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彼女は狼の腹を撫でる(完結)

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狩狼官の少女と機械とモフモフの話です。全40話、無事に完結しました!
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記事一覧

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第1話・少女と機械と楽園~」

昔々、この辺境の地に赤いビロードの頭巾がよく似合うかわいい女の子がいました。 ある日、女…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第2話・少女と借金おじさんと金貨~」

目の前で金貨や紙幣が豪快に舞っている。 薄暗い赤色混じりの照明で怪しく照らされた店内では…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第3話・少女と騎士とモフモフ~」

いつの時代でも娯楽の中には暴力が存在する。 昔であれば魔女狩りだったり処刑だったり、少し…

「彼女は狼の腹を撫でる~第4話・少女と夜道とガールズトーク~」

「ノルシュトロム広報車からのおしらせです! 通り魔事件が多発しております、夜間の不要な外…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第5話・少女と昔話と揺れる煙~」

「また昼までグースカ寝るつもり? やる気あるの? それともナマケモノにでも生まれ変わった…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第6話・少女と三日月と暁の星・前編~」

大陸5大都市のひとつ、自由都市ノルシュトロムは巨大な運河へと結ばれる水門そのものを都市中…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第7話・少女と三日月と暁の星・後編~」

私の名前はウルフリード・ブランシェット。16歳、狩狼官。 母の持ち出した狩狼道具を回収するために、タヌチャッチャ地方の大森林に来ている。タヌチャッチャ地方は元々タヌキの生息地で、そこにサキガケという東方からやってきた半人半獣の種族が住みつき、現在は神聖視している樹海を守っている。 そしてサキガケの若長ツキノワが所持している狩狼道具【剛腕のダッデルドゥ】だけど、色々あって彼本人の手により無残にも叩き壊されて、屋敷の中庭に鎮座する愉快に折れ曲がった腕形の置物と化してしまった。 な

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第8話・少女と山賊とモチペッタン~」

昔から森の中は危険が多いという。 町から離れた森で暮らすばあさんの家を訪ねた少女が狼に襲…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第9話・少女と人魚と海の家~」

私の暮らす自由都市ノルシュトロムは、大陸5大都市のひとつで巨大な運河へと結ばれる水門その…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第10話・少女とババアと振り返り~」

動物園は控えめに言っても天国だ。 飼育されている動物はどれもこれもかわいい、働いている飼…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第11話・少女と奴隷棒と職業訓練~」

私の住む自由都市ノルシュトロムは大陸5大都市のひとつ。 巨大な運河へと結ばれる水門そのも…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第12話・少女と悪魔と天才美少女~」

私の住んでいる下宿の部屋は殺風景だ。 部屋の家具は最低限、ベッドと小さなテーブルにランプ…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第13話・少女とゴリラとパルクール~」

私の住む自由都市ノルシュトロムは、巨大な運河へと結ばれる水門そのものに都市中枢を置き、人…

小説「彼女は狼の腹を撫でる~第14話・少女と雨と君の間に~」

秋の空は気分屋だ。 晴れるかなと思えば途端に曇るし、傘が必要と判断すればそのまま重たい鉛色の雲を敷き詰めたまま、じゃあそのまま歩いて帰ろうと決意した途端に矢のように降り注ぐ雨。涙目になりながらも家に帰りつく頃には、柔らかな光が地面に差し込み、雲の隙間から青い空を覗かせる。 世の中にはどうにも出来ないことばかりだけど、秋の空もそのひとつに違いない。 「それで、ずぶ濡れになったの? ウルフリードは馬鹿だねー、そんなの降っても降らなくても、傘を持っておけば済むのに」 同室で年下