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2012年、それは3つの悲報があった年。もう伊藤由奈もHALCALIもYA-KYIMもいない。悲しいが、素晴らしい作品は今もそこにある!(オススメMV #19)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の19回目です。(連載のマガジンはこちら)

本連載は、YouTubeにオフィシャルMVとしてアップされているMVのみに絞って紹介する...というルールを課しているのですが、今回はオフィシャルMVがないがどうしても紹介したい!というMVの紹介です。

そしてテーマは、「2012年に解散や活動休止をした女性アーティスト」。
3組紹介しますが、ソロ、2人組、3人組とちょうど1-2-3となりました。

では、最初はソロアーティスト、伊藤由奈さんの「恋はgroovy×2」です。

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上にも書きましたが、今回はYouTubeのリンクがないので、楽曲が入っているシングルCDのジャケットを載せておきます。
オフィシャルMVは私が調べた限りどこにも上がっておらず、MTVの録画分がDailymotionに上がっているのが唯一のようです。

伊藤由奈さんは、2005年上映の映画「NANA」でデビューし、劇中歌の「ENDLESS STORY」で歌手デビューも同時に果たしています。
スタートダッシュがすさまじく、同年の紅白歌合戦にも出場しています。
歌がうまいだけでなく非常に美しい方で、この「恋はgroovy×2」がリリースされた同年の2008年にはアパレルブランド「GAP」のイメージモデルにも起用されています。
この頃の伊藤由奈さんは、もうイケイケ状態です。

伊藤由奈さんはバラード系の楽曲が多いのですが、ラテン系でノリが良く、伊藤由奈さんの声量の高さも生かされているこの「恋はgroovy×2」がお気に入りです。
見ていただけないのにMVの話をするのもヘンですが、「恋はgroovy×2」のMVはメチャクチャおしゃれで、伊藤由奈さんの美しさを最大限に引き出している素晴らしいMVです。
楽曲と映像のバランスも良く、複数の場面を切り替えながら伊藤由奈さんの違った魅力を表現しながらも、楽曲がしっかり前に出ていて、何度観ても「いいMVだな~」と感嘆してしまいます。(皆さんに観ていただけないのにすいません...)

伊藤由奈さんは残念なことに2012年より歌手としての活動は実質休止されているのですが、ぜひ復帰してもらい、人生経験を積まれてさらに深みが増しているであろう歌声を聴かせてもらいたいと切に願っています。

さて、続いてのMVは、HALCALIの「ストロベリー・チップス」です。

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こちらも同様、YouTobeにオフィシャルMVが上がっていないので、シングルCDのジャケットを載せました。
なお、YouTubeにはオフィシャルではないMVはあるのですが、残念ながら本連載のポリシーとしてリンクは貼れません。申し訳ないです...

そもそも皆さん、HALCALI(ハルカリ)って知っていますか?
HALCALIは2003年にデビューした女性二人組のHIPHOPグループで、HALCA(ハルカ)とYUCALI(ユカリ)でHALCALI(ハルカリ)というグループ名になっています。

HIPHOPグループと書きましたが、ポップスにラップを組み入れたような楽曲が多く、独自の音楽性を持っていました。
その源泉となるのが2人のキャラクターなのですが、緩(ゆる)いというか自然体が持ち味で、楽曲やMVにその良さがにじみ出ています。

ケーブルテレビの音楽番組のMCもしていたのですが、なんと地上波TV、しかもキー局であるフジテレビの「新堂本兄弟」にYUCALIさんがレギュラー出演していたというのはスゴイ!(最後の数か月はHALCAさんも出演!)
HALCALIの曲も何回か披露しているのですが、それを見てジーンときたのを覚えています。
そういえば、ミュージックステーションに「今夜はブギーバック」で出演した時も、うれしくてジーンと来てしまいました...

多分、HALCALIは業界の人たちから愛されていたのだと思います。
だからこそ、色々な番組でMC枠をもらったり地上波キー局の番組にレギュラー出演できたんでしょう。
かくいう私も、業界人ではありませんがHALCALIの自然体のふるまいを応援せずにはいられなかったのです。
本当にもっと楽曲が売れてくれたらよかったのですが...

MVの話も少ししましょう。(皆さんには見ていただけませんが...)
この「ストロベリー・チップス」のMVも、HALCALIの自然体のいい部分が存分に発揮されているMVになっています。
それに、お二人の女性としてのチャーミングな部分もちゃんと表現されていて、非の打ち所がないMVとして仕上がっています。
観ているだけで楽しくてほっこりして、不思議と笑顔が出てしまいます。

本当にHALCALIは幸せ配達人のようなユニットでした。

しかし、そのHALCALIは2012年の活動を最後に、現在までも活動休止しています...
残念ですが、お二人それぞれ活動されているようなので、それはそれでよいことですし、みんなに配達してくれた幸せを今度はお二人に届くようになればいいな、とも思っています。
ありがとうHALCALI!

