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【シンクロニシティ】なぜ、私はこの本に意味を感じるのか

花は枯れて種になることで、生命をつなぐ

光岡知足という人がいた。腸内細菌研究の世界的なパイオニア。昨年2020年に90年の人生の幕を閉じた。

花は咲いて、枯れて種になることで、生命をつなぐ。そう、次の花を咲かすためには、死んで種になる必要がある。光岡先生が残したその種が間も無く世に出るが、私はこの種から芽が出て、花が開くのを見たいと思っている。

はじまり:母と光岡先生の出会い

私のこの本との出会いは、30年以上も前の母と光岡先生の時空を超えた出会いに遡る。当時母は、埼玉県深谷市で嫁ぎ先の家業を手伝いながらも、自分の生き方を模索していて、偶然から乳酸菌の販売に出会い、この道で正しいのか、まだ迷いのあるところにいた。その母の背中を後押ししたのが、知人からもらった医師会誌に載っていた光岡先生の論文だった。

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直感的に「へえ、こういうことなんだ。人が健康になるってこんなシンプルなことなんだ。なにこれ、おもしろ〜い。」と思ったらしい。そこから、母は「お腹を健康にする」ことが全身につながるという仮説?を実践によって確信に変えていった。母はこの乳酸菌販売という天職に出会って、いっとき失っていた自信を取り戻し、人にエネルギーを与える人になり、生活も支えながら、「自分の仕事」を確立する。言えば、光岡先生は、母の恩人である。

葉山での思わぬ再会

11年前に今いる葉山に移住してきてからも、相変わらず乳酸菌の販売を続け、この地でもお客さん(理解者)を増やしていった。そんなある時、葉山唯一の本屋である文教堂の郷土のコーナーで、この光岡先生の本(大切なことはすべて腸内細菌から学んできた〜人生を発酵させる生き方の哲学〜)に出会うことになる。

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郷土のコーナーに、なぜ腸内細菌の本?というところだが、そこには葉山にあるハンカチーフ・ブックスという小さな出版社から出された本が一覧のように並んでいて、母はその中の1冊を手に取ったのだった。偶然に驚いた母は、早速本を読み、内容に感激。結局30冊ほどまとめ買いをして、ことあるごとに人に配っていた。

わたしの出会い:なんてエッジの立った出版社が葉山にあるんだ!

「大切なことはすべて腸内細菌から学んできた」は、全部で80ページほどの小さな本で、私は家に会ったこの本をなんの気無しに読んで、あっさり心を鷲掴みにされてしまった。

腸の内部を一つの生態系、すなわち小宇宙に見立てた場合、宇宙の意思に従った生き方ができているかどうかが問われてくるということです。P.8

これだよ、これ!当時、私はセカンドキャリアで看護大学に通っていたけれど、西洋医学的な取り扱いでの「疾病」の見方は、必要だけれど片手落ちのように感じていて、全体性を扱う理論に心惹かれていたから、すべての言葉がすっと入ってきた。大切なことが、シンプルに平易に書かれている。

その他のハンカチーフ・ブックスの本も、家に何冊かあって、乾いた身体に水を入れるように読むと、「真理なんだけど、世の中的にはまだ本流ではない」そんなある意味エッジの立ったものばかり。なんで、こんな出版社が葉山にあるんだろう。いつかここの人たちに会いたいな、と思っていた。

古民家カフェCafeteroからご縁をもらう

いつしか看護大学も卒業し、その後産業保健師として勤めた企業を後にして、「まみーたを生きる」をまさに始めた頃、地元の古民家カフェCafeteroによく足を向けるようになっていた。

ある日、いつもの豆を買いに行くと、バリスタのあんちゃんがすぐに売ってくれず、「豆が変わったから、試飲してから買って」と説得してくる。いやあ、時間がないんだけどなあ、と思いながら、試飲のカップを待っていると、あのハンカチーフ・ブックスの新刊を販売しているのが目に入ってきた。

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しかも、編集長(長沼敬憲)さんが書いている。聞けば、このカフェの常連らしい。パラパラとめくるとなんとも面白そうな内容で、即買うことを決定。で、また店内を見回していると、月末にやっているという日曜朝のヨガのチラシを見つけた。面白そう!たまたま、その日曜日は空いていたので、早速申し込むことにする。

そして、結果的になんだけれど、朝ヨガが終わったあと、長沼さんがカフェに来て話をする機会ができ、これがきっかけで、長沼さんとそのパートナーの恭子さん、ヨガ講師の福島泉さんと、5月からカフェでの月一対話会が生まれることになった。

乳酸菌がつなぐ出会い

対話会を通して、長沼夫妻と近しくやりとりをするようになる中、葉山のアーティスト真砂秀朗さんのお宅に遊びに行くことになる。真砂さんは、インディアンフルートの奏者であると共に、デザイナーでたくさんの絵を描いている。母親の乳酸菌のご縁で知り合って話をする中、長沼夫妻と絶対に話が合うと思って、つなぐ機会を設けさせてもらった。

折しも、長沼さんは、亡くなったばかりの光岡先生の本を、新しい内容を加えて、新装版で出そうとしていたところで、真砂さんの1つの作品を表紙にしたいというアイディアが長沼さんに降ってきた。

そして、間も無く2021年10月16日に発売される本のこの表紙の絵は真砂さんのもの。この絵のタイトルは「アマテラス」で、真砂さんが葉山で手がけている不耕起栽培の棚田での田植えの様子と太陽を描いている。この太陽が、腸内細菌を培養するときのシャーレにも見えるし、棚田にはたくさんの菌が生きていることを考えると、本当にこの本に必要なエネルギーを吹き込む絵だったという気がする。

シンクロニシティ:この本には意味がある

この本が葉山という街で生まれるまでには色んなストーリーがある。光岡先生の人生、先生と長沼さんの出会い、ハンカチーフ・ブックスの最初の1冊として出した「大切なことはすべて腸内細菌から学んできた」、その本を作り上げる過程、光岡先生の死、母〜私〜真砂さんとつながってできた表紙、長沼さんが新装版を共に作る仲間、その全部を共に歩いてきた長沼さんのパートナー。私が知っているだけでも、本当に多くの人の、「自分を生きる」のエネルギーがシンクロ的に重なって、作り上げられた本なのだなあと思う。

そして、本を読めばわかるけれど、光岡先生の人生は本当に純度が高かった。健康の本をたくさん書いてきた先生だけれど、もうそれはよくて、腸内細菌研究から得られた生き方や哲学の本なら書きたいと言っていたと言う。そこを本当に理解した長沼さんが、一般的な編集者では切り捨ててしまう部分を、大切にど真ん中にして、再び世に出す。純度の高い人生が結晶化された、新しい生命を生み出す種のようなものだ。

新しい本のタイトルは「共生の法則」。コロナの時代に生きる私たちに、とても大切な内容だ。まるで、そのことを知っていて、光岡先生はその生涯を終えられたのではないかと思うほど。今まさに、この種が花を咲かせるように、と。

この本には意味がある。ここから、新しい時代の花が咲く。

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