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シーズン前半戦を終えて

こんにちは。Mameです。
RSも40試合を消化し、シーズンの半分が過ぎました。

今回は、シーズン前半の振り返りと、ローテーション関係について書こうと思います。もともとTDL編のおまけにするつもりでしたが、合わせると30,000字を超えそうだったので分割しました()

そういえば最近、バックスやウィザーズでコーチの解任が起きるなど、コーチ界隈が慌ただしいですよね。参考まで、NBAのGMによるコーチ投票の結果を置いておきます。当り前じゃない幸せを嚙み締めなおす今日この頃です。

それでは今回もよろしくお願いします!



概観

まずは、40試合を終えたLACのスタッツ全般を見てみます。

ここ20試合において、オフェンスリーグトップクラスの水準を維持しているのが素晴らしいです。シーズン序盤は同じようなシチュエーションを作れていてもシュートが入らなかったり、ローテーションを試行錯誤したりと不安定でしたが、タイルーの頑張りもあり、Big4の使い方を含めて非常に整理され、結果的にオールウェイズレベルの高い合格点のオフェンスが構築できました。

一方、シーズンを半分終えた疲れか、強みであったはずのTOVが悪化しており、かつてリーグ2位だったものの、現在は17位の水準です。ハーデンシステムの恩恵を受けていたLACの面々でしたが、やはりハーデンの負担も相応に大きいのか、TO%だけでいえばハーデンの19.6%はラスの18.6%を超える数値となっています(ASTが多い一方で、直近15位試合の内10試合でTO数が3回以上となっています)。
とはいえ、ハーデンがボールを抱えることでチームとしてのTOを減らしており、カワイは昨年9.2%から8.3%へ(▲0.9%)、ジョージに至っては14.9%から11.0%(▲3.9%)と大幅にTO%が減少しており、ハーデンを責めるポイントにはなりえません。
平均プレイタイム(PT)で見ると、カワイとジョージが34.5分程度に対し、ハーデンは33.7分とやや少ないですが、この辺りの負担軽減も今後継続してほしいです。

また、ディフェンスについては変わらずリーグ中位で、目標としているTOP5 DEFは達成できておりませんが、一方で、ハーフコートDEFは引き続きTOP5を維持しており、悪くありません。

ハーフコートDFが良いということは、逆にトランジションディフェンスが甘いということだと思います。Oppennt Stats(項目別の被失点)を見ると、ファストブレイクポイントは18位と低調です。
個人的には、特にトランジション状態じゃない(LACが得点決めて相手がゴール下からパスインする)ポゼッションのはずなのに、怠惰でトランジションにされちゃうシーンが目につく印象で、ワンパスでコーナー3を決められたり、ドタバタの中をドライブで抜かれたり、迂闊なシーンが目立つ気がします。リーグ1のオフェンス効率といつことは、リーグ1ハーフコートディフェンスをセットしやすいはずです。この辺りはチームとしての課題ですね。ズバッツがいない間、踏ん張らないといけません。

他のOppennt Statsの数字だけ見ておくと、TOVからの失点はリーグ10位、2nd Chanceからの失点は18位、ペイント内失点は12位です(すべて1位が良い結果、30位が悪い結果の意)。

尚、失点エリアを見ると、コーナー3やペイントなど、守るべきところは守っているので、長期的に見てこれ以上悪化はしないように思います。

カワイ不在で大敗を喫したBOS戦とハイスコアゲームを制したOKC戦を除くと1/26時点でDEF RTGは11位でもあり、落胆するような状況ではないことも補足しておきます。

もろもろを踏まえ、スタメン変更後の期間で見てNET RTG4位なので、チームの基礎は確りしているのかなと思います。


次に、選手別でstatsを見てみます。
NBA Stats 2023/24: All Stats & NBA Player Props Tool (nbastuffer.com)

