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これぞ唯一無二。ジャミロクワイとデッドオアアライブのMVは、今もなお色あせず輝き続けている!(オススメMV #20)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の20回目です。(連載のマガジンはこちら)

皆さん、「こんなMV観たことないよ!」というMVってありますよね。
今回はそんな唯一無二のMVを2つ紹介します。

それぞれ単体で紹介したいぐらいの名作なのですが、1つだけというのもさみしいので、思い切って2つ取り上げます。

まず最初の唯一無二の名作MVはこちらです。
ジャミロクワイ(Jamiroquai)の「Virtual Insanity」です!

こんなMV、観たことないでしょ!
精神病院のような不思議な空間の床が動き、その中を男性が踊るというかパフォーマンスする...と、言葉ではうまく説明できないMVです。
しかし、観た時のインパクトは「こんなMV、観たことない!スゲー!」。

さっそくMVの解説に行きたいところですが、その前にアーティストの紹介をさせてもらいます。

ジャミロクワイは、イギリスのバンドというかジェイソン・ケイ(Jason Kay)というアーティストのソロプロジェクトで、1992年にファーストアルバムをリリースし、1996年にリリースしたサードアルバム「Travelling Without Moving」に入っているこの「Virtual Insanity」で大ヒットを飛ばします。
なんと、この「Virtual Insanity」のMVはVMA(MTV Video Music Awards)で10個の賞を受賞しており、これは1987年のピーター・ガブリエルの「Sledgehammer」と同数首位で、それぐらいこのMVが世に与えたインパクトはすごかったのです。

「Virtual Insanity」は、直訳するとすると「幻想の狂気」でしょうが、歌詞を見るともっと深い意味があるようです。
「今見えているもの、今感じているものは、本当に正しいの?」というような内容で、現代でも全く通用するというか、現代にこそこの楽曲はマッチするのではないでしょうか?

ぜひネットで検索して歌詞も見てみてください。

では、MVの解説にいきましょう。
出てくる男性も部屋も家具もフツーで、映像的に使用している色もほどんと白と黒とインパクトはなく、インパクトがあるのは血や虫ぐらいです。
しかし、映像を観た視聴者に与えるインパクトは強烈です。
アイデアと映像構成のみで、これだけのインパクトが与えられる、これぞMVの真骨頂です。

もちろん楽曲もすばらしいのですが、これだけのインパクトのある映像にもかかわらず楽曲がしっかり前に出ているのはなぜでしょうか?
それは、色遣いと長回しにあると考えています。
極力使用する色を減らし、色によるインパクトを減らすことで、映像構成の良さを際立たせつつ、楽曲を前に押し出すことに成功しています。
そして、ワンカットが長く、かつスピード感を抑えていることも、楽曲の押し出しにつながっていると考えられます。

このMVは、ジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer)という映像作家が手掛けていて、のちに映画も数本監督している方なのですが、本作以外にもいくつかMVを制作しています。
上に書いた通りこのMVで1997年のVMAの10冠を取ったのですが、その翌年1998年には、MVPA Award(米国のミュージックビデオプロデューサー協会が主催するアワード)を別のMVで受賞していて、スゴイ映像作家です。
私の好きなところは、同じ作風の作品がひとつもないところ。
常に新たなことにチャレンジする姿勢が大好きです。

全然話が飛びますが、日本にも「音楽映像制作者協会」という団体があるのですが、アワードもやっておらず目立った活動がないようです。
日本のMVは欧米のMVに比べても素晴らしい作品も多く、制作者の実力は勝るとも劣りません。
MVはひとつの文化でもあるため、ぜひ活性化し、より発展するように取り組んでいただきたいと切に希望します。

これまた脱線しますが、映像制作がPCやソフトウェアの進化によって特殊なものではなく、音楽アーティストが自力で映像制作もできるようになりつつあります。(インディーズ系では既にその動きがあり、特にYouTubeの普及がその動きに拍車をかけているようです)
これは映像制作を中心に仕事をされている方々からすると恐ろしい話です。
音楽アーティストが自分のイメージをダイレクトに映像化できるのであれば、MV制作を依頼する必要性が少なくなります。
今まで以上に「映像作家としてどんな価値を提供すべきか」という点が重要になってくると考えられます。

だいぶ話がそれましたが、そろそろ次のMVにいきましょう。

2つ目の唯一無二の名作MVはこちらです。
デッド・オア・アライヴの「You Spin Me Round (Like a Record) 」です!

これまた強烈なインパクトのMVですよね。
一度見たら忘れられず、また見たくなるような中毒性のあるMVです。

上に紹介したジャミロクワイのMVとは違い、まずメインの出演者(ボーカルのピート)のインパクトが強烈です。
それに加えて、色とりどりの様々なギミックもあり、映像の押し出しが強いMVになっています。
しかし、楽曲が映像に全く負けておらず、楽曲と映像の両方が印象に残る一度見たら忘れられないMVとして仕上がっています。

まず、アーティストを簡単に紹介しましょう。
デッド・オア・アライヴ(Dead Or Alive)は、MVにメインで出ているボーカルのピート・バーンズをリーダとして1980年に結成されたバンドです。
のちに発生するユーロビートの先駆けのバンドとして、見た目のインパクトだけではなくその音楽性も高く、1980年代から1990年代の洋楽黄金期の代表的なバンドのひとつです。

このデッドオアアライブの代表曲が、この「You Spin Me Round」です。
日本がバブル景気に入るころのディスコ(当時はクラブではなかった)で、この楽曲が掛かりまくっていました。

このMVは、ピートを含めて映像のインパクトがすごいのですが、ひとつひとつ見ていると結構手作り感があり、お金もそんなに掛かっていないと推測されます。
しかし、様々なギミック(仕掛け)が施されており、制作陣のアイデアや工夫、そして「楽しませよう!」という意気込みを感じます。
その素晴らしくかつ印象に強く残る映像に負けない、ビートの効いた素晴らしい楽曲があって、この高い完成度のMVとなっています。

この楽曲のリリースは1984年ですから、今から36年前(!)です。
しかし、全く古さを感じさせず、今もってなお一級品のMVとして十分通用するポテンシャルを持っています。

この楽曲には2003年リリースの別バージョン「You Spin Me Round 2003」がありMVもあるのですが、オフィシャルMVがアップされておらずご紹介できません。
アンオフィシャルのMVはYouTobeとニコニコ動画に上がっているので、興味のある方はぜひ検索して観てみてください。(もしかしたらタイミングによっては削除されているかもしれませんが...)

デッドオアアライブの顔ともいえるピートですが、彼の新たなパフォーマンスを観ることはできません。
というのも、過度な整形手術が原因で2016年に亡くなってしまったのです。
その2003年版のMVでは、整形後のピートが別人のような容姿で登場しています。
できれば皆さんに、ピートが命を掛けて追い求めた美を、中性的かつ妖艶で独特な雰囲気を醸し出しているピートの姿を、その2003年リリースのMVで観ていただきたいのですが...
ぜひともオフィシャルMVを公開していただいたいと切望します。
(MV自体の出来としても、2003年版も素晴らしいのです)

さて、今回の唯一無二のオススメMVの2本、いかがでしたでしょうか。
両方とも名作中の名作で、時を経てなお輝いているMVです。
ぜひ一度はご賞味を!

ではまた次回に。

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