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「その本は」⚠️ネタバレ感想⚠️

何かと話題になる、二人のコラボ作品。

豪華な装丁は、物語に出てくる王様に献上するものだからと後々理解したけれど、ああいうの好きだから、装丁だけで惚れ惚れとしてしまった(笑)

小説かと思っていたので、又吉氏が文を、ヨシタケ氏が挿絵かと思っていたら、交互に物語を書いていっている方式なのね。

話題になる二人とはいえ、読んだことがなかったので、これを期にお二人方の物語が読めて良かった。

"色んな人から見聞きしたていで"王様に話をしていく話だけど、一つ一つの話が短く、それでいて、どれもこれも予想外で、時には笑い、時には不覚にも泣きそうになったり。

あと、文字が大きめなのでサラっと読めた。1時間くらいで読み終わった。
お医者さんの待ち時間とかにちょうど良いかもしれない。大きく厚いので、かさばるかと思うが。

ヨシタケ氏で好きなのは、「その本は、私が5歳の時、書いたものだ」
好きなものを描いて、母親が褒めながら、ホッチキスで止めてくれ、1冊の本をしてくれたという。
あの時のことを、もう一度味わいたいから、本を書く仕事している「その本」の持ち主。
素敵だなと思う。そう思ったことって意外とないかもなと思った自分は羨ましくさえ思う。

あともう一つは、「その本は、評判が悪かった」
ヒーローが負ける話であったが、当時人並みのことが出来なかった"私"にとっては、救われた本。
その"私"が、その本をふと調べていくうちに分かったのは、従軍経験していて、ほんの少しだけ"私"の父と同じ部隊にいたということ。
生きる状況が辛かった"私"を見た父が心配し、作家を志していたその作者に託し、しかも、奇跡的に"私"に届いたという、その本。

"私"が言っていたが、「誰かの想いが届かなかった本達が星の数ほどある」というのを読んで、じゃあ、胸に来た本は届いた想いなのだろうかと、考える。

又吉氏で好きなのは、「その本は誰も死なない」
転校してきた女子と、絵を描く授業がきっかけで、交換日記をし始める話。
今まで自分のが1番に上手いと言われていた優越感は、どことなく分かる。

小学校の時は、恐らくその感情はなかったかと思う。私も図工の時間に校庭内の絵を描くことがあり、たまたま同じところを描いた子がいたけど、私は淡く、その子は濃く描いたものだから、同じところを描いても、違った印象を受けるんだなと、その時の感情が読みながらふと思い出す。

二人が交換日記を始めてからは、日記を読む形式に変わっていくのだけど、何気ない日常を垣間見えているようで、私も小学校の時はこんなことを思っていたのかなと思いながら読んでいったけど、その転校生の竹内春の家庭内事情が綴られていってからは、妙な緊張感が。
転校してきたのは、暴力的な鬼から逃れるためであったこと。また転校してしまったし、その後は会えてないけど、しんみりというよりも、まだ二人の物語は終わっていないと思わせる、じんわりと胸が暖かく感じられた。

もう一つ好きなのは、「その本はまだ生まれていません」

ある小説家がまだ物語を生み出している最中のもの。
どうせ完成しないだろうと悪く言う人達。
けれども、その本に対して、笑ったり、友達に勧めてみたり、鍋敷きにされたり、つまらないと思われるとも。

字書きとは分かる物語だなと思い、じんわりと涙ぐんだ。

 最後に衝撃事実を読んだ時は、本当びっくりした(笑)
 これ全部作り話なん??(笑)
 二人は捕まるのが、笑ってしまった。

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