「推しヒロイン」と「嫁ヒロイン」は似ているようで実は別物だという話
「note」においては、毎クールのアニメのランキングによる感想記事を投稿させていただいている自分であるが、その中において、作品ごとに「お気に入りキャラ」として、その言葉どおり「その作品の中で最もお気に入りのキャラ」を選出して記載を行っている。
そして、その際に「お気に入りキャラ」として選ばれるキャラについて、どのような傾向があるかであるが、言うまでもなく、圧倒的に女性キャラであることが多い。
この傾向については、以前の記事でも述べさせていただいたように、オタク文化における女性キャラの絶対的優位性が如実に表れた結果といってよく、ある意味当然のことだと自分でも認識している。
さらに、その「お気に入りキャラ」の選出において、どのキャラを記載するかについて非常に悩むことも当然あり、それはほとんどの場合、「ヒロインAにするか、ヒロインBにするか」というヒロイン同士の戦いになる。
これについては、ヒロインAも可愛いし、同じぐらいヒロインBも可愛いという、一見、実に単純明快なものに映るのだろうが、実は水面下では別の重要な要素も交えながらその戦いは繰り広げられているのである。
今回の記事で語らせていただきたいのは、その「別の重要な要素」についてである。
まずは、「お気に入りキャラ」という言葉の中の「お気に入り」という概念とはなんぞやというところから始まるのだが、これは純粋に「その作品において自分が最も好きなキャラ」と言い換えて差し支えない。
言うなれば、もしその作品のグッズを買うことになったとして、ランダムガチャ要素があるならどのキャラが出れば一番嬉しいかということである。
それを前提として、ではそのキャラのどのような要素に惹かれたのかという点が大きなポイントとなる。
以下は、自分の考えるところの「ヒロイン論」になるので、ここからは「お気に入り”キャラ”=お気に入り”ヒロイン”」であることを前提として語っていきたい。
こと2次元のヒロインに関しては、自分は以下の2つの要素による魅力の大きさの判定をしているという認識を持っている。
①純粋なキャラとしての魅力(=「推しヒロイン」)
これは、純粋に作品としての「面白さ」に直結する要素であり、言うなれば「そのキャラがいるからその作品は面白い」というポジションに属するヒロインのことである。
そのヒロインがいなければ、その作品をきっと魅力的に感じることはなかっただろうし、そもそもその作品がその作品たるアイデンティティをどこにも見出せなかったかもしれないということであり、往々にして、ストーリー上でも中心的な立ち位置に属するヒロインが該当することが多いといえる。
②「女性」としての魅力(=「嫁ヒロイン」)
いわゆる「〇〇は俺の嫁」とか「結婚したい」というような言葉で、そのキャラへの愛を表現したくなるようなヒロインのことである。
この部分に魅力を感じるヒロインに関しては、上記①のキャラのように、「キャラとしての面白さ」や「作品としてのアイデンティティ」を必ずしも有していない。
なんなら、作品内でのメインストーリーには全く関わりのない、1話のみに登場するゲストキャラに対してそのような魅力を感じることも珍しくはないだろう。
以上の①②の要素から判定した上で総合的に、より魅力が大きかったヒロインを「お気に入りキャラ」として認定することになるのである。
もちろん、各ヒロインが完全に①若しくは②に、10:0や0:10の割合で当てはまることの方が稀であり、「どちらの要素がより強いのか」でそのヒロインの魅力を語ることになることの方が圧倒的に多いのは言うまでもない。
さて、ここからは具体例を挙げて、標題である「推しヒロイン」と「嫁ヒロイン」の関係性について語っていきたい。
☆「推しヒロイン」の例
☆「嫁ヒロイン」の例
ここでは、氏家ト全先生による『生徒会役員共』における個人的2大ヒロインを例に挙げてみた。
なぜ、本作品が抜擢されたかというと、かつてこの2人のヒロインのどちらを「お気に入りキャラ」に認定するかどうかでものすごく迷った経緯があり、その論点こそ「推しヒロイン」と「嫁ヒロイン」の何たるかを極めて端的に表していたからである。
