【映画】こんな夜更けにバナナかよ

久々に映画レビューをします!

概要

表題 こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
監督 前田哲
出演 大泉洋、高畑充希、三浦春馬 ほか
公開 2018年

障がい者像の転換

 大泉洋演じる主人公の鹿野さんは、今まで自分が障がい者に対して持っていたイメージとは全然違う人物でした。

 今までの障がい者のイメージは
・おとなしい
・引っ込み事案
・クリーン(悪いことや不健康なことをしていなさそう)
・家族といつも一緒

といったものでした。が、鹿野さんは

・よくしゃべる
・悪態をつく
・自己主張をする(時にワガママ)
・酒もタバコも嗜む
・恋をする
・ボランティアと一緒にどこへでも行く

以前、映画「37seconds」を見たとき以上に、ボランティアの助けを借りていること以外は自分と何も変わらない生活をされているな、と思いました。

この映画は実話ベースなのですが、実際の鹿野さんも、介護制度が整う前から自力でボランティアを募り、たくさんの人の手を借りながら自立生活を送っていたのだそうです。

人が生活していく上で、食べたいものを食べたいとか、好きなことをしたい、とか思うのは当たり前のことです。その実現のために、障がい者は人よりステップが多いですが、やる気さえあればやりたいことはできるんだな、と、鹿野さんを見て思わされました。

生きるって何だ

この映画を見て一番考えたのは、生きるとは何だ、ということでした。

鹿野さんは自力では寝返りすら打てません。生活のほとんどのことを、人に助けてもらう必要があります。私が今突然その立場になったら、何をするにも億劫になってしまいそうです。

でも鹿野さんは、そのあらゆる面倒を乗り越えて、自分のやりたいことをやって暮らしていました。アメリカに行くこと、徹子の部屋に出ること、という目標もありました。その、毎日を過ごすことへの貪欲な姿勢に生命力を感じました。生きる能力は自分よりかなり低いはずなのに、自分よりよほど生きることへの意欲が強いように感じられました。そして単純ですが、自分は自分の人生を生きているか?と内省しました。ここのところぽつぽつと無駄な時間を減らすよう努力はしていますが、もっと濃度の高い毎日を過ごしたい、と、鹿野さんを見て気持ちが新たになりました。

役者さんが光る

この映画は本当に役者さんが素晴らしかったです。特に主演の大泉洋さん。前から好きなのですが、今回も、本当にこういう人が良そうだな、と思わせてくれる演技でした。コミカルさとシリアスさのバランスが素晴らしかったです。

そしてヒロイン役の高畑充希さん。はじめは鹿野さんがむしろ嫌いだったのに、障がい者と健常者として、ではなく友達のように鹿野さんと打ち解け、信頼関係を築いていく様子をとても上手に演じられている、と感じました。鹿野さんへの態度の変化を、雰囲気で上手に表現している気がしました。今まで高畑充希さんのドラマや映画はあまり見たことがなかったのですが、これから注目したい女優さんになりました。

まとめ

障がい者に興味のある人もない人も、大いに楽しんで考えさせられる、良い映画でした。障がい者の鹿野さんをちっとも可哀そうに描いていなかったのが良いなあと思えました。
映画の前にノンフィクションの本が出ていたようなので、そちらも読んでみたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?