※今回の記事で使用するStats全般は、40試合経過の前後で、38試合だったり42試合だったりと多少前後するのはご容赦ください

良さげなStatsに黄色ハイライトしています

図が小さくて恐縮です。
注目すべきは、上位5人に関しては、全員が2P%で50%超え、TS%では60%超え、ズバを除き3P%40%超えで、スタメンを中心に全員が満遍なく効率的なオフェンスを展開できていることです。
ちなみにノームの右コーナースリーの確率が80%らしいですし、またタッチ当たりの得点がリーグ1位で、1回ボール触ると0.50点入る計算らしいです(PPPだと1.50点)。もはや笑えますね。

NET RTGで見れば、Big3が綺麗にTOP3でフィニッシュしており、コアのコアたる所以が見えます。

1/27時点

カワイは、12月以降57/50/92の効率で、68.2%のTS%を記録しており、これは20点以上得点を取る選手の中で最も効率的です。足元そこまで騒がれてませんが、22試合ではリムで81.3%、ミドルを51.6%、スリーを51.0%で沈めており、驚異的な実績を残し続けています。

またカワイが凄すぎて霞んでいますが、ジョージもキャリア14年目の33歳の今年、ひっそりとキャリアハイの効率を更新しております。
C&Sを多投する選手の中で、FGA7本以上且つEFG%65%以上なのは、現在カリーとジョージの2人だけです。40%以上で決めてる3P数ではジョージが1位です。

この前のLAL戦では迂闊なパスミスが目立ちましたが、ふと考えてみると、ジョージがBlitz対応からパスミスするシーンは昨年より凄く減ったと思いませんか?直近15試合で3TO以上を記録したのは6回、0TOが2回です。ハーデンが負担する分、TOVが減ったのはもちろん、Spotupの状態やクローズアウトシチュエーションでオフェンスを始められ、自身の得点に集中できているように感じます。

副次的な効果として、パス成功数/率やアシスト数、オンボールの重力などから構成されるPlaymaking Talentの推移において、フォワードではリーグで2番目に飛躍した選手となっています。
ちなみにこのPlaymaking Talentをチーム別でみると、リーグ1位はLACらしいです。ハーデンシステム!!!

この2人のエースはブザビ性能も備えており、今期リーグで2番目と3番目に3秒以下の状況で効率的なショットを決めており、勝負強さも兼ね備えているようです。ちなみにノームも4Qの3P%が55%で、リーグ2位のコービーホワイトの44.3%を10%以上離す異常事態であり、例え負けていてもいつでも逆転する力が今のLACにはあると思います。

Traditional Statsで見ると1/24時点で、カワイは52/44/88、ジョージは47/42/91、ノームは50/45/88、ハーデンは46/40/87と、50/40/90クラブを目指せる選手が4人もいるのは凄いですね。ちなみにボリュームが足りなそうだけどコフィー君は56/44/81です!カワイ並みに凄い笑

以上のような現状を踏まえ、ESPNでは、今年のNBA FinalはLAC vs BOSになるのでは(Final進出率はBOS40.9% / LAC31.9%)、とまで言われており、6連敗からよくここまで立て直してくれたなと思います。

また前回触れた、要注目の対戦相手との勝敗は以下の通りでした。
BOSに勝てたのは大きい!ナイスゲームでした。

1/6 NOP①:〇
1/15 MIN①:×(ズバ不在)
1/17 OKC①:〇(同上)
1/28 BOS:〇(ズバ・ポル不在)
2/8 NOP②:?
~2/9 TDL~

ズバの再検査が2月中旬頃、焦らずPOに備えてゆっくり体を休められるのも良いことだと思うので、彼の復帰を急かさぬよう、不在の間も勝ち続けられるといいですね。
ちなみにキャリア初の長期離脱になりますが、インタビューでは「つまり、あれが起こったとき、あれはクレイジーだとは感じなかった」「試合後に痛みを感じたので、いつ、どんなプレーで、どうやって起こったのか、何もわからない。試合後に少し痛みを感じただけなんだけど、打たれただけだと思っていたので、あまり気にならなかったし、痛みもそれほどでもないから」と言っていて、よくわかりません。頑張れ、ズバッツ!


