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鳰の海に響け腹鼓 ~6分の1 NIHON OUMI 、半分は森林~

ゲジナンで良いじゃない
そう言いたかったけど
免許のない私には関係なかった

マイカヌーを手に入れて
鳰の海に漕ぎ出したい気分さ
マイカヌーって船舶免許いるのかい?

家の中に時々ゲジベビーが入ってくるけど
乾燥に弱いのかすぐ死んじゃうんだ
そんなゲジベビーをそっと手のひらに乗せて
外にポイすることは偽善なのかな

稲妻に浮気した罪滅ぼしがしたいんだ
郷土富士にへばりついた大百足に触れる勇気はないけど
ゲジにならそっと触れられる気がして

私の心は
フローティングスクールのあの日から変わっていない
水平線を望む遥かなる鳰の海に漕ぎ出したいけれど
ヨシ原に突っ込んで鳰の巣壊すことに怯えてる

怖いんだ果てしない水平線が
右ヨシ左ヨシ三方ヨシ
そんなことにさえ自信が持てなくて

外来魚回収ボックスに腰掛けて考える
ブルーギルとブラックバスと
それを食べたかもしれないカワウの命をさ
ダイダラボッチにとってはすべて
一掬いの土の欠片かな
私の手のひらに乗せた小さなゲジベビーみたいな

はずむ心抑えきれない
ゲジと鳰の命の重さ
どっちも同じはずなのに
私は常に浮いた人でありたいんだ
そうきっと我は海の子

橋の上からもう見えやしない
遊園地の追憶を辿るだけ
少なくなった面影をマンホールの蓋に求めてる
対岸で輝くホタルに気づかないまま

ベトナムの日の車輪に思いを馳せる
今日も元気でやってるかい?
なんか風車までいなくなっちゃったよ

もうゲジナンの称号に怯えなくていい
ゲジだって自切するくらい臆病なんだから
私の弱さも
玄関にばらまかれた脚と一緒に許してあげたいよ

忍者みたいに強くなれないんだ
水底を虫取り網ですくって
集めたヒシの実を撒菱って言い張ってるだけ
でもこれ乾かしたヤツ売ってたもん
心の迷宮からくり屋敷

お土産屋さんで狸のキーホルダー探してる
見つけたら一声かけてよ
年賀状はヨシ紙ハガキでお願いね

マイカヌーに乗れたらヨシ笛吹きたいな
ソプラノリコーダーより音量少ないから
このご時世にはちょうど良いでしょ
ヨシとアシは紙一重どころか同じだった

南から聞こえる狸の腹鼓に揺られて
引き出しにしまいっぱなしだったヨシ笛に口付けた

なんかオオユスリカめっちゃ飛んでる

たまにはオオユスリカにむせかえりながら
鳰の海と心一つにするのもいい

ヨシアシの森に囲まれて
外来魚回収ボックスとカワウの群れまで
小音量で鎮魂の音色届けるよ

ゲジナンを恥じることも同じだと思うから
ヨシ原に突っ込んで鳰の巣を壊すことに怯え続けるより
ナマズに祈りを捧げましょう
いつか大百足にだって触れることができる

カワウソたちが化けたあの日まで連れて帰ってよ
あっちもこっちもぽんぽこぽん
盆地で腹鼓が木霊する

棚田の景色に会いに行こうか

急がば回れ
星のように

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