生き神クマリに会った日
こんにちは。写真家のMiNORU OBARAです。今回は、ネパールの最大のお祭りの中止報告を受け、以前のお祭りでネパールの生き神様クマリに会った日のお話を。
過去に別のブログで書いたTシャツ宣伝用の記事を一部加筆変更したものです。
なので、TシャツのCMが含まれますので、悪しからず。
早速行きますが、そのTシャツというのが、ネパールを旅してその途中、宿でデザインした『生き神クマリTシャツ』。
(*Tシャツの詳細は画像をクリック)
きっと「クマリって何のこと?」と思われる方も多いと思いますので、お話しさせてください。
その時の旅での一番の目的は、『クマリ』に会うことでした。
クマリとは、分かりやすくで言うと「生き神さま」。生きた人間に神様を継承させるという、ネパールに今も残る生き神信仰の象徴的存在です。
・・・全然分かりやすくなかったですね。
もう少し噛み砕きましょう。
ネパールには、およそ三千万人の人が暮らしています。中国やヒマラヤやインドと国境を接しているためか、数多くの民族からなる多民族国家でもあります。そのネパールで信仰されている二大宗教が、仏教とヒンドゥー教。クマリは、ヒンドゥー教の神として、今を生きるとされています。
ヒンドゥー教にはたくさんの神様が存在していますが、有名なのが、「ブラフマー」、「シヴァ」、「ヴィシュヌー」。
この三体が三神一体とされ、それぞれ、創造、破壊、維持、の神様なんですね。
ヒンドゥー教は、登場人物が多く、かなり複雑なのですが、この三神からどんどん子どもが生まれて一族になる、という人間と同じような世界が繰り広げられています。
なかなか面白い。
皆さんは、「ガネーシャ」って聞いたことありますか?
体は人間で頭は象の形をした富と学問の神様です。アジアン雑貨店などで、よく見かけるアレですね。
見たことあります?
このガネーシャは、先ほどお話したシヴァ神の長男とされています。性別もあるんですね。もはや見た目じゃ分からない。
そして、今回の話題の中心クマリは、シヴァ神の奥さんの一人、ドゥルガー神と同一視された存在だと信じられています。
(厳密にいうと、ガネーシャのお母さんであるパールバティのダークサイドとして分身したのがドゥルガー。下の写真はドゥルガーの石像。)
つまり、クマリは日本でも有名なガネーシャのお母さんなんです。
なんとなく、身近になってきましたか?笑
さて、肝心なクマリですが、サンスクリット語で、「処女」や「少女」と言う意味なのだそうです。そして、その名の通り、人間の少女に代々受け継がれます。
もちろん誰もが選ばれると言う話ではなく、聞くところによると、まずは「ネワール族である」ことから始まり、「牛が首を切り落とされた場面を目の当たりにしても怖がらない」など、32個の条件があるそうです。
そして、儀式に則って継承者が決められるのだそうです。
クマリはまさに神様なので、普段は人前にお目見えすることはありません。
そんなクマリが、唯一人前にその姿を表すのが、インドラ・ジャトラという大祭の時です。合計8日間続くお祭り期間中で、お目見えはたったの三日間。三日間と言っても神輿に乗って街をぐるりと一周するだけなので、時間にするとお目見えは一年間でほんの数時間あるかないかなのです。
そのインドラ・ジャトラに、参加してきたというわけです。(やっと話が繋がった。)
とにかく、恐ろしいほどの群衆でした。何度も押しつぶされそうになりました。しかし、クマリに会うために、耐え続けました。笑
そして、やっとのことでお会いできたクマリを間近で撮影させていただいた写真を、この度Tシャツにしたわけです。本当は撮影禁止。今回は特別に許可をいただきました。
冗談抜きで、クマリにもっとも近づいた日本人は僕だと思います。たぶん。笑
それはさておき、そんな、なんともご利益のありそうな話ですよね。
さらにもうひとつのショートストーリーを。
生き神様にお会いしたヒンドゥー大祭の裏側で、僕は4000ルピー(およそ4000円)とスマホとwifiルーターを失くしました。
ただ落としただけか、すられたのかは、定かではありませんが。
しかし、不思議と欠乏感や悲壮感はありませんでした。
逆に、僕の幼少期に祖母がしつこく言っていた「すべては流れの中にある。」という言葉が、やっと腑に落ちたのです。
「4000ルピーも、スマホもwifiルーターも、少しの間僕の所に留まってくれただけで、また次のどこかへ流れて行っただけのだ」と。
例えば、誰かのご飯代になったり、リサイクルされて新しい機械になったり。
生き神クマリも、初潮を迎えたら、また新しいネワール族の子どもに引き継がれ、一般人と同じ生活をするのだそうです。
すべては流れの中にある。
そのことに気づかせてくれたインドラ・ジャトラ。
感謝の想いも込めて、Tシャツにはそんなキャッチコピーも添えました。
また、ヒンドゥーで聖なる花とされているマリーゴルドをモチーフにしたデザインも施しています。
そんな、思いが詰まった旅の一枚。
この機会に、ぜひ。
ということで、今日はTシャツの紹介色が濃い記事ではありましたが、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
クマリに関しては、まだまだ書けそうなので、また書きますね。
それでは、次の記事でお会いしましょう。
*この時撮影させて頂いたクマリの写真はこちらからご覧いただけます。(有料版)
とても貴重な写真ですので、初の試みで有料記事にさせていただきました。ぜひご覧くださいね。
□『アフターコロナに会いましょう』MOVIE -クマリに会った日-
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