全ての親に伝えたい育児と発達の話①自己肯定感とほめることとは。  Neo発達外来シリーズ

我が子の発達で悩めるママさんパパさん、初めまして!
Neo発達外来note へようこそ。

Who is ママ友ドクター?? 
三人の子育て中の小児科医で、自閉症を見つめ続けて35年以上の専門家。もともとは大学病院所属の小児科専門医・小児心身症学会認定医・子どものこころ専門医として発達専門外来を受け持つが、2020年の産休をきっかけに、より世間のママに寄り添いながら発達特性のある子供達を多く伸ばしていくため【ママ友ドクター】という活動を開始。セミナー、You Tube、SNSで「ためになるママ会」「Neo発達外来」などを行う。
プロフィール略歴など詳しくはコチラをご参照ください。 コチラ



さて、初回は自己紹介すべきところですが早速、悩める保護者の皆さんに知っていただきたい事実をお伝えします。


全ての子供を伸ばすための共通スキルは存在する


私は小児の心や発達の専門家として0才児から高校生までのべ1000件以上の様々相談を受けてきました。
発達障害と診断された我が子について悩む親御さんも多かったのですが、グレーゾーンと呼ばれる子どもだったり、落ちこぼれではなく浮きこぼれてしまったハイスペックな子どもたちとその親にも沢山会ってきました。
私が外来で何をしていたかというと、一人一人の悩みに応じて、親はどう接して子供の行動を改善していくか、何を子供に学ばせるか、といった内容を伝えていました。子供への直接的指導が有効なのは小学校高学年からで、それまでは主に親が変わることで子供が変わるため、親への指導が9割のイメージです。必要な子には診断書を発行することもありましたが、実際に子どもたちに何らかの診断名を与えることは必須ではありません。なぜなら、診断ありきではないからです。子供だからこそいずれ診断名にとらわれない(すなわち診断されないほど特徴が薄まってしまう)成長がみられたりするためです。後述しますが、子供をカテゴライズし変なレッテルを貼ることは決して得策ではありません。

相談内容の差はあれど一番最初の外来で、私が全ての親御さん達に共通して伝え、最初に身につけてほしいスキルは2つあります。

1つめは、「子供の自己肯定感を上げる育児をすること」
2つめは、「発達障害は障害でもなく単なる個性でもないことを理解し我が子を再解釈すること」

子どもの自己肯定感を保つということ、その方法

結局、流行りの《自己肯定感》かよ!ってなりますよね。
そうです、もはや当たり前のスキルすぎるのですが、どんな子どもでも効果が絶大だからこそ何度でも角度を変えてお話ししていきます。

「子供の自己肯定感」は、1歳すぎてきたら少しずつ親に意識してもらいます。
まだ言葉を話さないし親の言うことが分かっていなそう?とんでもない。子供は1歳半ころまでには親が思うよりも遥かに高い認知能力を持つようになり、それは言語力より先に伸びていきます。これはどんな発達のタイプの子供にも言えることです。自己を肯定されているか、自分は親から必要とされる価値のある存在なのかどうかを確認し始めるため、気をつけなければいけません。

自己肯定感が保てないと、子供は自分は存在する必要がないという感覚さえ覚えて成長が望めなくなります。(別記しますね)

ならば自己肯定感を上げるにはどうしたらいいか。
おそらく皆さんの多くが目にしたことがあるか或いはすでに実践しているであろう「ほめて伸ばす、怒らない」に尽きます。

『やっぱり流行りの褒め育児かよ!』ってがっかりしないでください。今みたいに流行る前から外来で伝えてきてます。
これは、きちんとした児童発達学や行動分析法などに準じた考え方で、子育てに関わる様々なジャンルで重視されていると言っても過言ではないでしょう。

もちろん細かいコツはあるのですが、仮に言葉の遅れがあったり多動が目立つタイプの子供、障害の程度が重いとされる子であっても、大原則は自己肯定感を高めるような接し方、声がけで驚くほど確実に成長がみられます。その嘘みたいな成長ぶりとそれに感激するママ達の表情を見る瞬間が何よりの楽しみです。

怒らずに子どもを育てるという高すぎハードル

しかしながら、例えば3歳前後の子供に対しイライラせず怒らずに育てようとした経験がある親御さんならば、それがどれほど難しいかもお分かりでしょう。
そう、とてもとても難しいのです。
だからこそ「褒め方叱り方」をテーマにした沢山の書籍が出版されています。
怒らずに叱るの違い、例えば「怒る」とは、感情がセットであり相手のためではなく自分のための行為であること、、などを頭で何度も理解してコントロールしていく練習が不可欠です。「叱る」という行為もとても難しいです。

いかに怒らず上手に叱るかを意識するより、まずは褒めまるくる練習から


沢山ほめるコツは、最後までできるのを待ってから褒めるのではなく、どんどん少しずつ褒めるのです。
例えば何かを指示するときは細かくスモールステップで伝え、達成できたらすぐほめる…の繰り返しです。例を挙げてみます。

怖がる子供を平均台に乗せて歩かせるときを想像してください。
「ほら、こっちまできてごらん!」と平均台の反対側で親が待ち最後まで歩ききったらほめてあげよう!とするのではなく、真横に立ち子供を支えて、まずは台に乗ったらほめましょう。次に10センチ先を指差して「ここまで来てごらん」と伝え、進めたらほめる。また一歩進んだらほめる…を繰り返すのです。そうすると台を渡りきった時には沢山ほめられて何度でも成功体験を積んだ状態になります。明らかに子供は自己肯定感が上がっていきます。
もし、ほめられたことをうまく理解できない子にはニヤリと笑ってくれるまでくすぐったり抱きしめたりします。
他にも、小さなお手伝いをこまめに頼み「ありがとう」と感謝を伝えることも有効です。そして、「椅子に座らないとだめでしょう!」ではなく「座ってくれると嬉しいな」というように、否定的・命令的な表現を避けて指示することもほめる回数が増えます。

私も外来を担当している頃からいくつか読みやすい書籍を紹介しながら丁寧に解説してきました。

さらに成長実感を手に入れてもらうために、未就園児ならば1日50回、未就学児でも1日30回褒めるのとを目標にしてもらっていました。一回しかったら三回ほめてリカバリーしてもらいます。この目標回数が実践できると驚くほどの変化が得られます。


現在、オンラインやオフラインでの発達相談を受けておりますが、こちらに述べたようなことを含めて沢山のコツを、お子さんに応じてカスタムしたアドバイスを行っております。ご興味のある方は コチラ をご覧ください。


さて次の記事では、「発達障害は障害ではないし単に個性でもない、我が子の再解釈」という内容をお伝えします。そもそもは英語の誤訳だった!という話から子供を勝手にカテゴリーに当てはめないように…という話に繋がりますのでお楽しみに。



最後まで読んでくださりありがとうございました、これからもママ達のお役に立てる活動を続けますので応援よろしくお願いいたします。

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