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「君」に歌うことの虚しさの独白 『miss you』(Mr.Children)レビュー

Mr.Childrenの新アルバム『miss you』の発売以来、苛々した気分で日々を過ごしている。原因を探すと、SNSから飛び込んでくるアルバムへの反響が、自分のそれとはあまりに違いすぎて孤独感を深めていっている自分に気づく。しまいには、レコード会社であるTOY’S FACTORYの「優しい驚き」という広告文句にも反発感を抱いてしまう始末である。広告は「広く告げる」と書くが、その「広く」の中には僕は入ってないのではないかとまた寂しくなってしまう。 本アルバムのリード曲『ケ

    • その角を曲がった先に、ペンギンはいない

      先月、「映画『打ち上げ花火 下から見るか横から見るか』がつまらないと言うやつは読解力がないだけ」というツイートをしたところプチプチ炎上した。大量の空リプの嵐が僕を襲い、僕のツイートをスクショして晒しあげる悪質な粘着垢もあった(怖かった)。 僕の表現に不適切な部分があったことは大いに認める。「つまらない」と言っている人を十把一絡げに「読解力なし」とするのは横暴だった。しかし、一部の反応には受け容れられないものがあった。 「多くの人が理解できない=駄作だ」 「自分は中の上の理

      • ミスチル狂信者がスピッツ入門するための覚え書き

        スピッツを勉強したい! ……この思いは結構昔からあったのだが、なかなか手をつけられずにいた。 それには理由があって、スピッツが表現する世界が、僕の愛するミスチルとかなり離れたところで展開されているような気がしていたからだ。 このコロナ期間でスピッツ、ミスチル双方がライブを無料公開していた。それを見比べて疑念は確信に変わった。 スガシカオ曰く桜井和寿は「顔の面積が大きい、みたいな歌い方をする」。 要は、ライブパフォーマンス中の表情の変化、身振り手振りが大きく派手なのである

        • 存在しない神に祈ることの価値

          流行遅れの僕の携帯にサブスクが導入された。そこで恥ずかしながら初めてユーミンの『やさしさに包まれたなら』をフルで聴いた。 歌い出しの「小さい頃は神さまがいて」という歌詞がやはりとっても魅力的だ。なぜなら、僕にも「小さい頃は神さまがいた」から。あまりに自分に近い感覚に、これは僕の歌ではなかろうかと錯覚してしまう。きっと僕と同じように感じる人がたくさんいたから、大ヒットしたのだろう。 「小さい頃は神さまがいる」という感覚は、「守られている」ということだろう。僕は両親に愛され、

        「君」に歌うことの虚しさの独白 『miss you』(Mr.Children)レビュー

          太陽の塔の中に入ってきた

          太陽の塔に行った! ヤバいところだった! 僕はその前日まで3泊4日の勉強合宿で走り回っていた。朝4時に寝、6時に起きる日々。 合宿から帰った翌朝、弾丸ツアーで大阪に向かう。 寝不足で頭がガンガンする中、モノレールの窓から太陽の塔が見えた。 ヤバい! 何だろう?この圧倒的な非現実感は! 誰かが間違えて置いて行ってしまったような。 ミステリーサークル的な、異様な存在感。 近くに新しくできたというピカピカのららぽーとと水族館がより状況の可笑しさを引き立てる。 うん、

          太陽の塔の中に入ってきた