ローテーション


いつも通り、ローテーションを見ておきます。

前回記事で年末のCHA戦までを書いた後、年明けのカワイ復帰のMIA戦からすぐローテが変わったので、集計してた身としてはつらかったです(涙)

結論から言うと、味変を少ししたものの、元のローテーションに戻った状態です。

まず、年明け1/2のMIA戦からの5試合のローテーションを見てみると、ジョージ×ラス組と、カワイ×ハーデン組に分ける形を試していました。

31~36試合目

しかし、37試合目以降~のローテーションは、1Q後半をカワイ×ラス組、2Q前半をジョージ×ハーデン組という、前回記事で書いたものに落ち着きました。

37~40試合目

カワイのプレイタイムを見るとわかりやすいです。GSW連戦の2戦目から1Qフル出場をはじめ、9連勝を納めた後、ジョージが1Qフル出場する形に変更し、5試合の検証を経て、再びカワイが1Qフル出場する形に戻りました。

カワイのプレイタイム

これは、最初の9連勝中に「このローテーションなら結構勝てる」「ラスはカワイと組ませた方がいい」という検証が終わったことを意味していると思います。
その上でジョージ×ラスを試し、そこまでシナジーが大きくなかったことから、元の形に戻りました。元に戻ったとはいえ、カワイの1Qフル出場は相応に長いプレイタイムとなってしまう為、直近の4試合では、2Qにコートに戻る時間が遅くなっており、PTを抑えてRSを勝ち切ることに主眼を置き始めているような気がします。

ちなみに、ジョージ1Qフル出場はLACキャリアでもほとんどありませんでした。スターが増えたのに初めて長くなるあたり、タイルーが試行錯誤している様子が伺えますね。

この組み分けについては、前回で述べたこととも重複しますが、ジョージ×ハーデンの組合せが驚異的にフィットしたことも大きな発見でした。


数字で見るBig4相性表

これまで何度も言及した通り、ローテーションを語る上で欠かせないのがBig4の組合せです。

これまで4人のスターはそれぞれに犠牲を払い、ハーデンは2011年以降最低のFGA、ラスは過去最低のPT、ジョージは2017年以降・カワイは2015年以降最低のUsage%です。

この2人のガードと2人のウィングをどう組み合わせるかがRS前半戦のテーマであり、そして一旦の結論が出たかと思います。

スタメンを変更した11/16以降の各組合せの実績を見ていこうと思います。Big4の内2人が出場し、残る2人がベンチの時間帯のStatsを集計し、以下にまとめています。
(出典:Los Angeles Clippers On/Off Court Stats (rotowire.com)

■カワイ&ハーデン(ラス&ジョージがベンチ)
カワイとハーデンの組合せは、約20試合90分で+35(36分換算で+14)と好調、USG%の変化はこの組合せではないとき(ラスかジョージがいるとき)と比べて、カワイが+5.9%、ハーデンが3.1%と、当然ながらスターがボールを扱う傾向です。
※改めてですが、UsageはFGA・FTA・TOVの数で計算されます。つまり、その人がシュートを打つかTOVしてオフェンスを終える割合です。PTは影響しません

ノームも載せてみました

■ジョージ&ハーデン(ラス&カワイがベンチ)
ジョージとハーデンの組合せは、約23試合で150.9分と多用されており、プラスマイナスは+63(36分換算で+15)とカワイの時より高く、またUSG%はジョージよりハーデンが5%以上も高いところが特徴です。前回述べたC&Sの威力が数字に出ていると思います。

■ハーデン
ハーデン単体で見てみると以下の通りです(ベンチ設定なし)。
ハーデンのいる時間帯全般でプラスが大きく、またジョージのUsageは減少する傾向で、逆にカワイは増加、非常にわかりやすく変化します。Big3間のバランスは上手いこと保たれていますね。

