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20220922_ラテンの宴(エン) テーマ「バリバリ(ガムラン等)」

横浜元町の"Gallery + Sushi あまね"で毎月開催している音楽ラウンジ「ラテンの宴(エン)」

そこではDJの時間とは別に、テーマを決めて音楽紹介もしています。
2022年9月のテーマは「バリバリ!」
といっても若気の至り丸出しのガサツ音楽ではなくバリのガムランから近似したワールドミュージック/前衛音楽などを紹介します。


【1】Gamelan Semar Pegulingan 「Gamelan of the God」(1972)

インドネシア、バリ島のガムラン。そのなかでも名機といわれた楽器を使った演奏の記録。本来は王専用のガムランだったとか。
ガムランの演奏には超高周波が発生するといわれている。
通常聞こえる音(20kHz以下)を聴覚(耳)で知覚し、耳で聞こえない超高周波(100kHz)を皮膚表面に浴びることで人間の生体や心理にポジティブな効果を与えるという「ハイパーソニックエフェクト」が発現するという。

ガムランの演奏中には「クラウハン」という意識変容現象いわゆるトランス状態になることがあり、通常とは違う脳波の出現が見られ、昏倒や失神、果ては悪魔に乗り移られたという自己暗示から自らの体を聖剣で刺すということまでもするようですが、当人は快感と陶酔の極致を体験しているという。

ハイパーソニックエフェクト、一般的にはリラックスや脳機能活性化の方向で活用が試みられているようで、新宿のNeWomanの施設内にもハイパーソニックエフェクトを期待したBGMおよび専用音響機器が設置されている。(熱帯雨林の環境音が降り注ぐように施設入口およびエスカレータの上下に特別なスピーカーが設置されています)

またハイパーソニックエフェクトの研究が 既存のCDより情報記録を多くしたハイレゾ格策定のキッカケになったともいう

(この辺りに興味ある方は 大橋力「ハイパーソニック・エフェクト」という書籍を見られると良いかと)



【2】芸能山城組「アフリカ幻唱」(1982 Japan)



アマチュアの声楽隊、それもアジアやアフリカなど民族色の強い音楽を専門とする「芸能山城組」。
映画「AKIRA」の音楽を担当したことでも知られている。

その主幹である 山城祥二(大橋力)。音楽家にして科学者である彼が上記の「ハイパー・ソニック・エフェクト」を発見した。
CD出現時に「同じマスターテープの音楽なのにCDとレコードでは明らかに"何か"が違う。それは何か?」」という疑問が研究の発端になったとか。

芸能山城組の音楽はアジアやアフリカなどの民族音楽をベースとしているが、クリアーな音で緻密に作られたそれらはオリジナルとは異なり新たな”何か"が含まれているように聞こえる。
「パラレルワールドの民族音楽」とでもいうような…(映画「AKIRA」の音楽も「この世に存在しないアジア」のような音かと)

現在日本産のシティー・ポップが海外で大人気だが、実は日本産アンビエントミュージックも大変に注目が集まりその中でも高い人気を誇るユニットである。


【3】Diga Rhythm Band「Diga」(1976 US)

グレイトフルデッドのパーカッション奏者、ミッキー・ハートが
著名なタブラ奏者であるザキール・フセインと組んだユニット。
インドのタブラ奏者はチッラーと呼ばれる修行を行うという。
小さなお堂にこもり、人と会話せずに40日間もタブラをたたき続ける。
数日すると意識変容が起こり太鼓が語りかけてきたり妖怪変化をしたり見えるとの事。

ミニ・チッラーをやろうとして作成されたのがこのアルバムらしい。
音をとぎらせないために最低2人は音を鳴らし続け4日間演奏しつづけたらしい。
(ただ、ライブ録音ではなさそうなので実際のミニ・チッラーではなく後で再現したものかもしれない)

この手の音やパーカッションに興味あるなら、工作舎の「ドラム・マジック―リズム宇宙への旅」という本をお勧めする。
ミッキー・ハートがいかに"パーカッション狂い"かをイヤという程知れる。


【4】Terry Riley「A Rainbow in Curved Air」(1969 US)

スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスらと並ぶミニマル・ミュージックの代表的な作曲家の一人。
2022年現在、山梨県北杜市在住。

カールハインツ・シュトックハウゼンに影響を受けた後、パンディット・プラン・ナート(インド古典声楽の名人)にも師事。
テープループやテープディレイや多重録音を使用し繰り返し/持続音を多用した宇宙的&瞑想的な音楽。

ミニマル・ミュージックでも面白く聞けるものと面白くないものがあり、自分なりにその差は何か?と考えてみたりもするが中々答えがでない。テリー・ライリーの魅力を無理に言葉にすると「陽性で有機的かつ宇宙的(?)」という事になろうか。

(ちなみに自分はこの盤とラテンのデスカルガをよくミックスして"宇宙仕様"にしています。宇宙ぅ!)

【5】Steve Reich「Drumming」(1974 US)

最小限に抑えた音型を反復させるミニマル・ミュージックの先駆者として「現代における最も独創的な音楽思想家」と評されるスティーブ・ライヒ。
同じ音を吹き込んだ二つのテープを同時に再生し、次第に生じてくるフェーズ(位相)のずれにヒントを得て作成された「drumming 」は自身の代表作。
スティーブ・ライヒの場合、緻密なスコアとクラシック音楽で使われる楽器を使っているからか、表面上あまりワールドミュージックの影響を受けているとは感じなかったが、このDrummingはアフリカ音楽の影響を強く受けているとの事。

声とマリンバがひたすら柔らかく重ねられてゆく「Drumming Part2」、少ない音数から始まりしだいに音数を増し「冷静な狂騒」をするかの如くラストまで上がってゆく「Drumming Part4」が個人的には好き。


【6】Reich Remixed (1999)

DJ/クラブ文化から先人Steve Reichへのリスペクトをこめた返信。
クラブ系の音楽、特にテクノやハウスでは「反復」の要素が顕著に見られるが、DJやクリエイター達は過去の様々な音源から近似性を見つけだした。
本レコードはテクノ系のDJやクリエイターがスティーブライヒの作品をリミックスしたもの。

音こそ若干現代的な感性(つまりダンス・フレンドリーな感じ)が、まぶされているが、反復の快楽、微妙な位相のズレ、それらが誘発する催眠的、瞑想的快感は削られることなく残っている。 名盤。

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今回のテーマ選定の裏の意図としては「音を体験してもらおう」というものがありました。
つまり、2022年現在、音源自体はネットで幾らでも視聴できます。が、それは"体験"として刻まれるのだろうか?と。
トランス/瞑想/意識変容の可能性があるような音を大きな音で浴びてもらって"体感"で判断してもらおうと。
「ハイパー・ソニック・エフェクト」という事を紹介したのも、見えない、エビデンスもはっきりしてないモノもあるし、実は音楽をなぜ面白いかと思うこと事態解明されてないのだからやはり"体験"ってのは人が何かを知るのには重要なんじゃないと。

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ま、こんなことしながら遊んでますので
御興味あれば横浜の元町までフラりきてみてください。


「ラテンの宴(エン)」


「Gallery + Sushi あまね」


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