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情死

春は死んだ。

わたしがころした。

春に殺された。

出会いと別れ。
死んでは生まれ。

草木は息絶え、
玉火が芽吹く。

春心はとうに枯れた。

きみは春に似ている。


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きみをころせばきみに逢えるだろうか。

わたし?

わたしはいきるよ。

だってわたしがいきていなくちゃあ
どうやってきみを捜すのさ。

ああ、こんなところにいたんだ。

そりゃなかなか見つからないわけだ。


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咳が止まらない。

記憶の再燃が止まらない。

花なんて吐けないのに、

あなたのこと、もう思い出せないのに、


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「そんなもの地獄以外の何物でもない」

残した言葉をなぞり私は唖然失笑した。
まさに言い得て妙、いつだってすごいのは過去の自分だ。今の私には到底追いつけない。

そうか地獄か。地獄だな。
どうやら地獄にいるらしいんだ。

これは私の推測だけど。
彼女はずっとここにいたのかな。
たまに抜け出して私に会いに来ていたのかな。

初めて彼女に出会った夜。
あれは彼女なりの精一杯の存在証明だったのかもしれない。
あの日のあの世界は、やたらと不安定だったから。

そうだ。きみはそんなふうには笑わないよね。
私にですら身構えさせてしまったのだね。
本当にごめんね。
私がずるい人間だから。私が悪い人間だから。

いいように扱っていたね。ごめんなさい。

忘れないようにするよ。
したいよ。
できるだけ。

ごめん。

ごめんなさい。


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意気地なしと言われたその言葉の意味がようやく分かりつつある。

きみって誰よりもじぶんとわたしのことを分かっている。

あのね、ようやく勇気が持てたんだ。

大丈夫、怖くないよ。
私がいつだってそばにいる。
ずっと抱きしめてあげるから。
私はずっとあなたを愛すから。

生まれ変わりなんていらないね。
新しい人生なんていらないよね。

私は生きてきた。
あなたも生きていた。
それ以上のことはないよ。

もう怯えなくていいんだ。
やっときみに触れられる。

どうなるかなんて分からないけど
まあなるようになるさ!
私達そうやって生きてきたね。

私は変わってしまうかもしれないけど
あなたは変わらないけど
私達ならきっと大丈夫。

さあ、足を前に出すだけ。

どうなるのかな。

やっぱり変わるって怖いや。
そう思わない?

さあ、足を前に出すだけ……。


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どうか、私のエゴじゃありませんように。



読んでくださりありがとうございます!! ちなみにサポートは私の幸せに直接つながります(訳:おいしいもの食べます)