【読書】シン・ニホンを読んで その1

今日は読書レビューです。
これからの数十年を考える指針となる本でした。

概要

書名 シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成
著者 安宅和人
発行 2020年
名著『イシューからはじめよ』の著者が書いた、これからの日本への処方箋のような本です。なんとなく気にはなっていて、手に取ってみました。


読み終えて

 なかなかの大作でしたが、専門用語はあまりなく、比較的スムーズに読み進めることができました。読み終えてみて、安宅さんのような頭のよい人が日本の将来をしっかりと考えてくださっていることに感謝しました。日本の行き先、私の見立てではどうしても暗い方向へ考えてしまうのですが、安宅さんはとてもポジティブな書きぶりだったのも印象的でした。
 勝手なイメージですが、こんなに能力も高い人ならば、さっさとこの老いた国を見限って、海外で悠々とした生活を送っていてもよさそうなものです。こういう人がちゃんと日本と、私たちの次の世代のことを考えてくださっているのだから、ちっぽけな自分も次の日本のために考えて、行動していかなくてはいけないと思えました。

安宅さんが一番言いたいこと

 安宅さんの主張を私なりに一言で表現すると

「来たる新時代に備えた人材育成・投資をしよう!しないと滅びるよこの国!」

 ということなのかな、と思いました。まずデータ×AI時代とはいかなるものかが簡単に述べられ、それに必要な人材(本書ではAI-readyな人材)の育成のために具体にどのような施策が必要か、かなり具体的な提言が記載されていました。確かにこのとおり進めば日本は世界と戦える「シン・ニホン」になれそうだ、という説得力のある文章でした。費用においても考察がされており、社会保障を大幅に削らずとも、少し資源の配分を変えるだけでシン・ニホンに生まれ変われる、というのが安宅さんの見立てでした。

私の見立て

 安宅さんの主張は裏付けのされた妥当なものです。が、この実現についてハードルはかなり高そうだ…と思いました。
 日本人がみんな安宅さんのような合理的思考のできる人間ばかりなら、すぐ変わることができるでしょう。しかし選挙の時なんかを思い返すと、人材育成や科学技術の振興について声高に叫んでいる政党・政治家はいたでしょうか。だいたいは「医療」「子育て」等々、生活にかなり密着した政策の実現ばかりです。票を集めるには、そういった身近な政策、自分に関係のある問題についての政策を訴えなければなりません。そして、そううたって当選したからには、必然的にそのような生活に密着した政策への投資や、その実現への主張をせざるを得ないでしょう。
 財源は有限ですから、生活に密着した部分への支出が増えると、当然どこかで財布を閉めないといけないわけです。現状、その「財布を占めている分野」の最たるものが、安宅さんが最も必要であると説いている人材育成、教育、科学技術の振興に係る分野の支出なのだろうと思われます。
 この状況が続くとジリ貧なのですが、

有権者・・・自分に身近な問題のことしか考えられない
被選挙人・・・有権者の興味をひく政策の実現を目指さねば、そもそも当選しない

という状況の中で、安宅さんのおっしゃるように財源の配分を変える、ということはかなり困難を極めるのではないか?と疑問がぬぐえません。
 しかしこんな批判や懐疑的な気持ちを持つばかりでだめなのは明らかなので、

日本に生きる私たちひとりひとりは、シン・ニホンの実現に向けてどうすればよいか?

ということを、今、考えています。また、別のnoteでまとめたいと思います。

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