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凍晴

「あなたが未来を幸せに生きることで過去が救われるんだよ」


どんな話の流れでこの会話になったのかは覚えていない。
でもこんなことを言われるってことは何か喋っちゃったんだろうな私。

すごく嫌だった。
何がそんなに嫌だったのかな。分からない。
でも、嫌だなあと思った。
月並みな言葉だから?分かったようなことを言うな?そんな思い上がった感情はない。

ただ、そうだなあ。その言葉を受け入れてしまうと私が消えちゃいそう。

理屈は分かるよ。私だって馬鹿じゃないもの。でも結局受け入れられないのは私だ。その私が認識を変えることによって世界はいくらでも変わると思う。

私はあの子が好き。
大事で、大切。
たったそれだけのことだ。
それだけのことなんだけど、そのそれだけが私にとってどれだけの意味を含むのだろう。
全てのように感じる。そう思って生きてる。そうやって縋らないと、自己喪失に繋がる、はず。試していないから分からないけど。

結局私なんてものは消えない。
世界なんてものも後付けでしかない。
良いも悪いも関係ない。
客観的に見た普遍的な幸せのためにはどうあるべきかだって理解している。
誰だって幸せになりたい。私だってその方がいい。

勇気が無いだけ。


「そんなの無理だよ」


何回も考えた。
何回だって考えて、疲れてしまった。
それでも何かの隙に考えてしまって、疲れてまた考えるのをやめて。
だけどこうやって、こんなきっかけとはいえ、真面目に考えると、あーほら、泣けてきた。
あーあ。たった一条のために拭う動作が気だるいな。

さっき理屈は分かるとか言ったけどやっぱ分からん。
私がこれからをどう生きようが過去は変わらないじゃないか。
幸せに生きようが、不幸に生きようが、それは私の勝手であって…。
あー…。
そっか、この人はただ私に幸せになってほしいだけなんだ…。

ここまで分かっていても手放せないのは私の弱さなのだろうか?
人はそうも簡単に、いや簡単にとは言わずとも、困難を経て?己を手放せるものなのだろうか。
人は変われる?変えられる?違う、変えたくないだけ。

恐怖とか罪悪感とか、色々ある。
色々あったし、時間とかも経っちゃって、それでどんどん複雑になってしまっていっているのも否めない。
だけどもっとこう…簡単に言えるかも。


「だってそんなの、可哀想だもん……」


読んでくださりありがとうございます!! ちなみにサポートは私の幸せに直接つながります(訳:おいしいもの食べます)