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退学届を出したからゼリーを食べる

いつもやっと起き上がるような時間に自動車学校の授業があるため、普段の倍以上早起きをして身支度を整える。ただでさえ寝ても寝ても眠い身体に早起きは思った以上に堪える。でも、授業中に寝ると不成立になると言われているので、手の甲に爪を立てて必死に瞼にかかる重力と戦う。なんとか耐え切り、教室を出た瞬間から止まらない欠伸。マスクの下に大きく開いた口を隠しながら帰る。

嬉しいことにポートフォリオ作りを手伝った姉のインターンの応募が書類選考を通り、面接に漕ぎ着けた。そんな姉は今日が面接だ。学校から帰ると、バタバタと身支度中。「何かあったら声をかけて」と伝えて、こたつで微睡んでいると急に聞こえて来る「うー!トレンディ!」微睡が吹っ飛ぶほど笑った。それと同時に何故斉藤さんの芸を今このタイミングでと困惑も。「どうしたの?急になに?」と訊くと、どうやら無くしものを探していて、なかなか見つからずに唸り声をあげたらしい。でも、この唸り声だけで終わるとただでさえ見つからなくてブルーなのに余計に落ち込むと思い、急遽トレンディを付け足したらしい。要するに姉独自の自分自身の機嫌の取り方だった。随分変わった方法だけど、個人的にはとても面白かったので今後も継続してもらえると嬉しい。

そんな姉の面接という一大イベントの他に私自身も退学届提出〆切期限という一大イベントを控える今日。姉の面接場所と学校がほど近いので、面接会場に姉を送ってから学校に行くことに。緊張で顔が薄ら白い姉につられて、こちらまで早まる動悸。たまたま見たテレビでの占いも1位だったし、きっと大丈夫と励まし、背中を叩いて、何とか時間10分前に会場に叩き込む。不安げな様子のせいか普段より一回り小さく見える背中。気付けば祈るように手を組んで見送っていた。そして付近で待つこと約30分。手応えありと嬉々とした声でかかってきた電話にやっと肩の力が抜けた。

面接終わりの姉と合流し、今度は私の退学届提出しに学校へ向かう。また窓口で「成績に不可が無いから今日出さなくてもいいよ」と言われた。でも、三度目の正直ということと、いい加減これしか用が無いのに家から小一時間かけて来るのがストレスだったので「今日出します」と宣言し提出。やっぱりずっと持ってると迷いも出てきて決意が揺れて、またそれで悩んでしまうし。「じゃあ、頑張ってください」という一言をかけられながら、やっと受け取られた退学届。手放す瞬間やっぱり名残惜しくも感じるが、それを断ち切るように笑顔で「ありがとうございます。頑張ります」と頭を下げる。1度「頑張る」と声に出すとやる気も湧いてくるから不思議。晴れ晴れとというか、清々とというか。何だかちょっぴり背中が寒いような、でも足は軽いような、そんな不思議な気持ちで学校を後にする。これからも頑張ろう。この選択を後悔しないようという気持ちもあるけど、それよりも誰かに「しなければ良かったのに」とか言われたくないから。

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