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詩集・小瓶の蝙蝠

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2017年9月の記事一覧

黄昏は迷路

黄昏は迷路

ケロイドを這う その得体のしれない指先
目の前にいる女が 申し訳程度についた私の傷跡を
そんなに優しい目で見つめるもんだから
私は悲しくて 切なくなった
その女の腕は 茶色く変化してでこぼこで
一種の彫刻のようだった
出来損ないの 斬新な 彫刻作品
あなたの傷は 私には背負いきれない
背負おうなんて思わないで
女はそう言って 優しく包み込む
一緒に来て欲しい
そう囁くと 私は落ちていった

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あいたい

あいたい

そういう脱力感のある女の子によく惹かれた
白い肌の透明感だとか 優しいまなざしの先だとか
そういう自分にない 特徴やしぐさに ときめきを感じた
あれは はつこいだった
そう断言してしまうには曖昧で
わたしは空中分解してしまいそうだ
幼い頃の記憶だけ独り歩きして
時を経て出会ったあなたは もう別人で
わたしは自分の進歩の無さに
恥ずかしさを感じて 脳みそが縮れた
できるなら ふたたびその手に

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