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いくつになってもテストは嫌だ

左右対称にこだわり過ぎて、またビーズを解く月曜日の昼下がり。何度も同じところに針を通していたせいかフェルトに針より気持ち大きめの穴が開いた。ほとんど同じところに何度も刺せる自分の正確性に驚く。が、これ以上同じところを酷使すれば破れる危険性もあるので、近くで違う場所に刺すように。途中から「人間だから。人間がすることだから」と心の中で唱えながら刺繍することで、完璧な左右対称を目指しすぎる呪縛をなんとか少しだけ解いた。

『グレーテルのかまど』を観て、うぐいす色がメジロ色であることを知った。実際のうぐいすはきな粉に近い色で薄ら緑がかっている。うぐいす色と言われて想像する鮮やかな緑色はメジロの色で、江戸時代から聴こえる鳴き声と見える姿が混ざって認識されているせいでこんな誤解が生まれる色になったらしい。最初に花札に緑色でうぐいすを描いた人の業は深い。

明日はいよいよ自動車学校の初登校。行く日が近づいてくると「毎日テストされるような学校がこれから始まるかと思うと行く前から辞めたい」と姉が言うようになった。気持ちは痛いほど分かるし、なんなら既に緊張で胃が痛い。でも、車に乗れればお父さんや姉を駅まで送り迎えすることもできるし、行ける場所も増えると思うから挫けずに頑張りたい。目下の目標はIKEAに行って、クマの大きいぬいぐるみを買って、助手席にそのクマを乗せて帰ることだ。


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