンドで、今も活動しているという長寿バンドです。
別のレコードジャケットの楽しみの連載でYMOを紹介しましたが、YMOの初の海外ライブがこのThe Tubesのライブの前座だった...というのは不思議な縁を感じます。(The Tubesのことを書くとまた長くなりそうなので、これぐらいで我慢しておきます...)

さて、今回の2つの「コラージュMV」はいかがでしたでしょうか?
楽曲をより引き立てるため、制作側は労をいとわず様々な取り組みを行い、その結果素晴らしいMVが生み出されることに感動を覚えます。

まだ見られたことが無い方はぜひ一度ご覧ください。

ではまた次回に。

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