■カワイ&ラス(ハーデン&ジョージがベンチ)
カワイとラスの場合、17試合で90分出場し、プラスマイナスは-14で、前提としてここ30試合は23勝7敗であることを踏まえると芳しくありません。ハーデンの時と比べて、カワイのUsageが1.5%低下するのは、エントリーパスの精度等が背景にあると思われ、カワイで攻めていない傾向にあります。

■ジョージ&ラス(ハーデン&カワイがベンチ)
そして今般ローテーションから取り除かれたジョージ&ラスの時間帯では、24試合148分で-44となってしまっています。ラスだけの問題でもなく、この組合せの時のジョージはUSG34.1%とルカ並みになる傾向で、彼自身が得点を決めきれなかったこともそうですし、2人の間に中々シナジーが生まれなかったと推察されます。

■ラス
残念ながらマイナスが多いのは、ラス本人が29試合で-16とわずかにマイナスになってしまっているためですが(直近のスモールボール逆転劇を経て現在はプラスです)、一方でカワイとフロアを共有する時間帯ではプラスに転じていることがわかります。これはカワイが個人としてNET RTGが+10以上と優勝チームの水準を持っているからということもありますが、開幕当初、ラスをローポへ移動させながら、「ミドルを打てる選手がいるから大丈夫」と発言したタイルーは正しかったように思います。現在も、ラスとカワイが並ぶ際にはローポ待機を継続しています。

以上のStatsを踏まえると、現在のローテーションにおけるBig4の組合せ、つまりラス×カワイ組、ハーデン×ジョージ組という組合せが合理的であるとわかります。これまで5~10試合の間隔でローテーションを変更してきましたが、TDLまでに一通りの検証を終えたと思われ、今後はPTを管理しつつも、大きな変更はないのではないかと予想しています(TDLで大きな選手の入れ替えがあればまた別ですが)。

さて、ここまでのStatsを見ると、ラスがあまり良くない印象になるかと思います。一部事実であり、効率性だけ見ると、ラスはローテメンバーの中で最も低い0.89PPPを記録しており、通常はUsage%が24%ながら、213との2人組になると26~29%へと上昇する点も相まって、プラスマイナスに悪影響をおよぼしてしまっている点は否めないとは思います。

ただ、チームもこの現状を無視しているわけではありません。今度はハーデンとラスの組合せ(ベンチ設定なし)を見てみます。

まず、11/16~12/15の1か月間において、ラス×ハーデンの時間帯がマイナスであった点はイメージ通りかと思います。

注目すべきは、ラスのUsageはハーデンとフロアを共有する際に減少する傾向にあり、その水準は20%以下で、ハーデンがいないときと比べて5.7%も減少します。ただその上で、後述するコビブラとの相性や、試行錯誤の期間中であったことも相まって、106分でプラスマイナスは-19となっています。
この段階ではチームとしてプラスには転じれていないけど、この組合せに活路を見出す必要があったと思います。
今度は同じ組み合わせを、12/16以降の1か月間で見てみます。

コフィーが初めて大きなPTをもらったのが12/14のGSW戦ですが、12/16以降、ハーデンとラスの組合せは145.8分と大きく増加しており、プラスマイナスはプラスに転じています。また、ハーデンとのプレイタイムが増加しTOが減少することで、今シーズンのラスはポゼッション当たりのBad Pass減少割合がリーグでTOP3と、前期と比べても改善基調にあります。

プレイタイムを見てみると、1月13日時点では(スモールボールが始まる前)、10月は31.3分、11月は25.9分、12月は20.0分、1月は17.8分と減少傾向にあり、PT減少とハーデンとの併用増加、カワイとのコンビ結成で、チームとしてプラスにする流れにあったのだと思います。

もちろんラスファンも、ラス本人も、プレイタイムが減ることは嬉しい話ではないと思います。ただ、タイルーは時にこのような厳しい采配をしますが、その状況下でも選手とのコミュニケーションを欠かさないコーチです。

