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豆寄席「衛星データ利用の最前線!」のレポート

こんにちは!豆蔵note編集室です!
今回は豆寄席レポートをご紹介します。

What's 豆寄席?

豆寄席は、豆蔵が毎月社員向けに行なっている技術イベントです。是非この場を皆さんとの交流の場として活用したい!そんな声をもとにオープンな場として提供する事に致しました。豆寄席では、豆蔵の技術的知見、開発スタイル、開発の楽しさ等を皆さんと一緒にお話しさせていただいております。connpassを通じて無料のオンラインセミナーとして開放中です!是非お気軽にご参加ください^^

テーマ:衛星データ利用の最前線!

数百キロメートル上空から地球を観測する衛星リモートセンシング。各国の宇宙機関だけでなく、民間企業も参入し、現在は数百機の衛星が地球を周回しながら観測データを地上に送信しています。 以前は数週間に1度の頻度で入手していた観測データは、衛星数の増加により、今では毎日データを得ることが可能になりました。衛星に搭載される観測機器の性能も向上し、より細かく、高い精度で観測が行われています。 また、欧米を中心に各国宇宙機関は観測データを無償化しており、過去40年にわたる観測データに誰もがアクセスできるようになりました。 データ量の爆発的な拡大と一部データの無償化は、AIによる解析技術の発達と相まって、衛星データの利用が広がっています。様々な利用事例を交えながら、新しい時代を迎えた衛星リモートセンシングについてご紹介します。

以下、豆寄席レポート


AI技術チームによる技術発信 第1回

2021年6月1日に社内で若手メンバーを中心にしたAI技術チームが発足しました。このチームは、豆蔵がこれまで培ってきた人工知能(機械学習)分野における先端技術を活用した質の高いデータ分析・基盤構築サービスに関する知見を、広く社会へ実装できるように情報提供することを目的として設立され、先端技術活用のデモンストレーションとなるようなシステムもしくはソフトウェアの構築も行っていく予定です。

今後、AIに関連したテーマで、技術情報を定期的(月1回程度)に発信していく予定で、今回はその第1回目になります。
今回は一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)の向井田明様と亀井雅敏様をお招きして2021年6月25日に行われたイベント、第7回豆寄席「衛星データ利用の最前線!」についてレポートします。

このイベントは以下のような2部構成で行われました。
- 亀井様による講演(1時間)
- 向井田様、亀井様と当社AI技術チームメンバーの石川、松永によるパネルディスカッション(30分)

亀井様による講演


イベント前半の講演では人工衛星によるリモート・センシングとその活用方法について以下の項目でご説明いただきました。
1. (亀井様とRESTECの) 自己紹介
2. 「リモセン」の概要
3. 最近のトレンドとデータ爆発
4. 最前線な利用事例12選

1. (亀井様とRESTECの) 自己紹介

2. 「リモセン」の概要

そもそもリモート・センシングとは物体や現象に触れることなく、それらを調べることができる技術のことです。人工衛星もリモート・センシングの技術の一つで観測対象までの距離は、例えばLandsat(地球観測衛星)では700km、ひまわり(静止気象衛星)では36,000kmになります。

一般的に衛星の空間分解能(解像度)と観測幅(一回で観測できる範囲)はトレードオフの関係にあります。そのため、解像度を高くすると観測幅が狭くなり、広範囲をカバーするのに時間がかかってしまいます。例を挙げると、Landsatの場合、分解能は30mですが観測幅は185㎞です。一方、ひまわりは常時全球を観測することができますが、その解像度は500mです。

しかし、この10年で衛星はかなり小型化が進み、コンステレーション(衛星群)化することで高解像度かつ高頻度の観測が実現しています。Planet社の場合、100機以上の衛星で毎日同じ場所を観測することが可能です。衛星の小型化、コンステレーション化により衛星数が増加し、それに伴って衛星による取得データ量も増加しています。例えばNASAでは、2022年以降は年間50PBのペースでデータが増加すると試算されています。

3. 最近のトレンドとデータ爆発


近年、衛星データは無償化される傾向にありクラウド上で解析するプラットフォームがいくつか提供されています。日本ではさくらインターネット社によるTellusが運用されています。

4. 最前線な利用事例12選


講演の最後では以下の12個の事例が紹介されました。
1. 新国立競技場建設前の環境アセスメント
2. 電力会社による風力発電候補地の選定
3. 石油タンクの画像の分析をもとにした先物取引情報サービス
4. 漁場情報の提供
5. IUU(違法・無報告・無規制)漁業の取り締まり
6. 森林管理や違法伐採の取り締まり
7. 農林水産省による水稲の作柄予測
8. 効率的な米作りのための営農支援サービス
9. 筆ポリゴン(農地の区画情報)の更新
10.損害保険会社による農業従事者向け天候インデックス保険
11.損害保険会社による損害保険査定ステップの大幅な短縮
12.レーダーの技術を用いたインフラ監視や防災・減災のサービス

どの事例も衛星データのみを提供しているわけではなく、AIなど他の技術や顧客情報などの他の情報を組み合わせることで新たな価値を創造し、サービス化しています。

向井田様、亀井様と当社AI技術チームメンバーの石川、松永によるパネルディスカッション


イベント後半では、以下の題目でパネルディスカッションを行いました。

・地球観測衛星で何ができるようになってきたか?
・衛星解析の最近のトレンドは?

前半の講演でも説明がありましたが、近年、衛星の小型化・コンステレーション化により高解像度・高頻度の観測が可能になってきました。しかし、常に同じ角度から観測しているわけでは無いので高さのある構造物は歪んでしまいます。そこで、最近ではある一つの地点を複数の衛星で観測し、その複数のデータを解析することで高さ方向の歪みを補正し、3次元のデータとして扱うようになってきています。

衛星データの活用に関して「実証」と「実装」は違うものだという話題も出ました。たいていの場合、「衛星データは使える」と分かっただけで終わってしまいますが、それを実装するためには地道な努力が必要になってきます。実装の事例として、現在都市計画図の更新に衛星データが活用されつつあります。


以上が豆寄席「衛星データ利用の最前線!」のレポートになります。

やはり、衛星データというと最初は扱いにくいというイメージを持たれるかもしれません。しかし、今回多くの事例を紹介していただいた中で、自分に関係のある身近なデータと衛星データを組み合わせることで新たな価値が創出できないかを考えることが重要だと感じました。

次回の技術発信は8月を予定しております。

最後に

今回の豆寄席レポートはいかがでしたでしょうか?
豆寄席は月に一度オンラインにて実施しておりますので、ご都合の宜しい時に是非ご参加ください!
※転載元の情報は上記執筆時点の情報です。
 上記執筆後に転載元の情報が修正されることがあります。

関連情報

豆寄席紹介ページ:https://mamezou.connpass.com/

※転載元の情報は上記執筆時点の情報です。
 上記執筆後に転載元の情報が修正されることがあります。