ちなみに、このMVはタナカノリユキさんという著名な映像作家が制作されていて、サスガ!と言わずにはおれません。
というと、上の伊藤由奈さんの「恋はgroovy×2」は日本のMV制作業界を立ち上げた中のおひとりである小島淳二さんが制作されており、やっぱりイイMVはイケてる映像作家が制作しているな...と思わずにはいられません。

さて、最後のMVは、YA-KYIM(ヤキーム)の「君がいるだけで」です。

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YA-KYIMもオフィシャルMVがアップされていないため、シングルCDのジャケットを載せています。(オフィシャルではないMVはYouTubeに上がっているようです)

YA-KYIMは、2005年にデビューしたHIPHOPグループです。
メンバーは、上のシングルCDのジャケットで左からMIKU、ALISA、YURIEの女性3名で、なんと幼馴染です。

YA-KYIMの歴史は、デビューから3年間と、その後の5年間に分かれます。
前半の3年間はHIPHOP色を前面に出して、「これぞB GIRL」とでも言わんばかりの服を着てメディアに露出しています。
デビューアルバムの「STILL ONLY ONE」に収録されている「Elec-Trick」という楽曲があるのですが(結構イイ楽曲です)、そのMVに出てくるメンバーの服装は痛々しく、特にMIKUさんは悲しくなってくるほどです。(しかし、皆さんダンサー出身なので、ダンスはキレッキレです!)
それぞれの個性を引き出すのではなく、HIPHOPやB-GIRLというイメージを前面に打ち出しています。

しかし、後半の5年間は三人それぞれの個性を引き出すアプローチに変わり(所属レコード会社を変えたのがきっかけでしょう)、かつ本人も大人の女性に成長していくなかで、各々の個性が際立つようになりました。

今回紹介する「君がいるだけで」は、移籍後の第二弾シングルで、米米CLUBの同名の楽曲をサンプリングしています。
そのため、「YA-KYIM respects 米米CLUB 『君がいるだけで』」が正式なリリースタイトルとなっています。
楽曲自体は、デビュー当時からの成長がうかがえる味わい深いもので、なぜこの楽曲が売れなかったのかが不思議でなりません。

さて、MVのほうですが、しっとりとしたテイストのMVで、三人それぞれがしっかり描かれており、染み渡ってくるようなMVになっています。
メッセージ性もあり、歌詞ともうまくリンクしています。
この楽曲もそうですが、移籍後にYA-KYIMが作詞している楽曲が増えており、その意味でも各メンバーがメッセージアウトしだしていると感じます。(それ以前はMIKUのみが一部の作詞を手掛けていました)

ちなみに、このMVは須永秀明さんというMV業界では有名な映像作家が制作されてて、やっぱりイイMVはイケてる映像作家が作っているという事実を証明しています。

素晴らしい楽曲とMVを送り出したYA-KYIMですが、特段「売れた」ということもなく、リリースしたアルバムやシングルもパッとしていません。
ネットで調べると、アルバムで最高30位(しかもファーストアルバムが30位で、以降下降傾向...)、シングルで最高36位でした。

所属した会社が何もしていなかったというと全くそうではなく、特に移籍後のアルバムにはTV番組やCMなどのタイアップが全曲(!!)付くという恐ろしいほどの力の入れよう。
しかし、女子高生を中心として一部では話題になったものの、それ以外では知名度が広がらず、私の周り(つまりオッサン連中)でも誰一人として知らず「それ何?」という状況でした。

なぜYA-KYIMが売れないのか?
何度考えてもその答えは出ません。
ルックスはいいし、歌唱力も悪くない(どんどんうまくなった!)、ダンスはキレッキレ、三人のキャラもかぶらず個性もある、楽曲も悪くない、所属会社も押している...にもかかわらず、なぜ???

しいて言えば、「YA-KYIMらしら」を作れなかったからかもしれません。
「らしさ」ってなんだ?と言われても明確に答えることができませんが、上に紹介したHALCALIは「HALCALIらしさ」というのが存在しています。
HALCALIの二人が歌う楽曲には、HALCALIでしか出し得ない味があり、新曲が出ても「おっ、HALCALIだ!」と毎回思っていました。

しかし、YA-KYIMの場合は、その楽曲や歌声に味わいはあるものの「YA-KYIMならでは」という味わいではなかったように思います。
あいまいな表現であり、こじつけのようでもありますが、逆に言うとそれぐらいこじつけないと、売れなかった理由が思いつかないのです。

メンバー三人も努力していたのではないかと考えています。
デビュー当時より数年の間に明らかに歌唱力がアップしており、歌に艶も出てきているので、努力の跡がうかがえます。
自分自身を磨く努力もされたのでしょう。大人の女性としての魅力もどんどん増していました。
しかし、それが結果につながらなかった...

つらいことではありますが、それが現実です。
でも、悲しむことではありません。
YA-KYIMの三人が輝いていたことは事実であり、私を含めて「YA-KYIMっていいな!」と思う人たちも大勢いたでしょうし、その中には今でも楽曲を聴いている人もたくさんいるでしょう。

全ては終わるときが来るのです。
しかし、精いっぱい取り組んでいれば、残るものがある。
それをこの3組のアーティストは教えてくれます。

今回は、同時期にデビューし(2003年~2005年)、全く同じ2012年に解散もしくは活動休止した女性アーティストを3組紹介しました。
オススメMVの紹介というよりアーティスト紹介になってしまいましたが、お時間があればこの3組(特にHALCALIとYA-KYIMを!)の楽曲を聴いて、またMVを観ていただければありがたいです。

次回からはキチンとMVのリンクを貼って紹介します。
ではまた次回に。

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