最も印象的なのは、2021/22シーズンのプレイオフのDAL戦で0-2に追い詰められた際、当時スタメンポイントガードだったベバリーをPO中にローテ外にするという大きな決断をしています。結果的にGame3、Game4に勝利し、シリーズを勝ち切ることに繋がりましたが、ディフェンスに最大級のプライドを持っているはずのベバリーに、ルカに狙われているからローテから外すと伝えることは非常に難しいことだったと思います。
その後のUTAとのシリーズでも、活躍が目覚ましかったレジーがスタメンとなりベバリーのPTはあまり増えませんでしたが、プレイオフを通じてベバリーは「タイルーとはしっかり話して、ローテ外を受け入れた」旨を話しており、移籍した現在もズバのユニフォームを着てLACを観戦に来るなど素晴らしい関係が続いています。厳しい采配をしつつも、ラスとは現在も良好な関係性を続けていられているんじゃないかと思うわけです。

加えて、PTやラインナップをいじる一方で、ラスのプレイ自体にはタイルーは口を出していないように思います(もっとパスをしてほしいとか、アイソは控えようといった指示はしていないという意味)。

そもそもよく見るラスのドライブからのアシストパターンは、ドライブして2人を引きつけるというより、2人目のディフェンダーに向かってラス自らドライブし、そのマークマンにパスを捌く印象が強く(特にトランジション)、そういう意味ではディフェンス側ではなくラスに、自ら攻める or パスを捌く の選択権があるような印象があります。

ここ40試合の内、カワイ・ジョージ・ズバが欠場した7試合を除いた33試合で見ると、勝利した試合では36分換算のFGAが2本減少し、ASTが2本増加する傾向にあることから、もっとパスを増やす指示を出したりしてこの点を改善するんじゃないかと予想していましたが、36分当たりのAST数及びFGA数の推移を見ても特段傾向はありませんでした。
あくまで、出場時間中においては変わらずラスらしくいてもらい、PTとラインアップで調整するというのが、タイルー流ということかと思います。

右にいくと最新の試合

カワイもラスにはラスらしくいてもらおうと思っていそうなそぶりを見せています。遠くから見守っていますね。笑

そして、足元のスモールボールにも触れておきます。

先に脱線しておくと、私は今季スモールボールを卒業することを期待していたので、ズバッツ欠場後になって初めてスモールボールが多用されることになり、「やっぱりズバッツがいるときはほとんどスモールボールしないってことなんだな」と逆に嬉しくなったりしました。使用し始めた今でも、あくまで緊急時の秘策であると思います。

現在、プラムリーがスタメンとなっておりますが、DEFは多少厳しい状況です。LAL戦ではチームのエナジーのなさをタイルーが指摘していたものの、Dropが得意でないプラムリーがいる場合、ハードショーやBlitzで先手を打ってハンドラーを潰しに行く守り方をすることが多いですが、その後のローテーションは大変ですし、またタイスも同様にDropを多用しない為、48分の大半をローテーション尽くしのディフェンスで耐えている状況です。リーグ最高齢チームであることを踏まえても、やる気だけでは限界があるので、ある程度の怠慢が発生してしまうことはやむを得ないのかなと思っています。ズバが戻るまでは、P&Rよりアイソオフェンスの方が対応しやすい気がします。
プラムリーをロールマンではなくペリメーターにマークさせてシェイのP&Rから逃がしたOKC戦では、DEFはある程度機能したように思う一方、フィジカルがまだ強くないチェットにはWingを当てられましたが、一般的なビッグマン相手には難しい戦術ですし、40%シューターにプラムリーを付けるのはタイルーも強心臓が過ぎます(笑)。再現性は高くないのかなと。
この点、TDLでセンターを獲得することは、ズバッツ不在の期間も安定したDropDEFを遂行するためには必要な気もしています。

話をラスに戻すと、ネッツ戦での大逆転まで、ラスが30分以上出場した試合では1試合しか勝てていませんでした。Big4の相性が悪いというのは、ファン誰しもが理解していたところです。Big4が並ぶと、ハーデンが遠慮して圧倒的にUsageが下がる傾向にもあります。

