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働く環境の選択肢

気がつけば早いもので、
ワーママ生活も2年半になった。

SNSを開けば、同時期に子供を授かった
ママさんたちは、第二子を授かったり、
フルタイムに復帰したり、
この春から子供が幼稚園に通い出したり、
引っ越して転職したりと、
皆それぞれの環境で日々奮闘している。

私はと言えば、相変わらず無期限で
出社時間を30分早め、2時間の時短勤務である。
8時30分始業、15時30分退社だ。
業務内容によっては、
週に2日ほど在宅勤務ができるから、
そんな日は通勤時間の分も働いている。

私は通勤に1時間半ちょいかかるため、
毎朝寝ぼけ眼の娘に挨拶をして、
6時半過ぎには家を出なければならず、
夫が毎朝娘を保育園に送り届けてくれるのが、
出社時のパターンだ。
そして娘のお迎えは、
遅い時間に会議などの用がなければ私が担当。

欲を言えばフルタイムにしたいのだが、
私の通勤時間は超長いし、
娘の保育園は18時以後原則NGのため、
じじばばが近くにいない我が家は、
現状これが精一杯である。
仕方がない。

ぶっちゃけ、私の通勤時間が長いのが最悪なのだ。
仮に通勤が30分なら、私が朝娘を送り届け、
17時が定時の旦那が残業せずに迎えに行けば、
私はフルタイム可能なのだから。

極論を言えば、
職場近くに引っ越してしまえばいい話じゃん、
ってこれを読んでいる誰しもが思うだろう。

ところが、最悪なことに夫の職場は
私の職場とは逆方向なのだ。
医療従事者の夫は、呼び出しがあれば
1時間以内に病院に行かねばならないという縛りがある。
奴は国家資格をもち、職場環境にも恵まれ、
それなりのポジションにいるため、
安定収入源として転職してほしくはない。

夫自身は、主夫になるから私がフルタイムで
バリバリ残業すればいいと言うのだが、
私が務めるのはベンチャー企業である。
ベンチャーに収入源を一本化するなんて、
子持ちにはリスキーすぎる。
だから、引っ越しはする気がない。

では、もう一つの選択肢、私の転職である。
なぜ私は転職するという選択をしなかったのか。

これは、「しなかった」だけではなく、
「できなかった」も多少含まれる。

私はへなちょこでも、正社員の研究職である。
これがいかに稀な待遇であるか、
特に理系の方ならご理解いただけるだろうか。

研究職は、とにかく新卒採用の時点で、
非常に求人が少ない。
近年はアウトソーシングが占めるようになり、
中途正社員の求人はなおのこと少ない。
そして家から通勤30分圏内なんて制限しようもんなら、そもそも同業は1〜2社しかないのだ。
子育て中のオバチャンという、
最大のハンデが無かったとしても、
この時点で転職するなんざぁ、不可能に近い。

私も紆余曲折を経て、
運良く今のポジションを得たのだ。
辞めてしまったら、きっと次はない。

好きでやっていることだから、
限界までは手放すまいと思っているし、
夫も私が辞めずに済むようにと、
あれこれ協力してくれる。

家庭が崩壊する前には、
見切りをつけて辞めるべきだと思うのだが、
仕事が忙しくなるたびに、
娘が体調を崩して保育園を休んだり
感染症流行で休園になったりするたびに、
幾度となく夫と夫婦会議をして、
どうしたら乗り越えられるか、
お互いの職場でのポジションを危うくせずに
済むギリギリの妥協点を探ってきた。
そして今に至る。

結果、なんとかやっている。

もちろん、私たち夫婦だけの努力では
どうにもならない部分もある。

そういう部分は、各々の職場と相談して、
許容できる働き方を選ばせてもらっているので、
なんとも理解のあるお互いの
職場には感謝しかない。

私も夫も無駄に勤続年数が長いので、
こういう時に非常に物言いしやすいし、
周りも我々の私生活を多少知っているから、
成り立つのかもしれない。

主張しやすく、また理解ある職場というのが、
転職しない理由の一つである。

この春、娘は幼稚園の年少に入園し、
夕方からは預かり保育扱いになる。
幼稚園ということで、保育園とは違い、
当たり前のように平日の親参加の行事がたくさんあるではないか。
また新たな難題である。

この先、年中、年長、小学生、中学生、
成長の各タイミングで、
きっと新たな難題に出くわすに違いない。

そのたびに、また夫と夫婦会議で妥協点を
見つけていくしかないし、
もう少し娘が大きくなれば、
夫婦会議に娘も加えて家族会議になるだろう。

政府は異次元の少子化対策と言いながら、
全く何が異次元なのか分からないことばかり
言っているが、こうやって難題に直面したとき、
働く環境の選択肢が増えていたらいいのにな。

コロナ禍で一気に進んだリモートワークもだけど、男性育休とかの雇用側の制度だけでなく、
小学生の早朝預かりや中学年以降の学童、
安全な夜の過ごし場所としての
中学年の塾や自習室とか、
もっとそれぞれの家庭の痒いところに手が届く策が欲しい。

政府に言いたいことは、
私に限らずきっとみんな、
「こうだったらいいな」が
たくさんあるに違いない。

そしてたぶん、政府に限らず、
身の回りの夫、親、職場、保育園の先生、
その他諸々の方々も、
理解しているようで、
もしかしたらお互いに理解しきれていない部分があるように思う。

政府の動きなんて、
きっと牛歩のようにゆったりだから、
それは生ぬるく横目で期待しながら、
私は困ったことは我慢せずに積極的に
相手に言うようにしている。

こちらの思い通りにいくことばかりではないが、
「じゃぁ、こんな方法があるよ?」
「こういうことなら協力できるかも!」
って、案外あるから。

復職当初、感染症対策のせいで、
期待していた実家のサポートを受けられないと、
絶望した私も夫も、
この辺に関してはかなり図太くなった。

遠慮して悶々とするくらいなら、
まずは誰彼構わず困っていることは言うべきだ。
なんなら、私は社長にも社内制度の文句を言っている。
おかげで、条件付きではあるが、
時短勤務制度が小6まで延びた。

娘の保育園にも、かなーり色々お願いしている。
たとえば、発熱時のお迎えルール。
原則呼び出し後30分以内にお迎えなのだが、
私は通勤時間がアウトだし、
夫もすぐに抜けるわけにはいかない。

急な発熱や怪我はさすがに対応できないけれど、
通常38℃でお迎え連絡のところ、
うちは37.5℃で一旦連絡が入るようにしてもらっている。
これなら、仕事の調整をつけてから
迎えに行ったり、通勤1.5時間かかっても、
38℃で呼び出し30分以内お迎えルールには
抵触しない。

こういうことも、小さな「どうしよう」を、
放置せずに「言ってみた」結果である。

一言で「働く環境の選択肢」と言っても、
いわゆる社会や家族から与えられた選択肢と、
自分や周囲を巻き込んで作った選択肢があると思う。

前者は楽だし周りとの衝突も少ない。
後者は下手すると揉めるが、
足りない部分を補えるかもしれない。

我が家はあらゆる選択肢を駆使して、
どうにかこの春からも頑張ろうと思っている。

って、書いている最中に、
若い世代はそこまでガツガツして働く
子育て中のオバハンを見て、
ああはなりたくないと思っている
というyahooニュースを見て、
苦笑いしてしまった。

そうです、
私がガツガツ働くオバハンです。

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