見出し画像

父親は誰だ?(いちごミルクプリン)|酒と肴 その四十九

呑んだ後に食べる甘味。

嘘だらけの世の中で、数少ない真実です。近頃は季節限定ピンクのガーナと、手軽に作れるミルクプリンがお気に入り。中年の、心に秘めたるkawaii欲求を満たしてくれます。

しょうもない思いつきを画期的なアイデアと勘違いするのは、酒の酔い始め。シラフだったらそれが、「二番煎じ」どころか「出涸らし」と気付けるはずなのに、酔いが回ると忘れてしまうのは何故でしょう。

先日も閃めきと誤解したせいで、前途ある食べ物たちを不幸にしてしまいました。

まずはストロベリーピンクなチョコレート。いちごの香りとチョコの甘み、言うなればカプリコヘッドの「濃い味」。美味しいです。そして可愛いです。

続いてとろりとしたミルクプリン。粉ゼラチン5gに対して牛乳が400ccと、なかなかの「ふるふる」具合。これもまた、美味しいです。そして可愛いです。

そんな「美味しい」と「美味しい」を、「可愛い」と「可愛い」を掛け合わせたら、ピンク色でふるふるしたスイーツが出来るはずでした。頭の中ではいちご味のミルクプリンだったのです。

それなのに出来上がったのは脂肪分が分離した、薄味の何か・・でした。

画像1

表面に浮かぶ油脂の冠は、肉を煮た翌日の脂と同じ味。食えたもんじゃありません。わずかにピンク色したプリン部分、そこにはいちごチョコの味わいもミルクの風味も皆無、ただただゼラチンの荒野が広がるだけ。時折、微かに香るストロベリーが、余計に心を辛くさせます。
ピンクのガーナとミルクプリン、個別で食べたら、どちらも美味なんですけどね。「悪魔合体」、自然と浮かぶそんなフレーズ。プラスとプラスを掛け合わせて、マイナスが生まれるなんて、思いもしませんでした。

「失敗は成功の母」という言葉があります。
そうすると父親は何をしているのか?って話ですが、下世話界隈では「性交で失敗の父」が対の句です。父の失敗があるからこそ、今の私がここに居る訳で。思いがけず悪魔を産み出したことも、前向きに捉えることにします。

いずれにしても酔っ払った素人の思いつきで、簡単に素敵スイーツができたら苦労しません。プロの方々の試行錯誤があるからこそ、巷には美味しく、可愛い甘味があふれているのです。あらためて、お菓子職人並びに開発・製造・流通・販売に携わる皆さまに、感謝を申し上げます。

いちごミルクプリンの様なものは、責任を持ってビールで流し込みました。お酒があれば大体おつまみ。だけどお気に入りのCOEDOの毱花、いつもより苦く感じます。闇に漂うホップといちごの香り、春の夜は胸がざわついて仕方ありません。

メニューと材料
・いちごミルクプリンの様なもの(ガーナピンク、牛乳、水、砂糖、ゼラチン)

この記事が参加している募集

つくってみた

頂いたサポートで酒を呑み、それを新たな記事にすることで「循環型の社会」を実現します。 そんなほろ酔いで優しい世界、好事家の篤志をお待ちしています。