先程の集計方法でBig4がフロアにいる時間を取った場合

しかしながら、直近ではこのBig4ラインナップが功を奏し、何度も大きなランを作っています。

先日のウルブス戦では残り5:38で17点差で負けていた状況から、20-6のランをして残り1分でワンポゼッション・ゲームに。ネッツ戦では、4Qで18点差から22-0を含む39-10のランを作り、劇的な勝利につなげています。

Nig4+ノームのLineupは、過去5戦で+74.6のNETRTGを記録しており、ノリノリです。

スモールボールは、相手の2点を守りきり、逆にこちらが2点を取る、この4点プレーを20-30秒間隔で素早く繰り返し成功し続けるという、非常に難しいギャンブルです。ただ、Dropやローテーションが機能しない場合や、相手にアイソラーが少ないorこちらのアイソラーを止めるディフェンダーが少ない場合には有効な手段になることも事実です。
ラスは、36分換算でBig4で最もリバウンドが強く、最も優れたDFG%でリム周りの強さを持っていてセンターにマッチでき、カワイの次でジョージとほぼ変わらないDEF RTGを有し、また当然にペースも一番早いです。

ネッツ戦後のインタビューでラスは、「今夜の私の仕事は5番」であると述べていて、昔のLACの全員が3P40%のスモールボールとは異なり、ラスの場合はDEFではオールスイッチ、OFFでドライブ・ロールマンが出来るセンターとして出場している点が面白いです。
「相手を止めて、速いプレーをする」「試合をクローズするために自分の能力のベストを尽くした」とも話しており、その言葉通り両エンドで活躍をしてみせました。

また、個人的に、ラスがリムにドライブが出来るのは知っていましたが、MINの堅牢なディフェンス相手でも関係なくリムアタックできるのは素晴らしいなと感じました。現在、リムショットクリエイションではガードでリーグ9位であり、213を上手く守りリムプロもいるMIN相手に、P&Rのロールマンになりながらリムに向かえるラスが存在感を発揮していました。
レイアップが入らないのは悲しいけど。笑

彼のプレーはジェットコースターのように波はあるけれど、タイルーやチームと協調し、きっとプレイオフでも存在感を発揮してくれると思います。RSもここから短いプレイタイムの中でもインパクトを残し、きっとプラスマイナスもプラスに転じてくれると期待しています。

まとまりのない文章になってしまいましたが、ラスとの融合においても、一定の成果を掴めたRS前半戦だったのかな、ということが言いたかったです。


コフィのローテ入り

ローテーションの話題なので、コービーブラウン(以下、KB)に変わってコフィーがローテ入りしたことにも触れておきます。
まずはコフィー、本当におめでとう!

コフィーと言えば、マンと同期の5年目、身長200cmのWingです。”Amir Coffey”って名前がまずおしゃれですよね。
毎年髪形を変えながら、長い下積みを経験し、ついに契約を勝ち取ってカワイの全休シーズンでは活躍も見せましたが、Wingの層が厚いLACでは中々PTが安定していませんでした。

個人的なコフィーの印象は、方向性としては3&Dですが、良い意味で非常にプレーンな選手かと思います。メダロットでいえば、ティンペットみたいな(世代…)。
ジョージがメタビー、カワイがロクショウでしょうか。

真ん中のパーツを付ける前のスケルトンのこと

ドライブ、プルアップ、C&S、フィニッシュ、ペリメーターディフェンス、どれをとっても平均的に得意であり、弱点がありません。ロールプレイヤーには職人気質のベテランが多かったLACにとっては珍しく、なんというか、草バスケで無双するような、いわゆる日本人的な感覚の”バスケが上手い”という印象でした。
しかしながらNBAレベルで突出した技があった訳ではなく、ベバリーやバトゥム、モリス、ノーム等、エッジが利いた特技を持つ職人集団のLACにおいて、中々起用には至らなかったと思います。また、コフィーは身長とウィングスパンが6’7で同じで、バトゥムは身長6’8 に対し7’1 wingspan、ロコも身長6’7に対し7’2 wingspanと、比較的小柄な点も他のメンバーとの差別化が難しかったところです。