「推しヒロイン」として挙げさせていただいたウオミーこと魚見チヒロは、下ネタ満載の本作品においてもトップクラスの変人かつギャグメイカーであり、主人公のタカトシの通う高校とは異なる英稜高校の生徒会会長でありながら、その「義姉」というポジションを最大限に活用して、津田家に通い妻状態になりながら常識はずれな熱烈なアプローチを連発するという抜群の存在感を誇るキャラである。
その行き過ぎた下ネタ満載の言動の影に隠れてはいるが、本質的には清楚で引っ込み思案な性格であり、タカトシへの好意ありきで大胆な言動をとっている様がなんともいじらしくも可愛く、「推しヒロイン」として扱ってはいるものの、「嫁ヒロイン」としての要素も十二分に備えているのは全く隙が無い。
一方、「嫁ヒロイン」として挙げさせていただいた森さんは、ウオミーと同じく英稜高校の生徒会副会長であるが、彼女に関してはギャグ要素はほぼ皆無であり、むしろ奇をてらわない「正統派ヒロイン」であることがその魅力となっているという、本作品において独自の(というより異質な)立ち位置を確保しているキャラである。
基本、主人公のタカトシの周りは美少女だらけではあるが、その誰しもが何かしらの(主に下ネタにまつわる)残念な要素を持っているヒロイン(≒変人)ばかりであり、その中において彼自身だけでなく読者においても、「普通の女の子との会話」ができる森さんの存在はある種の清涼剤になっているのである(そして、そんな二人の微笑ましいやり取りを見て、周りのヒロインたちがざわつくまでがお約束)。
もちろん、作品としての「面白さ」や「アイデンティティ」を求めるなら、より欠かせない存在なのは森さんではなくウオミーであるのは自明の理であり、ウオミーが出てくる話になると自分もとても満足度が高まるのは偽らざる真実である。
ただ、もしどちらと付き合うのかという究極の2択を迫られたのなら、純粋に可愛く、気配りが上手で、おまけに(隠れていない)巨乳までお持ちの森さんがやや優勢になるというのが本音である。
とはいえ、ウオミーについては、女子力的な観点からも相当な潜在能力を秘めており、上記したような通い妻状態からの分かりやすい大胆なアプローチには多分に男心をくすぐられるところがあり、叶うことなら両方とお付き合いしたいと言わざるを得ない。
つまり、自分が本作品における「お気に入りキャラ」を選ぶなら、「推しヒロイン」的な観点をより重視するならウオミー、「嫁ヒロイン」的な観点をより重視するなら森さんを選ぶことになる。
そして、その「推しヒロイン指数:嫁ヒロイン指数」の割合を数値化するなら、ウオミーが「5:5」、森さんが「1:9」というような数字になるだろうか。
後は、それらの2つのヒロイン指数を双方考慮した上で、「お気に入りキャラ」という要素に落とし込むことになるわけであるが、本作品については、森さんの嫁力があまりに大きいので、「お気に入りキャラ」としては、総合的に僅差で彼女に軍配が上がるというのが一応の結論である。
(こうした究極の選択は往々にして、自分の場合はどちらを取られたらより後悔しそうかという発想になるのだが、これは一般的なのだろうか…?)
ここまで持論を語らせていただいたが、自分のようにヒロインの魅力を「推しキャラ要素」と「嫁キャラ要素」に区別して考えている人は少数派かもしれない。
実際、自分の場合も、作品の「お気に入りキャラ」を選ぶ際には、「推しヒロイン」としても「嫁ヒロイン」としても、双方の観点において一人のヒロインに当てはまることも珍しくない。
もし、ここまで読んでくれた方の中に、新鮮な論点としてこの文章を捉えてくれる方がいたなら、是非これからはそのような視点においてもヒロインの魅力について考えてみてほしい。
そして、そこからこれまでにない新たなヒロインの魅力に気付くということがあったなら、それに勝る僥倖はない。
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