悲しい、悔しい。でも、その気持ちの中に閉じこもり続けたくない

『身の置き所もなく悲しい、悔しい。でも、その気持ちの中に閉じこもり続けたくない』
記事にあった言葉から、芋づる式にいろんなことを思い出しています。

生きていたかった…スキルス胃がんにも同様の事例が多くあります。

だからこそ、防げるものならと思います。



当時の報道に接し、娘のHPVワクチン接種を躊躇ってしまいました。

辛い副作用が起きてしまった人がいたことも事実です。

ただ、夫と私は、そこに大きな不安を感じてしまい、ワクチン接種によって得られるものとの正確な比較ができなかったのだと振り返っています。

予防接種に関する変遷は、我が子たちの年代に影響してきたと感じています。


長男と長女が接種の対象の頃に、それまで学校で集団接種をしていた予防接種が次々と任意接種になりました。
仕事柄、平日に早引きもしづらい状況にあったこともあり、任意接種になったものに関して中途半端な対応をしてしまいました。


長男は、なんと、高校の入学試験の本番におたふくかぜに罹患してしまいました。
我が子たちが大学生の頃には、大学生の中にはしかが流行し、その時に接種をしました。
そして、現在、風疹の抗体検査の対象となり、検査を受けました。


夫ががんになり、活動の中で科学を知る期待を得るにつけ、私は今までの自分の曖昧さ、無知を悔やんでいます。
100パーセントを求めるのではなく、得られる利と、起こりうるリスクを正確に知って、選択していくことの大切さを知りました。
科学は『必ず』と言い切れるものではないことを知ったことが、
医療情報を判断する背景になっていると感じています。

大切な家族を喪ってしまった身としては、防げるものがあるならと心から思います。


どんなことも、賛成派、反対派という構図になってしまうのではなく、得られるものとリスクを正確に知ることに繋がってほしいと思っています。


胃がんの領域では、以前『胃がんで命を落とすのはナンセンス』という報道に接し、多くの患者家族が胸がえぐられる想いをしたことがあります。

現行の【がん対策推進基本計画】の中には、
『ヘリコバクター・ピロリの除菌が胃がん発症予防に有効で あるかどうかについては、まだ明らかではないものの、ヘリコバクター・ピロ リの感染が胃がんのリスクであることは、科学的に証明されている』と記載されています。

ピロリ菌除去をすれば胃がんにはならないわけではない。

そして、除菌薬の安全性が確かめられていない状況で、小児に対して

除菌をすることに関しても、慎重に考える必要があるのではないかと思っています。


リスクを下げる、検査の意味は、現在の新型コロナウィルス感染症の状況を理解することにも通じる部分が多いです。
さまざまな後悔をしている身としては、

『感情を揺さぶることに流されない』

『一方向からの意見だけではなく、様々な意見がなぜなのかを知る』

ことの大切さを感じています。

※余談※
長男、長女は、いわゆる『ゆとり世代』と称される教育を受けました。
それぞれ海外に身を置き、情報は発信者のフィルターを通っているものであるという前提で、自分の判断に責任を持つことを経験したと話しています。

長女の高校の卒業式の翌日に東北の大震災が起こり、大学の入学式が大幅に遅れました。成人式も未曽有の大雪。
生きていると思いがけないことがおこる。

情報との付き合い方、判断の力は、そして、そこからどうするかが
生きていく力なのだとつくづく思います。

全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。