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モノクロのエステルには艶がある。そして、なぜかピチカートファイヴを思い出す(オススメMV #36)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の36回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回のテーマは「モノクロのMV」。
以前のモノクロをテーマにした回はロイクソップとロビンのコラボの話がメインでしたが、今回はモノクロの映像そのものをテーマにお送りします。
といっても、オススメのモノクロMVは多数あるので、今回は不思議なつながりのある和洋のモノクロMVをそれぞれ1本ずつ紹介します。

最初に紹介するのは洋楽のモノクロMV。
エステルの「American Boy Feat. Kanye West」です。

オシャレなMVですよね。
モノクロにもかかわらずエステルが妙に色っぽくて、まさしく「艶やか」という表現が適切です。
そして、過度にならない映像テクニックも秀逸なMVです。

エステル(Estelle)は2004年にデビューしたイギリスのミュージシャンで、2008年リリースの2ndアルバム「Shine」からのシングルカットしたこの「American Boy」が全英1位となり、一躍スターの仲間入りをしました。

その2ndアルバム「Shine」はジョン・レジェンドがプロデュースし、ジョンが立ち上げたレーベルの第一弾としてリリースされています。
それもあってかメチャクチャちからを入れて制作していることがうかがわれ、この「American Boy」もカニエ・ウェストを客演に迎えるなど、偶然のヒットではなく、ヒットすべく制作されたことが分かります。

素晴らしいのは楽曲だけでなく、MVも秀逸です。
完全にモノクロですが、濃淡だけで表現されたエステルが妙に色っぽい。

最近の洋楽MV、特にHIPHOP系の女性シンガーは過度に露出しているものも多く、逆に興ざめしてしまいます。
それに比べてこのMVのエステルは、露出しないことで逆に女性の色っぽさが表現されていているようです。(単に私が歳を取った、ということもあるのでしょうが...)

そしてもう一つの特徴が、映像テクニックを過度に使っていない点。
1つの画面に登場する人物の数のバランス、大きさの大小や位置、動かし方や影の使い方など、様々なテクニックを使っているものの、使い方が控えめで一度に複数のテクニックを使っていないところが素晴らしい。
モノクロの単調な映像のみであればどうしても飽きてしまいます。
しかし、控えめに様々なテクニックを組み合わせて使うことで最後まで飽きさせずに視聴者の意識を覚醒させながら、モノクロの映像と楽曲を前面に押し出し、印象付けることに成功しています。

この「American Boy」の楽曲は大ヒットしましたが、その要因のひとつはこのすばらしいMVにあると確信しています。

直接MVとは関係ないですが、「American Boy」に客演しているカニエ・ウェストはいい仕事をしていますね。
自分のプロジェクトではチョット奇抜な実験的な取り組みをしたりしていますが、この「American Boy」ではしっかりエステルをサポートし、楽曲自体にいい色を添えています。
彼が客演している他の楽曲を聴いてもいい仕事をしているので、単に奇抜なアーティストではなく、頭もセンスもいい方なのだと想像しています。(私の大好きなタモリさんの名言「狂気を演じることができるのは理性だけ」というのがまさしく当てはまりそうです)

話がそれましたので本題に戻って、2つ目のモノクロMVの紹介です。

エステルの「American Boy」を見て、『これって、あのMVに雰囲気が似てるなー』と思ったMVがあります。
それが、ピチカート・ファイヴの「東京は夜の七時」です。

これもオシャレなMVですよね。
カット割りや引きとアップの使い方など、映画チックなMVに仕上がっています。
モノクロオンリーではないのですが、カラーとのバランスがいいのでモノクロの良さがうまく引き出されています。
そして、MVだけではなく楽曲もオシャレ感満載です。

ピチカート・ファイヴは1984年に結成し、1985年に私の敬愛する細野晴臣さんのレーベルからデビューしたグループで、小西康陽(やすはる)さんという多芸な方がリーダーを務めておられました。
過去形なのは、2001年に既に解散してしまっているからです。

この「東京は夜の七時」は1993年のリリースですが、このころのピチカート・ファイヴはノリに乗っていて、翌年には北米でアルバムをリリースし、更にその翌年には欧米でのツアーも敢行しています。
そのいわば全盛期のピチカート・ファイブの代表曲が、この「東京は夜の七時」ですので、悪いワケがありません。

しかし、エステルの「American Boy」のMVを見ると、なぜピチカート・ファイヴの「東京は夜の七時」を思い出すのか、その理由がイマイチわかりません。
今でも「American Boy」のMVを見ると「東京は夜の七時」のMVを連想し、そして続けて「東京は夜の七時」を見て、『なんでこの2つのMVは関連付けられているのだろう?』と思いつつ、いまだにその理由が分かっていないのです。

しいて言えば、モノクロの映像ぐらいしか共有点がなく、もしかしたら楽曲に大きな共通点があるのかもしれません。(例えばコード進行が同じとか、リズムが同じとか...)
その理由をご存知の方がおられたら、ぜひお教えください。

今回はモノクロ映像の秀逸な和洋のMVを紹介しました。
両方ともオシャレなMVですが、不思議なつながりのあるMVです。
ぜひ2つ連続して観てみてください。

ではまた次回に。

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