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銀河鉄道の父

映画「銀河鉄道の父」を観ました。
岩手県の童話作家・詩人でもある 宮沢賢治。宗教・科学・芸術、あらゆる分野で独特の感性を発揮した人です。その賢治の父 政次郎(まさじろう)を中心にした家族の物語です。


私にとっての正次郎のイメージは、厳格で少し威張ってる感じ。
もちろん写真を見ての印象です。
賢治が臨終に「とうとうお父さんに褒められた」と喜んだというエピソードからも、賢治はいつも理解されず対立していたんだ。
私はずっとそう思っていたのです。


だけど映画の役所広司さん演じる正次郎は、賢治誕生の瞬間から
全力で彼を応援!!賢治に対する思いやりにあふれていました。✨


病気になれば看病をし、賢治をいつも心配し、家業である質屋を継がせようと思うが結局は賢治の好きなようにさせていた。


でも、だからこそ賢治というたぐい稀なる才能は、広く知られるようになったわけです。あのまま質屋を継いでいたら、私は賢治の作品に出会うことは無かったから、お父さんのお陰ですよね。
若く短い生涯でしたが、たくさんの素晴らしい作品を残してくれました。



父・正次郎こそが賢治の最大の理解者だったのかも。
そう思うようになりました。


正次郎は浄土真宗、賢治は法華経。
信仰の対象は違っても、きっと真理を探究する思いは共通していたのかも。
ひたむきに信仰の道を進む賢治には、お父さんの影響は大きいはず。



妹トシの死

病気療養中の妹トシに、自分の書いた物語を読んで聞かせる賢治。
大きなトランクを開けたその瞬間、たくさんの原稿用紙がサラサラ風に舞い出す。

「風の又三郎」がやってきた・・・? ふとそんな気がしたシーン。


時折ガラス戸がガタガタいう音も、東北訛りのあるセリフも、
何だかなつかしいような気持ちになります。


それにしても、この映画で一番印象的だったシーン。
それはトシのお葬式の場面です。
夕暮れ時でしょうか。日は沈み薄暗い時刻、群青色の空、白装束の集団。
僧侶の読経、野辺では薪に火が入り炎があがる。


この時代のお弔って、こんな幻想的なものだったのでしょうか、
あの世とこの世の境界にある空間に入り込んだかのようでした。


賢治が、声の限りにお題目を唱える。
「トシがいなければもう俺は何も書けない」と泣き崩れる賢治、
その時父正次郎は・・・。


メイキング映像がありました。😀



この映画、どの俳優さんもそれぞれ素晴らしかったです。
役所広司さん(宮沢正次郎) 菅田将暉さん(宮沢賢治)
森七菜さん(トシ) 豊田裕大さん(清六) 
坂井真紀さん (イチ) 田中泯さん(喜助)


ホメラレモセズ 

有名な「雨ニモマケズ」の詩には、賢治の理想が描かれています。

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
(抜粋)

病に伏していた賢治が、メモ書きのように自分のためだけに、
祈るように手帳に綴ったものだと思います。


人から馬鹿にされても決して怒りの心を起こさず、あらゆる人々を尊敬し、
どんな人のところにも訪れて正しい言葉を伝え続ける。


法華経にあらわれるこの常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)の姿こそ、
賢治がそうありたい願っていたものです。

自分ではなく、人々の幸福や人の役に立つことを考えていた賢治。
そこには正次郎の愛情が深くかかわっていたのかもしれませんね。


原作も是非読んでみようと思いました。✨



次作は「銀河鉄道の」期待します!


お読みいただいてありがとうございます。😀

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