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「スパイダーマン:ホームカミング」

ふんわり情報

2017年公開、ジョン・ワッツ監督、主演トム・ホランド

版権問題

スパイダーマンの映画を語る上で避けて通れないのが版権問題である。サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』シリーズは2002年を皮切りに3作公開され、シリーズ通算興行収入は25億ドルを超える大成功を収めた。

そんな大人気キャラクターであるスパイダーマンがなぜ『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』までMCUに登場しなかったのかと言うと、先に述べた版権問題のせいである。そもそも今となってはマーベルはその名を世間に轟かせているが、実は1997年にマーベル・コミックスは倒産し、マーベル・エンターテインメントとして再稼働していた。そんな苦境の中、自社の金策のために売りに出されたのが映画化権である。

ソニーに買われたスパイダーマン、そして20世紀FOXに買われたX-MENとファンタスティック・フォー…

こうしてマーベルは急場をしのいだわけだが、皮肉なことに売りに出したヒーローたちがそれぞれヒット映画を飛ばすことになる。X-MENシリーズも面白いんですよ、はい。MCUの後にこちらも全部見ました。

マーベルも負けじと『アイアンマン』から続くMCUを製作し大ヒットさせたことはご存知の通りだけど、ここで出てくる「スパイダーマンもMCUに出したいなぁ」問題。えぇ、売ったの自分じゃん、とは思うものの、ちょうどソニーはソニーで『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの興行収入が目標を達成できなかったということもあり、マーベルと提携しリブート(再起動)することになって晴れてシビルウォーから参加、という流れに。(打ち切られた不遇のアメイジングよ…すごく思わせぶりなところで終わってるんだよなぁあれ…)

しかしつい最近も収益の配分で折り合いがつかずスパイダーマンMCU離脱の危機に陥った。今でもキャラクターの版権はディズニー傘下のマーベルが持つ一方、映画化権はソニーが持ったままなので、今後もまた同じような危機が訪れるかもしれない。お金の事情であっちこっちに振り回されるスパイダーマン…大人気キャラクターなのに不遇すぎる。お得意のウェブシューターでもなんとかならないものかなぁ。

感想

予告を見た時からそんな気はしていたけど、やっぱり私の好きなスパイダーマンではなかった。
トビー・マグワイアのスパイダーマン3部作、アンドリュー・ガーフィールドのアメイジングスパイダーマン2作も全て見て大好きなキャラクターであるが故である。

私にとってスパイダーマンの最大の魅力は悲哀に満ちた孤独なヒーローであること。誰にも自らがスパイダーマンであると打ち明けられず、しかし絶えず出現する悪にたった一人で立ち向かわなければならない生身の人間であること。
そもそもスパイダースーツやウェブシューターも全部与えられたんじゃ…そこは天才高校生ピーターが試行錯誤して作り上げるものじゃないの…

それにピーターに「責任とは何か」を問うベンおじさんは出てきすらしない。だから今回のピーターはあんなにチャラいのか?
版権の問題とかでスパイダーマンがアベンジャーズに参加!ってことになったのは仕方ないのだろうけど(でも個人的にはスパイダーマンには加わってほしくなかった)、この映画を作るならせめてその前にアメイジングシリーズ完結させてほしかった…
映画館で見ている間ずっと、がっかりしていた。
あぁそうだこのなんとも言えなかったモヤモヤがわかった。ノリが軽いのはデッドプールだけでいいよ。見た目の雰囲気的にもかぶってる。

とは言え、MCU制覇のため二度目の試聴。MCUの一環として見れば初めて見た時よりはまだマシだったかな…が、やはりこれでは「スパイダーマン」というより「アイアンマンの付属物」というイメージがなぁ…スパイダーマンのスーツ、AIと話したりほぼアイアンマンのスーツと一緒じゃんっていう…
まだまだおこちゃまで未熟なヒーロー、という位置付けにしたかったんだろうけど。うーん。一番好きなアメコミヒーローだっただけにこの落胆度合いはなかなかに大きい。

まとめ

トビー版スパイダーマンへの愛が大き過ぎたが故に今作はどうしても納得できなかった。スパイダーマンには孤高の存在でいてほしかったよぉ!!!!!

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