ニッポンの中華まんはどこへ行く?

またしても雪予報が出ている関東地方。そして、先日1月25日は「中華まんの日」だった。寒い時期には中華まんを食べてあったまろうという意味があるらしい。

30年ほど前、仕事で毎日のように横浜中華街を歩いていたことがある。中華街では1980年代から、店先で蒸かしたての饅頭を売る店が増え始めた。いわく「最近の若い人はその場で食べられないとダメ。家に帰って蒸し直すなんて面倒なんでしょう」そういう理由で熱々の饅頭をその場で売り、食べ歩くスタイルが根づいたらしい。

当時20代前半だった私などは、中華まんをほおばりながら中華街を歩く人たちを見て「中華まんもすっかりファーストフードになったんだなあ」と感心し、ぼんやりと

この先、もしかしたらエビチリまんとかハンバーグまんとか餃子まんとかがフツーに出てくるのかもしれないなぁ・・・

などと思ったものである。

それから時は流れ、やはり中華まんの種類はとんでもないことになっていった。10年ほど前にはやっぱりエビチリ、ハンバーグ、餃子が登場。さらに進化してイカ墨、テリヤキチキン、チョコ、生キャラメル、チーズなどの中華まんが登場。今年はマロンまん、コーンポタージュまんなるものまで! 

すっかりスタンダードになったピザまんやカレーまんですら、登場した時はセンセーショナルだったものだが、今や中華まんの世界はスゴイことになっているようだ。

もはや「中華まん」と呼んでいいのかどうかすらわからない、国籍不明の複雑なまんじゅうたち。「インドカレーまん」なんていうと、いったいどこの国の食べ物なんだろうと混乱してしまう。

この先もおそらく、肉まんあんまんで育った私たちからすると「!?」な中華まんが登場することは間違いないのだろう。特に甘い系は、カスタードだのヨーグルトクリームだのイチゴだの抹茶あんだの・・・と、ますます広がりを見せると思われる。しょっぱい系は一応の落ち着きを見せているが、今年は流行りの麻辣味なんかも登場していて、まだまだ油断はできない。

ただ、中華街の饅頭もこれといった「定義」は存在しないらしく、肉まんひとつとっても、やれ椎茸を入れるべきだ、タケノコは欠かせない、玉ねぎの甘さがいいんだ、クワイの食感は大切・・・など、店それぞれのこだわりがある。

私たち夫婦の定番となっているのは「551蓬莱」の豚まんと「華正樓」の肉まん。551蓬莱は玉ねぎの甘さが心地よく、ほどよい大きさでペロッと食べられる。辛子をつけて食べるのが幸せ。華正樓はあんはもちろんだが皮がうまい。たまに「目黒五十番」の五目まんや角煮まんも買い求める。そういえば五十番の五目まんなんて、マッシュルームやうずらの卵、海老まで入っていて、肉まんなのかどうかさえも怪しいほどの充実度だ。

そう考えると、今登場している中華まんの数々を「邪道だ!」のひと言で片づけるのも乱暴だわなあ。まあ、おいしければいいんだよね。

さて、冬の名物・ほかほかの中華まんは、この先どこへ向かおうとしているのか。ニューウェーブ中華まんを試す勇気がなかなか起こらない中年夫婦ではあるが、たまには「勇者」になってみて、コンビニの新作中華まんにチャレンジしてみようか・・・。

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