コロナが気づかせてくれたこと

この数か月、自分でも『過度に動き回っている』状態であると感じていました。
これは、夫を亡くす直前から1周忌に至るまでの自分の状態と似ています。
危機感が強まると、動くことで自分を保とうとしているのか…
『Doing』と『Being』
今夜、全域で緊急事態宣言が解除されるという報道に触れ、自分に沸き上がっていることを整理しようかなと思いました。

【自分にとって大事な人】


コロナ禍、義母が私にとってかけがえのない人であることを認識しました。
我が子も、もちろんかけがえのない存在ですが、夫は子どもたちが成人した時に、
『子どもはそれぞれの大切な人と、自分の人生を歩んでほしい。親は何かあったら最後まで見捨てずに助ける存在であればいい』と私に言い聞かせ、旅立つ前にも念を押されたので(笑)、そうありたいと思っているのだと思います。

義母は、結婚した時から、私に対して思うことはいろいろあったでしょうに、変わらず応援してくれました。
いつも変わらずそこに居てくれた大きさを、今回強く認識しました。

【会いたい人がいないと気づく】


人とリアルに会わなくなった状況で、私はどうしても会いたい人がいないことに気づきました。居るとしたら、やはり夫なんだと思いますが…。
ここ数年、私の日常は大きく変化しました。その時に、心のよりどころだったのは、40年来、変わらずに居てくれた高校時代の友人でした。
夫を亡くした時も、実家を失くした時も、活動で注目をされた時も、友人は
変わらず、そこに居てくれました。
私から話さなければ何も聞いてこないし、では知らないのかと言えば知っている。
一言「辛い」とLineを送れば、見ていてくれたんだなという返事がきて、判断に困れば、しっかりと意見を返してくれる。
どんな状態の私でも、変わらずそこに居てくれる。
顔を合わせるかどうかではなく、『そこに居る』という友達の安心感が私を支えてくれていることが、さらにクリアになりました。

【ふたりの自分を生きている】


社会人になると『○○な轟浩美』があり、私はふたりの自分を生きているように感じていました。
教員としての私。患者会代表としての私。
そこで求められることを、精一杯やることが社会的に生きていくことだと思っています。
ここ数か月と、夫の死後、自分が『動き回っている』ように感じていたのは、個人として失うものへの危機感を、社会的な面でバランスを取ろうとしていたのかもしれません。
今回、私が怖かったのは、西口さんを喪うことです。
彼がキャンサーペアレンツを始める前、私自身も夫が患者会を始めたばかりで先が見えない時に出会いました。
ワンステップの長谷川さんとは、希望の会と同時期に患者会をスタートしたこともあり、私は勝手にですが、同じ道のりを歩んできたと感じています。
このふたりは、私が迷う時、いつもそこに居て、スパッと『何をやっても賛否両論あるなら、目標のためにエネルギーを使うべきだ』と言ってくれる存在です。
気持ちをすり減らすことも多い中、いつも会っているわけではなくても、素の気持ちを話せる存在は大きいです。
3月あたりの西口さんの発信から、私はおそらく訪れるだろう日を覚悟していました。
そんな時、励ます言葉がいかに虚しく辛いかを感じていたので、思うことがあっても言葉をかけることができませんでした。
3月のキャンサーペアレンツのボランティア説明会で会ったのが、実際に会った最後になりましたが、そこでも、目を見て、うなづくことしかできませんでした。
彼は、旅立つ数日前まで、メッセンジャーで『いいね』マークを返してくれました。これからも、彼は『居る』と思って生きていきます。

【そこに居させてくれる安心】


昨夜、神奈川県がん連が主催したweb交流会に思い切って参加しました。
多くの方が参加していて、顔を見て、声を聴くことが心地よい時間でした。
患者会代表をしていても、私は遺族でもあります。
サロンに参加したいなと、今までも、いろいろな場所に参加しましたが、
どうしても『希望の会の轟さん』になってしまう。
『見学に来ないで』と言われてしまったこともありました。
自分が代表をしている会で、私が弱音を吐けば不安にさせてしまうだろうし、まして遺族であるという事実も重い。
会に対しては『Doing』が必要な立場なのだろうと思っています。
本当は、個人として。部屋の片隅で、何も話さず、膝を抱えて、みんなの様子を見ていたい…
そんな気持ちを諦めかけていたのですが、神奈川県がん連の交流会のフライヤーを見た時、ここなら片隅に安心していられるのではないかと感じたのです。
『居られる』という場の大切さを、昨日、しみじみと感じることができました。

【コロナが教えてくれたこと】


私は犬やフクロモモンガを飼っていますが、生き物は、どんな時も、ルーティンというべき日常を送っています。
食べる、寝る、排泄する、嬉しい、悲しい、美味しい…
不安定な時、この確かさがとても心強いのです。
外を歩けば、季節の花が咲き、鳥がさえずっている。


変わらないものに私は救われています。

本当に大きな力を持つのは『Being』なのだということを、コロナ禍が教えてくれたように思います。
もともと『Doing』人間である私。
私の『Being』はなんなのか。
希望の会、グリーンルーペが『Being』になった時、私はひとりに戻れるのかなと感じています。

全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。