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結局『ぼっち・ざ・ろっく!』と『けいおん!』は似ているのか似ていないのかという話

2022秋アニメにおいて『ぼっち・ざ・ろっく!』が話題になって記憶が新しいが、その際、表記タイトルのような議論を経験した人も多いのではないだろうか。
『ぼっち・ざ・ろっく!』を語るに当たって、かつて一大ムーブを引き起こした『けいおん!』との比較は、オタクにとっては避けては通れない道である。

そして世の中には2種類の人間しかいない。
言うまでもなく、似ている派と似ていない派のどちらかである。
今回は、この議論についての自分の意見を述べていきたい。


結論から述べると、自分は似ている派である。
あくまでも自分の独断と偏見を交えた実感においてではあるが、この議論において似ている派は世間的には少数派なのではないだろうか。
より正確に言えば、「両者を履修したアニメオタク」の方々には、おそらく似ていない派の方が多いのであろう。
よって、普段アニメを見ない層のいわゆる「どっちも同じに見える」というような身も蓋も無い意見はここでは考慮しないものとする。

ただし、これから自分が述べようとしているのは、そんな似ていない派を説き伏せて似ている派に改宗してもらおうとかそういう話ではない。
なぜなら、この議論を行おうとするに当たって、「それはほとんど不可能である」という結論に達したからである。
このような結論に達した理由と経緯は、以下のとおりである。

そもそも、似ている派にしろ、似ていない派にしろ、『ぼっち・ざ・ろっく!』『けいおん!』の両者において、1から10まで何もかも同じ若しくは違うという極端な結論は出せないはずだ。
似ていない派の人にとっても、「両者とも同じきらら系作品で緩やかな日常描写を交えながら女子高生のバンド活動を描いている」という類似点を否定することはできないであろうし、逆に似ている派の人にとっても、「『けいおん!』はあくまでも学校の軽音部でのゆるめのバンド活動であって、学外の活動により真剣にバンドとしてプロデビューを目指している『ぼっち・ざ・ろっく!』とは音楽に対する方向性が全く違う」という意見には、なるほどなと思うところはきっとあるはずだ。
要は、その人にとって「何が重要視されているのか」という1点にこの議論は尽きるのである。

そういうわけであるからして、例えばどちらかの派閥が「ここがこうだから両者は似ている(似ていない)」と熱く語り、もう一方の派閥がそれ自体には一理あると認めたとしても、おそらくは「たしかにそれはそうだよね。でも、自分にとってそれは些末な事なんだ。なぜなら…(以下略)」と返すであろうように、議論は半永久的に平行線のままであろう。
よって、両者がお互いの意見に説き伏せられることは、まずあり得ないのである。


以上のひとまずの結論をもって、ここから語らせていただくのは、似ている派の自分にとって、「自分は何を重要視していて、そこにどのような類似性を見出したのか」という点についてである。

自分にとって、複数の作品を比較検討する際の主要な論点の一つは、「両者のファンの傾向が共通しているかどうか」という点である。
これについては、そもそも本記事のような議論が世間でも活発になされていること自体、両者を履修している人が多いからこそであるはずだし、『ぼっち・ざ・ろっく!』にはハマったけど、『けいおん!』はあまり肌に合わなかったというような意見もほとんど聞いたことがない、というのが似ている派として主張したい意見であるところである。

そもそもにして、上記で述べたように『ぼっち・ざ・ろっく!』という作品では、「結束バンド」のメンバーは学外の活動により真剣にバンドとしてプロデビューを目指しているという特徴を持つとすると、同様の設定やストーリーの傾向を持つ作品である『BanG Dream!』との共通点が、世間においてももっと語られていてもいいはずである。
しかし、現実にはこの両者を比較検討する議論はあまり聞いたことがない。つまり、両者に「同程度の熱量をもってハマった」というファンが『ぼっち・ざ・ろっく』『けいおん!』の組み合わせよりも相対的に少なかったのではないかと推察できるのである。
よって、いくら両者の根幹となる設定やストーリーに共通点があろうとも、自分にとっては『ぼっち・ざ・ろっく!』『BanG Dream!』は、ファン層が異なっているという点をもって、似ていない作品として認識しているということになる。
そして、『ぼっち・ざ・ろっく!』『けいおん!』の組み合わせには、顕著なその傾向が見られる(と思われる)のは上記で述べたとおりである。

もちろん、このようなエセ三段論法ともいうべき考え方が、世の中に広く受け入れられるとは微塵も考えていない。
しかし自分にとっては、複数の作品を比較検討する過程で最も重要視する論点の一つであることは紛れもない事実である。


とどのつまり、「でも、結局おまいら両方とも好きなんでしょ?」というのが『ぼっち・ざ・ろっく!』『けいおん!』を比較検討する議論の中で、自分が最も声を大にして言いたいことなのであり、こういう一意見もあるのだということを許容していただければ幸いである。


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