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シンガポールの小学生は大変だ。卒業前の全国試験PSLEに挑む道のり

こんにちは。シンガポールのわん吉です。

シンガポールの小学生は全員、6年生時の卒業前に、将来を左右しかねない大きな試験に挑まなければなりません。その名はPrimary School Leaving Examination、通称PSLEです。

わん吉世帯は大人ふたりなので、昨今の子どもの教育事情には疎いのですが、この試験がものすごく大変なのだと聞きます。

試験の結果によって進学先の中学校が決まるのだそうです。つまり、成績が良ければ進学校に(全体の6割強)、そしてよくなければ職業訓練コースがあるような普通校へ(3割強)。不合格も1%ほど(再チャレンジできるとのこと)。

この時点で、明るい未来が開けるのか、そんなに明るくないのか、うっすらと見えてしまうのです。

12歳でそんな・・・。わん吉が12歳のときなんて、何もわかっていなかったし、担任の先生には「わん吉は大器晩成ですね」なんて言われたっけ。そんな大器晩成の子どもたちはちょっと不利だよね・・・。

教師歴30年というベテランの先生と知り合いになったので、シンガポールの小学生事情を聞いてみました。小学校教諭をしていたのは以前とのことなので、昨今の事情と異なる部分はあるかもしれませんが、参考までに記録しておきます。

どうしてそんな大変な試験を小学6年生がやるのか

試験の目的は、賛否両論ありますが、優秀な子どもを見つけ出すことでしょう。たしかに子どもたちにとってはストレスの大きな試験です。将来を決めかねない試験をあまりにも早くやりすぎでないか、失敗してしまった子どもたちはどうするのか、など。そうした声を受けて、試験制度は年々改善され、今は昔に比べて結果を残せなかった子どもたちにもチャンスの道が開けています。とはいえ、やはり子どもたちは大変です。

PSLEの試験内容は?

試験は筆記、リスニング、口述の3種類。選択問題や記述問題があります。科目は英語、算数、理科、母国語(中国語、マレー語、タミル語のいずれか)の4科目で、歴史やアートや体育はありません。試験は毎年9月から約2ヶ月間にわたって行われます。試験官は別の小学校の教師たち。結果発表は11月末ごろです。

試験のために学校はどんな準備をするのか

4年生の時に、学校でPSLEの前段階の試験があります。この学力結果を受けて、学校は子どもたちを、勉強ができる、普通、勉強が得意でない、の3つのグループに分け、子どもたちは卒業までそのクラスで勉強することになります。クラスによってPSLEに向けた学習カリキュラムが異なりますが、PSLEに備えて勉強するのはみんな同じです。

6年生はどんな一年になるのか

シンガポールの新学期は1月。前期と後期の間の6月には1か月、他にもちょこちょこ休みがあります。試験は9月です。それまでに6年生の学習カリキュラムを終えなければなりませんし、さらにPSLEの準備をしなくてはならないので、たいていの先生は最初の数ヶ月で学習カリキュラムを終え、残りの期間を試験に向けた復習に充てています。限られた時間の中でやることは山ほど。子どもたちはもちろん大変ですが、先生も大変なんです。

やっぱり塾に行ったりするのか

学校でも試験に向けた復習をやっていますが、足りないと考える家庭では、子どもを塾に行かせることも多いです。シンガポールでは小学校入学時にABCはもちろん、簡単な文章の読み書きや簡単な計算ができるのは当たり前。そうした基本は保育園や幼稚園で学ぶのが一般的です。子どもたちは小さい頃から大変なんです。

親はPSLEの時期には職場に休暇届を出すとか

自分の子どもがPSLEでよい結果を残すことは親の望み。シンガポールの親はとても教育熱心です。試験期間中は親も臨戦体制。お母さんたちの話題はPSLEで持ちきりで、仕事を休むのは当たり前です。

話を聞いて、しみじみシンガポールの子どもたちは大変だなと思いました。国の試験なので逃げようがありませんし。

ちなみにインターナショナルやプライベートスクールは独自の方針やカリキュラムがあるので、PSLEを受験する必要はないそうです。

とにもかくにも、シンガポールの子どもたち、がんばれ。

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