今季、コフィーが初めてガベージ以外でまともなPTをもらったのは、ジョージが欠場した12/14のGSW戦でした。
マンが20分、KBは6分に留まってPF2回(パーソナルファール)の傍ら、コフィーはスタメンで29分出場し、18得点、4リバウンド、1アシスト、プラスマイナスはスタメンではハーデンに次ぐ+5(ハーデン+12)でした。
試合後の会見でタイルーは「KBには(ゲームスピードが)早すぎた」とコメントしており、どちらかというとフィジカルに特化したKBが、GSWのオフボール主体の攻撃が苦手だった故の一時的な措置かと思われましたが、結果的にKBはそこから徐々にPTを失うことになります。

12/16NYK戦でコフィーは控えから16分出場(KBはガベージ4分)、次のIND戦で控えから18分(KBはガベージ6分)、次のDAL戦ではジョージ不在のスタメンで39分(チームハイ)の出場時間を獲得するなど、徐々にPTを確保していきました。

また、12/22のOKC戦から12/30 MEM戦にかけてカワイが4試合欠場し、コフィはOKC戦でスタメンで32分出場、チームは大敗しましたが、±はスタメンではズバに次ぐ2番目の▲8(最高でもノーム▲2)と、しっかりと貢献。以降3試合の内容は以下の通りです。

■BOS戦
KB:25分、-18、PF3/Coffey:17分、-11、PF0
■CHA戦
KB:17分、-5、PF0/Coffey:22分、-1、PF0
■MEM戦
KB:15分、+1、PF1/Coffey:30分、+23(チームハイ)、PF0

その後、KBのPTはなくなることとなります。

スタメン出場のコフィーと2ndのKBをプラスマイナスだけで比較するのはフェアじゃありませんが、213の片方が欠場したタイミングでありながら、コフィーが出場している間しっかりと活躍していたことは疑いようがないかと思います。

まずオフェンスでは、C&S、ドライブ、フィニッシュ、何れもコフィに分がありました。KBは今シーズン、C&Sを1.5本打って約27%ですが、コフィーには21-22シーズンに平均3.0本打って38.9%で沈めた実績があります。1/14時点では、KBは2P55%/3P30%/EFG49%/FTA2本、コフィーは2P73%/3P34%/EFG62%/FTA16本であり、まんべんなくコフィーが上回っています。FTA数もカウンタードライブを求められるspotup組に取って大きな要素です。

また、KBはディフェンスにも意外と穴がありました。KBはもともと「Good Shoter、1-4番を守るGood Defender、ハードワーカー」とタイルーに評されていましたが、当然1年目なので経験値は乏しく、ファール数が非常に気になります。KBは平均10.5分でPF1.6回、コフィーが14.9分出てPF1.0(21‐22RSは22.7分でPF1.3回)であり、時間当たりで比べると2倍以上、それを2ndユニットの時間帯でやってしまうのはチームとしては大きな痛手です。
ちなみにDFG%では、0.7-0.8DFGAで、コフィが61.1%・KBが64.3%でコフィーが少し良く、STL・BLK数はほぼ変わりません。

加えて、2ndUnitで出ているKBは、4番であって4番ではないということが大きな要素かと思います。2nd Unitでは、ラス・ハーデン・ノームと並んで4番で出場する機会が多いものの、その3人が相手のファーストオプションをつかない為(ラスはたまにつきます)、KB or コフィーが相手のエースにつくことが多くありました。

