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“デザインの寿命を長くする” 【蝉 semi】石川大輔

東京・蒲田にあるショップ兼アトリエ「SEMI FLAGSHIP STORE TOKYO」を拠点に活動するクリエイティブユニット「蝉 semi」。広告としての役目を終えた素材を再利用し、プロダクト製作を行なっています。オーナーである石川大輔さんに、プロダクトに込められた想いと今後の展望について伺いました。

“デザインの寿命を長くする”を理念に

「フラッグに使われるデザインの寿命を長くして、もう一度、まちのなかで活躍させたい」と活動を始めた動機を話す石川さん。デザインに関わる仕事をするメンバーのいる「蝉 semi」は、フラッグのように”消費されるデザイン”をチーム全体で課題に感じていたといいます。「蝉 semi」という名前は、デザインの寿命の短さを象徴して、同じく寿命が短い生き物として知られる”蝉”をそのまま名付けました。外国人にも多く愛用して欲しいと考え、アルファベットと合わせてロゴを作成し、現在の名前が生まれました。

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「同じものは存在しない」商品はすべて一点物

「同じ生地を使っているけど、商品として同じものは1つも無いんです。人の好みって少しずつ違うから、模様や形も全部違うことでその人にぴったりくるものが見つかったら面白いかなって」と笑顔で語る石川さん。素材の柄や材質をじっくり眺めながら、どういった形のプロダクトに仕上げていくのか考えていくのだそう。生地やデザインが一番活きる形を選び、石川さん自らプロダクトをつくります。

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「つくってる時点でどうやって使われるかは想定してるんですが、それを超えて楽しんで欲しいと思ってるんです。使う人に委ねるじゃないですけど、経年変化も含めて使っている時間も楽しみ続けて欲しいです

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『非効率ではあるけれどもユニークなものをつくりだす』

「蝉 semi」のプロダクトは、一点一点すべて手作り。素材に使うフラッグが全て違うデザインだから、裁断の仕方も組み合わせ方もすべて異なります。「工場で大量生産するには向いてなくて、素材一つ一つに向き合いながらつくらないとダメなんです。」決して効率的なつくり方ではありませんが、素材ひとつひとつのデザインに込められた想いを活かすには、必要な時間なのかも知れません。

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「自分が使いたい」がアイデアの出発点

新しい商品を考える際には、まず石川さん自身が欲しいと思う形や機能を盛り込んでつくってみるのだとか。「使いやすさも人によって違うものだから、自分で使って、すぐに他の人にも使ってもらいます。自分が違和感を感じた部分を他の人がどう思うのか、全く違う視点からの意見が来るのか、ちょっと楽しみです」 使っている素材が屋外用のフラッグということもあり、防水性能や耐久性が高いのが「蝉 semi」のプロダクトの特徴。そこに加えて、ベルトの位置や長さ、商品の大きさなどは実際に使った人たちの声を集めながら改善を重ねていきます。デザインの面では、生地の色合いやデザインに合わせて、糸や裏地の色にもこだわっています。デザイン性の高い素材を使っているからこそ、細部にまでこだわって製作しています。

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これからも自分のアイデアを形にしながら新しいプロダクトを生み出していくと話してくださった石川さん。今後は製作中に出た端材を使って小物をつくるワークショップを開催しながら、「蝉 semi」のプロダクトに触れる人を積極的に増やしていくそうです。“デザインの寿命を長くする” をコンセプトに活動を続ける「蝉 semi」の今後の活躍にも期待しています。

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まめくらし研究所は”くらしのおすそわけ”がコンセプトの雑貨店。高円寺に店舗を構え、商品の販売やワークショップなどを行なっています。

※取材日 2019年12月。現在「SEMI FLAGSHIP STORE TOKYO」は移転しております。直接商品に触れて購入されたい方はまめくらし研究所へお越しください。

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