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「ま.さ.お」で楽しむ落語のススメ

こんにちは真央(まさお)です。

芸能の秋。日本の大衆芸能といえば「落語」ではないだろうか。昨今の落語ブームによって身近なものに返り咲いてきたと聞くが、しかし周りの人たちに聞くとまだまだ落語を遠い存在に感じる人が多いようだ。

僕もミーハーな落語ファンではあるが、まだ落語を見たことがないという方に向けて落語の魅力と気楽に落語を楽しむ方法を紹介したい。

落語で大切な「ま.さ.お」

いきなり強烈な自己主張、スミマセン。ただ落語の面白さはこの「ま.さ.お」に全て詰まっているので、どうか気を悪くせずに読み進めてほしい。

落語は話で人を惹きつけ、楽しませる高等芸能だが、その根本には「型」が存在する。同じタイトルの話をしていても、話し手によって言い回しや内容が異なるが、そのベースには必ず共通の「型」がある。

まず開口一番にメインの話をしたりしない。最近の情勢だったり、身近に起きた出来事であったり、メインの話をする前の「つかみ」から入る。このことを落語では「まくら」という。

また落語は何も話術だけで話の全てを伝えるわけではない。手ぶりや身ぶり、着物の袖や扇子、手ぬぐいなどの道具を使って視覚的にも話が伝わるように表現をする「作法」がある。

そして話の最後にはこれまでの話をまとめ上げ、観客が思わず唸ってしまったり、笑ってしまうような「オチ」をつけるのである。

つまり落語の型とは「まくら」「作法」「オチ」であり、この型を守りながら噺家の独自性を出して観客を楽しませるのだ。

「まくら」「作法」「オチ」

要するに、「ま」「さ」「お」なのである。

この「型」は落語だけに限らず、一般の方が誰かに話をする時にも効果的なので、ぜひ普段の生活から「ま.さ.お」を取り入れてもらいたい。

気楽に落語を楽しむ おススメの方法3選

さてそんなまさおがおススメする、コアな落語ファンは絶対に勧めないであろう「気楽に落語を楽しむ方法」を紹介する。

1.新宿「末廣亭」の深夜寄席に行く

新宿三丁目の飲屋街の通りにある「末廣亭」は落語入門にはうってつけの場所だ。周囲の飲み屋に馴染みすぎていて、初見では目の前を通り過ぎてしまうかもしれない。

この末廣亭では毎週土曜21時30分から「深夜寄席」を開催しているのだが、なんと料金1,000円で観れるのだ。

噺家はまだまだ駆け出しの人ばかりだが、それでも十分に面白い。23時までの1時間30分を、1,000円で楽しませてくれるなんて最高のコストパフォーマンスだ。

(末廣亭内、土曜夜にも関わらず満席)


19時から近くの飲み屋で2時間程飲んで、落語を見て一緒に笑って、終電できっちり帰るデートなんて、お洒落で文化的で男前じゃないですか?!(実際にやったことはない)

なお実際にそういった不埒なカップルもいるので、落ちついてゆっくり落語を楽しみたい人には向いてないかもしれない。

2.ドラマ「タイガー&ドラゴン」を見る

「タイガー&ドラゴン」は、2005年にTBS系列で放送されていたドラマだ。落語をモチーフにしながら、虎児(長瀬智也)と竜二(岡田准一)の周辺を描く人情物語である。

何を隠そう、僕もこの「タイガー&ドラゴン」を見て落語にどハマりした。(ドラマから好きになるとか、ミーハー感丸出しで申し訳ないが、当時は録画したビデオに穴が空くほど見て、各話でモチーフになった落語は全て空で演じられたから許してほしい。)

大筋のストーリーは全編通して完結するタイプのドラマだが、各話でもさまざまな「落語のような物語」が展開される。ドラマの終盤には必ず、虎児がその回で展開された話と落語を織り交ぜた「ハイブリット落語」を披露して、物語にオチをつけて一話が終わる。

