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ちょっと濃いめのドリアンの、ちょっとレトロでオシャレなMVをご紹介(オススメMV #123)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の123回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、ちょっと濃いめのドリアンさんの、ちょっとレトロでオシャレなMVを2つお届けします。
ドリアンさんと言っても、「その方、どなた?」と言われそうですが、今回のMVをご覧になった方はもうドリアンさんの存在を忘れることはないぐらいインパクトの強いMVですので、心して視聴してください。

まず最初のちょっとレトロでオシャレなMVはコチラ。
ドリアンの「Morning Calling」です。どうぞ!

YouTubeのサムネイル画像からしてインパクト満載ですが、MVの中身はもっとスゴイことになっています。
しかし、インパクトの強い映像に惑わされがちですが、楽曲自体が洗練され高いポテンシャルを持っているからこそ、バランスの取れたMVとして成立していることは明白です。

ドリアン(Dorian)さんは、そのネーミングが東南アジアの果物と同じでもあるためか一見東南アジアのアーティストのようなイメージですが、れっきとした日本のアーティストで、関東を中心に活動されているトラックメーカーと呼ばれるような方になります。
いつものパターンですが、MTVやスペシャ(スペースシャワーTV)などの音楽専門番組をウォッチする中で観たこの「Morning Calling」のMVが、ドリアンさんとの出会いになります。

すぐにこのMVの虜(とりこ)になり、「ドリアンって誰なんだ!」と色々情報収集したのですがほとんど情報がなく、今回の記事を書くにあたっても調べたのですが、それでも詳しい情報がないため謎な方です。(Twitter改めXにはライブ情報や楽曲のリリース情報が投稿されているので、活動は継続されているようです)

しかし、今回の調査で分かったこともあります。
なんと、TOWA TEI(テイ・トウワ)さんが立ち上げられた音楽プロダクション「hug inc.」に所属されており、チョット驚きました。
この「hug inc.」にはDJ FUMIYAさんも所属されており、これまた驚きです。
話はそれますが、DJ FUMIYAさんと言えばRIP SLIMEのメンバーですが、私としては同じRIP SLIMEのRYO-Zさんと共に「O.T.F(オシャレ・トラック・ファクトリー)」として私の大好きなHALCALIのプロデュースをされていた方という印象が強く、その意味でも不思議なつながりを感じます。
さらに、ZEN-LA-ROCKという、これまたイケてるアーティストの楽曲制作にも参加されていることも分かり、私の好きなアーティスト同士がつながっているのは不思議とうれしくなります。(ちなみに、ドリアンさんが参加している楽曲の中では、2ndアルバム「THE NIGHT OF ART」に収録されている「COMBINATE FUTURE」がドリアンさんのメロディーラインとZEN-LA-ROCKのラップがいい感じで融合されていてお気に入りです)

以前にそれぞれ掲載しているので、ご興味のある方はご覧ください。
TOWA TEIさんの記事はコチラ⇒「ダンス系洋楽MV三連発」
HALCALIの記事はコチラ⇒「2012年、それは3つの悲報があった年」
ZEN-LA-ROCKの記事はコチラ⇒「ZEN-LA-ROCKって何者だ?」

さて、この「Morning Calling」は、2010年にリリースされた1stアルバム「Melodies Memories」(メロディーズ・メモリーズ)に収録され、MVも同じタイミングでリリースされています。
つまり、もう13年も前になるのですが、全く古さを感じさせないのは、それだけ類似のMVが少なく、かつ同種の80年代ノスタルジック風MVの中でも突き抜けているからではないかと思っています。
それに、13年経った今でもたまに音楽専門番組で放映されるので、それも優れたMVである証ですね。

また、今回ドリアンさんのことを調べていて、もう1つビックリする情報がありました。
お高めシャンプー&リンスでおなじみのLux(ラックス)のテレビCMに、この「Morning Calling」が採用されていたのです。
CMが放映された時期は楽曲リリースの翌年である2011年ですので、CM制作の過程で楽曲を探してこの「Morning Calling」を採用したと思われるため、この事実から見ても楽曲の良さが認知された証拠ではないでしょうか。

