冬眠は終わったんだね

朝アラームを止める時に、スマホの画面にWi-Fiのマークがついていることで電気が復旧したことを知る。よかった。

一安心したところで布団から起き上がる。最近暖かくなってきたので、寝る時には靴下を脱いで寝るようになった。足先からも春を感じる。

そんなことを思いながらベランダに続く窓のシャッターを開けると、フワッとしたものがさわっと一瞬足の甲にあたる。葉っぱでも入ったかなと思い、下を向くと部屋の中に走り去る爬虫類。ヤモリだかイモリだかは分からないけど、絶対そのどっちか。驚き過ぎて、声帯は震えているけど声が出ない。目を離したくないけれど絶対自分では捕まえられないので、奴が走り去る方向を目に焼き付けて助けを呼びに行く。父の部屋に向かって、おはようよりも先に「助けてー!イモリだかヤモリだかが部屋の中に!助けてー!」と叫ぶ。その声を聞き、ダッシュで駆けつけてくれた父のおかげで何とか部屋から追い出すことに成功。安心したら膝が震えてきた。父は爆笑していた。朝早くから出掛けていて今この場にいない姉にもこの生きた感情を伝えたくて電話する。と、姉にも爆笑された。

時系列に沿って話していると、ふと奴の足の裏が柔らかかったことを思い出した。赤ちゃんの指で突かれるみたいな柔らかさっていうか、うーって突き出した唇の柔らかさみたいだった。なんだか突然のキスにびっくりしすぎて、ただ唇の柔らかさだけ記憶に残ってる感じの思い出し方で複雑。少女漫画みたいな体験をイモリだかヤモリだかでしてしまった。

姉と電話をしてやっと落ち着く。もう2度とこんなことがないように靴下を再び装備。おかげで何だかずっと足の力が入らない1日になった。

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