古典落語(古くから伝わる落語)は時代背景が現代と異なるため取っつきにくいが、「タイガー&ドラゴン」で披露される「ハイブリット落語」は全て現代の設定に置き換えられているため、分かりやすく落語の面白いエッセンスを直に感じることができる。

特に最終話の子別れ(子はかすがい)は家族愛に満ちた落語で、笑えるだけが落語ではないということを学び、衝撃を受けた。

3.映画「明烏」を見る

「明烏(あけがらす)」は勇者ヨシヒコなどを手掛ける福田雄一監督で、菅田将暉、吉岡里帆などが出演するコメディ映画。主題歌にはAlexandrosの「ワタリドリ」を起用しており、落語ファンでなくとも別方向からこの映画を知っている人はいるかもしれない。

タイトルの「明烏」は落語の演目であり、ストーリー全体もある有名な落語を題材にしている。福田監督の独特なギャグを散りばめつつ、落語の小ネタも盛り込まれているため、タイガー&ドラゴンとはまた違ったハイブリット落語を楽しむことができる。

末廣亭やタイガー&ドラゴンで落語慣れしてから見ると、より一層面白いだろう。


落語は生活の中にも溶け込んでいる

いかがだろうか?

今回の紹介でちょっとでも落語が身近になったら嬉しい。というか、既に落語は生活の中に溶け込んでいる。

トリをつとめる」も「ヨイショする」も「セコい」も全て落語が言葉のルーツになっている。もしかしたら自分が面白いと思っている話のオチも、落語が原典になっているかもしれない。

この秋は、ぜひ落語を楽しんでみてはどうだろうか。




とここまで酒を飲みながらスラスラと書き終えて、提出用のオンラインフォルダに保存する。

原稿から解放されて気分も良いので、冷蔵庫から新しい缶ビールを取り出す。仕事をしながら飲む酒も美味いが、仕事の後の酒はもっとうまい。パソコンでYouTubeを見ながら2本、3本と缶ビールが進む。


ガクッ。

デスクの椅子からずり落ちそうになって目が覚めた。どうやらいつの間にか寝てしまったらしい。

あれ、パソコン消してたっけ?

電源をつけ直し、念のためオンラインフォルダを開き、先ほど書き終えたはずの原稿を確認する。が、ない。書き終えたはずの原稿がない。慌てて担当に連絡するも、原稿はまだ確認していないという。そんな訳はない。なんのためのオンライン管理だ。

そこでハッとする。そうか、書き終えたと思っていた原稿は夢の中で書いていたんだ。いつも締め切りを守れない俺が、あんなにスラスラ書けるなんて現実ではありえない。

落胆しながらも、酒を飲んでいた自分が悪いと言い聞かせ、頭を抱えつつ改めて原稿を捻り出す。締め切りまで時間がない。もう酒を飲むのはやめようと心に誓いながら手を動かす。

締め切りギリギリになってようやく書き上げた原稿。滑り込みで担当に連絡をし、今度こそOKをもらった。ホッとしていると、続けて担当から連絡が届いた。

「実は原稿確認出来ていたのですが、いつもお酒飲んで締め切りを破ってばかりなので、少し意地悪をしてみました。スミマセン」

なんだよ!思わず机を叩きそうになったが、続くメッセージでその苛立ちは消えた。

「でも、改めて上がってきた原稿はいつもより良い仕上がりでしたよ!お疲れ様です。ゆっくりお酒飲んでください」

うーん、一杯食わされた。しかし担当の言う通りかもしれない。酒を飲まずに原稿と向きあって、いつもより良いものが書けた気がする。

いやはや、しかし慣れないことをして疲れたのも事実だ。無意識に、横にあった缶ビールを手に取り口に運ぶ。

「・・・止めとこう。また夢になるといけねえ。」


編集:円(えん)


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