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「本を語る」100日100冊チャレンジ 第68日「時々、死んだふり」


❶[1BOOK]
「時々、死んだふり」
横尾忠則 ポプラ新書244  2023年9月11日

❷[3POINT +1]
◎「はじめに」
人間は、一生の間にこうして何度も「死んだふり」をしながら、いつか本番を迎えるようです。僕にとってのスタートは、死からの出発です。「先に死んだもん勝ち」という幼児的遊戯を、この87年間続けてきたような気がします。

①本当に死にそうだった
☆僕は病気と闘わない
ピカソ、キリコ、マチス、デュシャン、ウォーホルは皆軽い。社会が重苦しくなると絵も重苦しくなって重いのを好む。人生は軽やかでなければいけない。そして単純でなければいけない。絵も同じ。

②面倒くさいで救われる
☆「面倒くさいことはやらない」主義
突き詰めて突き詰めて論理的に解明しようとすると、そのことにとらわれて悩みがどんどん膨らんでいくこともあります。また、そもそも自分ごときには処理しきれない事柄かもしれない。それならば、「面倒なことをしない」という無責任さで対応したほうがいいんじゃないですか。無責任な、と誰かが顔をしかめてもかまわない。この無責任さを貫くのにも、なかなか責任が伴うので大変です。

③新しい作品、新しい生き方
☆この年で手に入れた新たな画風
画風の変化も含め、僕は変わったということをポジティブに考えています。例えば線をぐにゃぐにゃにしか描くことができませんが、これは若い頃にはなかったことです。この歳になって、新しい画風を手に入れることができたと考えれば、大いに喜ぶべきことでしょう。

❸[1ACTION]
[実行すること=自分との約束]
「死んだらどうなるかということを心配するよりも、今を一生懸命生きること」

[思いついたこと]
著者である横尾さんのように、ぶっ飛んだ人の話は、とにかく面白い。朝日新聞の「書評」を担当されたときには、活字自体を逆さまに並べてみたり、「誤植?」と思われるような文字を使ったり。また、テレビで「三叉路」の魅力について熱く語っていたり。まったく「型」にはまらない人だな〜とつくづく感じるのです。我々のような一般人には、理解できないくらい、スケールが大きいというか、そもそも尺度が違うような〜。

おそらく、そんな人を「天才」と呼ぶのでしょうね。横尾さんに直接会ったことはありませんが、ジャズ界の天才「山下洋輔さん」にはお会いしたことがあります。若い頃、ライブハウスで働いていた浅井と結婚したことで、ジャズミュージシャンの方々とは親交がありました。未熟な時に、そうしたケタ違いの方々と交流できたことは、自分にとって貴重な体験であり、その後の人生に大きな影響を与えたのは事実です。

[そして]
この本の中で、「豊島横尾館」の話が出てきます。瀬戸内海にある島ですが、直島とともに、行ってみたい場所のひとつです。福武書店が「子どもチャレンジ」を始めたとき、うちの娘にも、買い与えました。いわゆる通信教育教材だったのですが、娘はほとんど読みもしなかったのに、「直島のキャンプ」にだけは興味を示し、5年生の時に参加しました。学校の行事でも家族旅行でもなく、生まれて初めて、たった1人で「見ず知らずの人たち」の中へ飛び込んでいったのです。

私は、集合場所の岡山まで送迎しただけですが、行く時の不安げな様子と打って変わって、明るい笑顔で帰ってきた時は、ほんの少し大人になったような気がしました。チャレンジするということは、こういうことなんだな〜と今でも思います。そして、再会した時は、開口一番「来年も参加したい」その言葉がすべてを表しています。その直島には今、美術館もできています。いつか必ず、豊島・直島を訪問したいと思います。

❹[1episode]
☆自分の寿命、絵の寿命
死ぬ時は「もう十分、後はやることがない」というのが一番いいと思う。そうなると思いや執着を向こうに持っていかなくて済みますから。僕自身、あれも描きたい、これも描きたいと思って死ぬと思いが残ってしまうでしょう。それは少し厄介ですね。
いつ死ぬかわからないから、今、これで思い残すことはない、いつもそう思っておくことが大切です。これが自分の最後の一作だと思って描けば、思いが残らない。いつもその気持ちを持ち続けて、それを支える肉体がどこまで対応できるかということになります。
じゃあ、僕が今そういう気持ちで描いているのか、といわれると、残念ながらそうではないです。今死んだら絵のほうが長生きするから、まずい。つまり、僕にはまだ絵が必要なのです。また絵が先に死ぬと、生きている意味がなくなってしまう。絵の死と自分の死が一致するのが理想的だけど、まだ一致していない。そのために、もう少し自分が生きていないと絵に申しわけないと思うのです。


#望月俊孝
#4C速読
#継続は力なり
#宝地図
#読書会

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