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夏目漱石「こころ」解説

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夏目漱石の「こころ」を1話ずつ丁寧に読み、解説していきます。
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#評論

夏目漱石「こころ」~Kについて

夏目漱石の「こころ」は、明治時代の小説なのに、今も原文でそのまま読めるのは、考えてみると…

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私
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夏目漱石「こころ」~奥さんへのお嬢さんとの結婚の申し込みについて

次は、「私」が下宿の奥さんに、お嬢さんとの結婚を申し込む場面です。 ③~⑥あたりの、下宿…

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夏目漱石「こころ」~お嬢さん(と奥さん)は、なぜ「私」を夫として選んだのか?

お嬢さん(と奥さん)は、なぜ「私」を夫として選んだのか? コミュ障でやや性格に難があると…

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1年前
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夏目漱石「こころ」~遺志に反する先生の過去の公表について

「こころ」を最後まで読み、また初めから読み返すと、冒頭にとても引っ掛かる表現が出てくる。…

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夏目漱石「こころ」~先生がKを「よそよそしい頭文字」で呼ぶ理由と、遺書の公表につ…

もうひとつの疑問は、③の部分だ。 ③鎌倉の海水浴場で偶然見かけ、その後知り合った人を、「…

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夏目漱石「こころ」~先生が自殺したのは、青年のせいである

少し長くなるが、『こころ』本文を示す。 本文の、特に①~⑩の部分から、次のようなことが言…

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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書四十三「愛の目的物に燃える熾烈(しれつ)な感情」(あとがき付き)

「その頃は」、「覚醒とか新しい生活とかいう文字のまだない」「古い」「時分」だった。「しかしKが古い自分をさらりと投げ出して、一意に新しい方角へ走り出さなかったのは、現代人の考えが彼に欠けていたからではない」。Kも、現代人が持つべき新しい考えを持っていた。覚醒、目指すべき新しい方角。それらへの意識や思考を、Kも有していた。 しかしKには、「投げ出す事のできないほど尊(たっと)い過去があった」。「彼はそのために今日(こんにち)まで生きて来たといってもいいくらいなの」だ。「道」を目

夏目漱石「こころ」下・先生と遺書四十二「狼のごとき心と罪のない羊」

先生は、「Kと並んで足を運ばせながら、彼の口を出る次の言葉を腹の中で暗に」「待ち伏せ」る…

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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書四十一「恋の戦争」(あとがき付き)

「私はちょうど他流試合でもする人のようにKを注意して見ていたのです。私は、私の眼、私の心…

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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書四十「恋の恍惚と、自分が自分でなくなる恐怖」

(以上の部分については、マガジン「私のエッセイ」の、「夏目漱石「こころ」1~Kについて」で…

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1年前
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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書三十九「先生:隠し立てをしてくれるな、すべて思っ…

前夜、先生は、「今朝彼から聞いた事(お嬢さんへの好意)について、もっと詳しい話をしたいが、…

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1年前
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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書三十八「洋燈(ランプ)を吹き消す音」

「私が夕飯(ゆうめし)に呼び出されたのは、それから三十分ばかり経(た)った後(あと)の事でした…

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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書三十七「先生:魔物(=K)に永久に祟られた……」

「二人は各自(めいめい)の室(へや)に引き取ったぎり顔を合わせませんでした。Kの静かな事は朝…

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夏目漱石「こころ」下・先生と遺書三十六「K:お嬢が好きかも……」

今話は、Kがお嬢さんへの恋心を先生に告白する場面。 「奥さんとお嬢さんの話を已(や)め」ないKは、「しまいには私も答えられないような立ち入った事まで聞く」。Kのお嬢さんへの思いは募る。 「以前私の方から二人を問題にして話しかけた時の彼を思い出すと、私はどうしても彼の調子の変っているところに気が付かずにはいられない」。「私はとうとうなぜ今日に限ってそんな事ばかりいうのかと彼に尋ね」る。「その時彼は突然黙」る。「彼の結んだ口元の肉が顫(ふる)えるように動いている」。「彼の唇がわざ