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泣いたらいいよ、泣いたらいいよ

エピソード70 「涙」

豆と小鳥エピソード70はバクとナミンで「涙」について話しています。

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「泣いたらいいよ、泣いたらいいよ」

息子は小学一年の時、学校イチの泣き虫だった。
シクシクではなくワンワン泣くの。
「今だけはやめといて!」って時に限って盛大に泣くんです。
私は何度、暑くもないのに滝汗をかいたことか。
あまりによく泣くので、担任のH先生に
「泣きすぎで学校、退学になったりしませんよね? よく泣くっていう病気ありますか?」と相談したくらいの深刻さで彼はよく泣いたんです。

泣いた理由は例えばね、、、

①新しく友達になったD君と遊んだのがあまりにも楽しくて、
遊ぶのをいつかはやめなければならないと思ったら悲しくなって号泣

②私がしいたけを買って冷蔵庫に入れてるんを長いこと忘れてた事がありました。気づいた時には、もうそれは椎茸ではなくなってたので「あらーっ、もったいないことしてしもた」とゴミ箱に捨てたら、「こーゆーことはできるだけしないでほしい」とさめざめと泣いた。この時はちょっと私、びっくりしました。彼にはしいたけの気持ちがわかるみたいだったから。

③社内BBQの時、彼をとてもかわいがってくれてたMちゃんにスイカ割りの順番が回ってきた時、目隠しをされたMちゃんがいじめられてるんやと思いひと泣き、そんで次はスイカが痛いってもうひと泣き。やっぱり野菜や果物と交感できてたんかもね、この頃は。

そのほかにも数限りなく泣いてたんですけど、時間がたって忘れちゃった。

カナダの小学校は13歳までひとりで通学下校ができないので、保護者は必ず学校に迎えにいかなければならないんです。彼が小学生低学年の頃は毎日、学校が終わるちょっと前に、教室の外で他のママさんやベビーシッターさんとクラスが終わるのを待つのが私の日課。で教室を覗くと87%くらいの確率で彼はふくよかなH先生の膝の上に座っていた。つーことは又、泣いてたんやなと私はH先生に申し訳なく思う、そんな日々でした。

いつもH先生は彼が泣くと
「泣いたらいいよ、泣いたらいいよ」と言いながら、
彼を膝に乗せて抱っこしていてくれていた。

ある日、H先生が私に言った。
「待ってあげてね。早く泣き止みなさいって言われたら、もっと泣きたくなるから。泣いたらいいよって言われたら安心できるから」って。

私は周りの人達に迷惑をかけるのが苦しくて
「早く泣き止んでーっ」って彼に言うてたんですが逆効果やったんですね。
考えてみたらおっしゃる通りで
私はオトナの都合で泣き止んでほしかっただけ。

その後、順調にちょい悪に成長した息子。
高校卒業の頃、会っておきたい先生がいたら、いっしょにお礼に行かへん?って誘ったら、真っ先にH先生って言いました。ちゃんと覚えてるもんなんやね。
H先生は目を細めて大きくなった彼をぎゅっ~ってハグしてくれて
「こういうことがあるから先生はやめられへんのよ~」
と涙目で喜んでくれました。

コドモもオトナも泣いたらいいよ、泣きたい時は泣いたらいいよ

本の栞にする落ち葉を探しながら
ゆっくりじっくりお風呂につかりながら
焼き芋をふーっふーっしながら
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