2nd Unitのエースは基本的にはPG/SGが多いですよね。例えば、歴代の6thman賞を見ると、そのほとんど得点力のあるPG/SGであり、パワーフォワードがエースということは非常に稀です。レブロンやウェンビーのように、でかくて何でもできる選手が日に日に増えるリーグですが、それはまだスタメンクラスのお話。2ndはあくまで従来通り、ドライブやP&Rが上手いのはガードである傾向が強く、従って2nd UnitのディフェンダーにはPG/SGを守るペリメーターディフェンダーとしての適性が重要です。この点は、PJタッカーの不完全燃焼にも関係してくるところかと思っています。
尚、2nd Unitの4番で得点力のある選手と言えば真っ先に八村選手や今のマカモリが思いつきますが、リーグでも希少な気がしますね。

コフィーがどんな相手を守っていたかMatchups見ると、点取り屋なPG/SGが非常に多いことがわかります。ラス・ハーデンがある程度フィジカルな4番を守れることもあり、コフィーの方がKBよりディフェンス面でもマッチしたということだと思います。

TDLの話題に一部触れておくと、控えPG獲得派が一定数いたかと思いますが、個人的にはあまり乗り気ではありません。幾つかある理由の1つが、ラスがいないと2ndでPFないしサイズやフィジカルのある選手を守れる人が本格的に枯渇するからで、それこそ骨のようなタイプが出れば、DFが崩壊してしまうおそれがあります(BOS戦ではテイタムをついている時間帯もありました)。
従って2ndのプレイメイカーとしてのサブを獲得する場合、PFを守れる選手もセットで欲しくなり、アセットの使い道として勿体無い気がします。

KBがローテ外になってしまったのは残念ですが、彼はそのフィジカルに反して俊敏さを兼ね備えており、そこが個人的に好きです。LACのディフェンダー達は、圧倒的なリーチのあるカワイ、読みとフィジカルのジョージ、常に全力で粘り強いマンと様々なタイプがいますが、足の回転の速い(スライドステップでついていける)タイプはあまりいない印象です。マンは少し該当しますが。
KBはパワーフォワードながらアジリティに足けており、スライドステップで相手に付いていけるポテンシャルを秘めていることから、LACにとって新しいタイプのディフェンダーになりえるんじゃないかと期待しちゃってます。それこそ相手PGを守れるような。
ちなみにこの点でもコフィーはフィジカルもクローズアウトの読みも足の回転も全部ある程度できるマルチタイプですよね。

またKBはGリーグのオンタリオクリッパーズで先日22-10-10のトリプルダブルを記録しマルチな才能を見せているので、来期以降でもまたローテを掴むべく奮闘してくれることを期待しています。

とにかく両エンドでコフィーが今のクリッパーズにフィットし、先日はマンを差し置いてクロージングラインナップに名を連ねるなど、進歩が目覚ましいです。彼の活躍、嬉しいファンはかなり多いはず。
本当によかったね、コフィー!


余談

細々した話ですが、最近またハーデンをハイポ上に置いた213へのエントリーセットをやってますね。TOR戦でも開幕でやっていました。

もともとパサーがラスの時にラスが離されないように始まったもので、ハーデン加入後程なくして辞めていましたが、このタイミングで復活したのは、213にパスを出せずにハーデンがP&Rする際、プラムリーだと高い位置からリムまでフィニッシュできない為、ゴールとの距離の短いP&Rをするためにやっているんじゃないかと予想しています。
なので、ズバが復帰後に無くなるような気がします。まぁ1試合に1~2回しかやらないので続けても問題ないと思いますが、213のしらこいカッティングに相手があまり引っかからない印象です(笑)


終わりに

ということで、短いですが今回は以上です。
ローテの話題も3回目になるとあまり書くことが無くなってきました。笑

タイルーはこれまで実験を繰り返し、一定の成果を得たと思います。
TDLを超えても実験するのかは気になるところですが、もしかすると新しい選手が来るかもしれないのでそこでローテに変更が加わるかは注目です。多分、そんなに変わらないと思うけど。

現在TDL編を執筆中で、間を開けずに公開しようと思います。契約関係は私もまだまだ勉強中ですが、皆さんにもシェアできたらと思ってます。
そちらも是非見ていただけたら幸いです!

今回も最後までご覧頂きありがとうございました!

Mame


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