3歳1ヵ月男の子②言葉の遅れと会話力の弱さ/Neo発達外来 #002
発達専門の小児科医ママ友ドクター®にしむらゆみがこれまで担当してきたオンライン子育て相談の内容を匿名化し、ママたちに話しかけるような形で解決策や成功エピソードを紹介していきます。
Question.
言葉を覚える力はあるものの、会話にいかされません。どのように伸ばしたら良いですか?
→絵本や歌など聴くと全部覚えているということは、今はお子さんにとって「インプット期」です。この時期に、絵本や歌の内容をそのままアウトプットするのは、頭に入れたフレーズを口を使って喋る、口の周りの練習をしているからです。
赤ちゃんを思い浮かべてみてください。多くの赤ちゃんは大人が言ったことをそのままリピートします。意味が分からなくても、なんとなく覚えて真似して、そういった模倣の経験を積み重ね、初めて「会話」という次のステップに進みます。赤ちゃんの頃にその経験がすこし弱い場合、模倣期間→会話のステップに進む時期が、全体的に後にずれます。
インプット期を少しもどかしく感じるかもしれませんが、今は全く問題ありません。いろんな知識を取り込んで蓄積しているのでOKです。
質問をするときに「好きな果物は?」と尋ねると、定型文のように「リンゴ」と、毎回同じように答えてしまうのは、「リンゴとね、バナナとね、アイスクリーム」といった少し複雑な会話をまだ経験してないから答えられないのだと思います。
会話のやりとりにならなくても、受け答えのバリエーションはどんどん広げてみましょう。
例えば「好きな果物は?」と尋ね、お子さんが本当にリンゴだけが好きで「リンゴ」としか言えない場合は、「リンゴね。本当にリンゴが好きなんだね」と返したり、「ママもリンゴ好きだよ」という形で、親からなげかける話の範囲を広げてみて、場合によっては会話につなげてみましょう。
もしお子さんがブドウも好きなのに「リンゴ」としか答えないのであれば、「リンゴかぁ〜。でもブドウも好きだよね?」と尋ね「ブドウは?」と絵を見せてみましょう。「ブドウ、好き」「うん」などと答えたら「そうだね。好きな果物はリンゴとブドウだね」と教えてあげましょう。その会話をすぐにその場で真似出来なくても「ふーん」と頭にインプットしているはずです。
「いま話せる内容+新しい要素」という形で、ほんの少しずつバリエーションのある会話を積み重ねていくと、別のタイミングで「好きな果物は何?」と尋ねられた時に「リンゴとブドウ」と答えられるようになります。
相談いただいた息子さんの場合、まだ経験が浅くて会話の例文(場に応じた台詞)があまり入ってないので、意識的に促してみましょう。
まずは、たくさん例文をインプットしてもらう。そして、少しずつ会話の内容を応用させながら練習を重ね、バリエーションを増やしましょう。
私の実体験ですが、幼児期に言葉の遅れがあった長男との会話がスムーズになったなぁと思えるようになったのは、1年生から2年生の頃でした。それまではなんとなく彼のアウトプットの不自由さを感じていました。
お子さんは、3歳になったばっかりですじ、焦らせずに今はたくさんインプットして、少しのアウトプット練習を続けてあげることで、「ことばのやりとりは楽しいなぁ、もっと覚えたいなあ」という気持ちを沢山育ててあげましょう(•‿•)
続く…
ママ友ドクター®にしむらゆみ
小児科専門医・子どものこころ専門医
子育てと療育の専門家
乳幼児メディアアドバイザー
KidsDevelopReach代表
子ども発達相談アカデミーVARY主宰
子ども発達相談アカデミーVARY(西村佑美事務局公式LINE)
西村佑美SNS
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?