【美術】おいしい浮世絵展

もう会期があまりないのですが、いろんな人が楽しめる展覧会だと思ったので、誰かに届けば・・・と、急いで記録を残します。

概要

表題 おいしい浮世絵展
場所 森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ内)
会期 9月13日まで(注意!)

浮世絵の展示なのですが「おいしい」ということで、食に特化した作品たちがずらりと並んでおります。

この日、実はサントリー美術館が主目的だったのですが、そのあと、ここまで来たら行ってやるか~!と急遽訪れました。

コロナ対策は万全で、日時予約制なこともあり、混雑もなかったです。

美味くて上手い展覧会

 この展示ですが、イベントとしてとっても上手いなあ…と感心しました。そう思わせる3つのポイントを紹介します。

・切り口が親しみやすい

 「食」って、割と好きな人、関心のある人が多いですよね。多くの人にひっかかる「食」という広いテーマと浮世絵を結び付けることで、すごく作品が頭に入ってきやすかったです。

 日本史の教科書に載っていた浮世絵は、あー、昔の作品だね・・・って印象だと思うのですが、この展覧会の作品は、うなぎを食べていたり、野菜の皮をむいていたり・・・と、自分とやってることが変わりません。作品が親しみやすいというか、すごく身近なものに感じられました。

・学びもある

 そんな親しみやすさもありながら、ただ「美味しそう」だけでは終わりません。食を通じて、当時の風俗や生活様式を学ぶことができます。例えば、初物が尊ばれるのは、初物を食べると寿命が延びると信じていたから、とか。スイカは今ほど甘くなくて、塩ではなく砂糖をかけて食べていた、とか。

今とやっていること変わらないなあ、と親しみを持ちつつも、今との違いや今の風習に続く知識をインプットすることができました。

また、当時の食の再現レシピも掲示されており、お、作ってみようかな!と思ったりしました。といっても、お餅にきなこと砂糖をまぶすとか、すごく簡単なものばかりです。

・見終わった後のお楽しみ

 さんっざん「おいしい」浮世絵を見たら、やっぱり食欲が刺激されます。そんな鑑賞者の気持ちを誘導するように、併設のカフェでは江戸時代の食事の再現メニューがいただけたようです(現在は終了)。
 
 今より大きなお寿司や、白玉スイーツなど。絵を見て昔に思いを馳せながら楽しみ、実際に舌鼓を打つ。私はカフェ利用はしませんでしたが、イベントとして完璧だー!と感心しました。フル参加すると結構なお金が飛びますが、きっと思い出に残る展覧会になるなあと思いました。

お気に入り作品

 お気に入り作品は次の2つです。

1.春の虹蜺(歌川国芳)

 著作権の関係もあるので、紹介している記事のリンクを貼りつけます。

 展覧会のサムネイルにも使われている、うなぎを食べる女性の絵ですが、実物はバックに虹がかかっています。

 浮世絵に虹ってなんだか珍しい感じがするのと、うなぎを口にしようとして虹にはっと見とれる女性がすごく生き生きと描かれていて、おもしろかったです。調べなおすと個人の所蔵作品のようで、もうなかなか目にする機会がないかも。見ておいてよかったです。

2.御庭の花あそび(歌川豊国)

こちらは所蔵元のページがありましたのでリンクを貼ります。

女性三人が、食べ物・楽器・酒をそれぞれ担いでどこかへ出かける様子。まるで居酒屋に飲みに行く若者のようで、すごく身近に思える作品です。心なしか表情も浮かれている感じ。

女性の衣装や背景もすごく細かく書き込まれていて美しかったです。こちらはポストカードがあったので購入しました。

味の素 食の文化センター

この展覧会、かなり多くの作品が「味の素食の文化センター」なるところから借りていたので、へえ、そんなところあるんだあと調べてみました。

味の素さんだけあって「食」に関わる作品や図書を収集し、公開しているようです。

・・・なんと!オンラインで楽しめる錦絵ギャラリーがあるではないですか!

こちらを見ると、おいしい浮世絵展、こんな感じなんだなあと少し体感していただけるかもしれません。
浮世絵がどれもいきいきしているし、絵の中の食べ物は美味しそうだし、見ていて楽しいです。

まとめ

江戸の生活を身近に感じた、楽しい展覧会でした。こんなに「楽しい」展覧会は、なかなかないかもしれません。
会期終了まであと1週間くらいですが、ぜひ行ってみてほしいです。

追記

後日、この展覧会とコンセプトがほぼ同じ本を見つけました。※本が出た方が前です。

復習にピッタリでしたので記録しておきます。

書名 浮世絵に見る江戸の食卓
著者 林綾野
発行 2014年

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