MVの中では、イラスト風の映像に混じって様々なキャラに扮したドリアンさんが登場するというもので、デッド・オア・アライヴのピート・バーンズばりの風貌のものもあり、観ていて全く飽きません。
(過去回のデッド・オア・アライヴのMVの解説はコチラ⇒「デッドオアアライブのMVは、今もなお色あせず輝き続けている!」
また、めちゃくちゃインパクトのある映像ですが、映像作品ではなくMVとしてきっちり仕上がっているのは、楽曲そのものがしっかり印象に残っているからであり、楽曲のポテンシャルの高さが見て取れます。
このバランスの良さは偶然ではなく、考え抜かれて制作された結果と思われるのですが、詳細はのちほど解説しましょう。

1stアルバム「Melodies Memories」にはもう1つMVがリリースされているる楽曲があり、それが次に紹介するちょっとレトロでオシャレなMV。
ドリアンの「summer rich feat. hitomitoi」です。

まったりとしたイラスト風のアニメ映像が続くと思いきや、途中からドリアンさんが登場し、しっかり印象付けも行っています。
女性ボーカルが入った楽曲とのバランスも良く、サラッと見れる良作として仕上がっています。

1980年代に流行した「ハートカクテル」というアニメチックなオシャレ系マンガがありましたが、どことなくその雰囲気も漂っていると思うのは私だけでしょうか。
そして、アニメ風の映像に交じって登場するドリアンさんが担いでいるのが、「MC-909」というRoland社のグルーヴボックスの名機であり、この「MC-909」を持参して都内各所のクラブで活動されているようで、ドリアンさんといえば「MC-909」というぐらい有名なようです。

さて、ここからが本題です。
この「summer rich」のMVと、最初の「Morning Calling」のMVを比較すると面白いことが分かります。
最初の「Morning Calling」のMVは、楽曲そのもののポテンシャルが高いことに加えて、インストルメンタルの楽曲ゆえに曲そのものの良さを前面に出ているため、インパクトのある映像であっても楽曲が負けておらず、全体のバランスの良いMVとして仕上がっています。
それに比べてこの「summer rich」のMVは、楽曲の押し出しが少し弱く、かつボーカルを加えていることで柔らかい印象になっており、この楽曲にインパクトの強い映像を組み合わせるとバランスが悪くなってしまいます。
特に女性ボーカルの楽曲にドリアンさんだけが出まくるというのもバランスが悪くなるのは自明の理です。
そこで、印象付けが弱めで、かつ男女が登場するアニメ風の映像をメインにし、間にドリアンさんの映像をはさむことで変化をつけながら、全体のバランスを取っているのです。
つまり、この2つのMVのバランスの良さは決して偶然ではなく、狙って制作されたものなのです。

そして、この2つのMVを制作された方こそ、「ファンタジスタ歌麿呂」というブッ飛んだスゴイ方なのです!
ファンタジスタ歌麿呂というお方、お名前もたいがいヘンですがその風貌も独特で、その名前と風貌のイメージからは感性だけで突っ走り緻密な計算をされるような方ではないのですが(スゴイ失礼なことを言ってしまっていますが...)、実はメチャクチャ緻密に計算されていることが色々な作品から見て取れます。
もちろんブッ飛んだ感性をお持ちの方なので、この2つのMVも「ブッ飛んだ感性」と「緻密な計算」の2つがあればこそ実現できた作品と言えます。
このファンタジスタ歌麿呂さんについては、次回に特集を組んで紹介させていただきますので、期待してお待ちください。

今回は、ちょっと濃いめのドリアンさんのちょっとレトロでオシャレなMVを2つ紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
この2つのMVをご覧いただくと、「ドリアン」というアーティストの存在を忘れたくても忘れられなくなっていること確実です。

ではまた次回に。

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