見出し画像

フィルムカメラを使う理由|僕を沼に引きづり込んだ6つのこと

EOS R5、X-T3を所有しているカメラマンです。その他、仕事ではSony A7シリーズも使ってました。

そんな僕は趣味でも写真を撮るのですが、最近使っているのは専らフィルムカメラ。

「仕事でデジタルを使ってるんだから、要は味変でしょ?」と思われてしまうかもしれません。確かにデジタルを使っていなかったらフィルムに走っていたかは分かりませんが、それでも今僕がフィルムを使っているのは、そこに良さや面白さを感じる”たくさんの理由”があるからです。

この記事ではそれらを紹介しつつ「なんとなくフィルムカメラに興味がある人」へむけて、フィルム沼から手招きしてみようかなと思います。


フィルムの魅力

1. ロマン

初っ端から離脱されそうな理由ですが「ロマンを感じる」って、日時生活でそう体験できるものではありません。

「ロマン」とは、一般的には夢や理想を追い求める心情や、そのような物語性・情緒を持つ作品や現象を指す言葉である。〜中略〜 日常生活においても、現実とは異なる理想的な世界や状況を夢見ることを「ロマンを感じる」と表現することがある。

weblio

世の中が、やれ瞳フォーカスだの、やれグローバルシャッターだのと熱心に語っている中(決してdisっているわけではありません)、1枚写真を撮るたびにワインダーをガリガリと巻いて、小窓を覗き「あと何枚かー」なんて思いながら撮影する体験。

非現実的…とまでは言いませんが、現代の技術から考えるとまぁ時代遅れな事をしているわけです。

そういった昔の技術を体験する事自体もそうですし、単純に半世紀も前に開発・製造されたカメラが今こうして動いているという驚き…。
そこにロマンを感じますよね。

ところで、「このEOS R5が50年後も使えているのだろうか…」と考えるとちょっと疑問。

2. 画質

フィルムはデジタルRAWのようにハイライトやシャドウを後処理で戻したり、色をガッと変えて雰囲気を作り出したりなんて事はできません。

フィルムにはフィルムの後処理もありますが、基本的にはフィルムの種類やレンズの質によって、撮影した瞬間に色味や明るさのバランスなどが決まってしまいます。
一見融通が効かないようですが、好みの雰囲気でバシッと決まった写真を見た時は「これはデジタルでは出せないんじゃないか」とさえ思ってしまうほどクセになります。

実際、フィルム(化学的要因)とレンズ(光学的要因)により作られた、つまりデジタル処理無しに作られた画質から抜け出せない人たちがいるからこそ、未だにフィルムが生き残っているのではないでしょうか。

ちなみにデジタルRAWで非現実的な世界を表現する人。あれはあれで「アート」「技術」ですよね。フィルムでは決して表現することのできない世界なので、全くの別物と思っています。某アニマルフォト系?Youtuberの王国の王様の写真はすごいですよね。キャラクター的に苦手なのですが、写真にはいつも感動させられます。

3. 技術

フィルムカメラ、とりわけオートフォーカスやオートAEが発達する前のカメラを使うと、カメラそのものの技術が向上する気がします。

デジタルとフィルムの1番の大きな違いは撮影時に画像を確認できるかどうかというところ。
フィルムは、撮影して現像するまで露出やフォーカスが合っているのかが分かりません。
また、現像して手元に写真が来た時には、それをどんな設定で撮ったかなんて覚えていないわけです。(メモしてる人も多いと思います)

そんな撮影をしていると、1枚1枚のカメラ設定に本当に気を遣います。でも闇雲にやっていても失敗していない根拠は持てないわけで、それではどうするかというと「フィルム 露出計算」とかで調べ始まるのです。

ここで僕が分かったのが、露出の考え方やフィルム感光の原理、つまりデジタルに助けられていた写真の基礎を勉強し直す必要があるという事でした。

この過程って、本当に自分の技術が上がってるなって実感するんです。今まで知ってた気になっていたことを改めて勉強して実践する。そんな楽しみ方ができるのもフィルムカメラの良さです。

4. スローな世界を生きる

ちょうどPanasonicやFujiやらが新しいカメラを発表した頃にこの記事を書いていますが、最新機種の情報を追うことに疲れた人はいませんか?…僕以外に。笑

「そんな機材じゃ良い写真取れないでしょ。」

「やっぱりちゃんと写真撮るならフルサイズじゃないと。」

幸運にも僕はこういうのに出会った事は無いのですが、ネットではよく被害報告を見かけます。

また自分の経験として、何でか分かりませんが新しいレンズの情報とかが入ると、「次はあれが欲しいな」「この単焦点があればこんな写真取れるのになぁ」とかに目が奪われていくんですよね。
撮れない写真の事ばかり考えても意味がないのに。

そこで気が付いたのが、カメラの情報を追いかけるのって疲れるなってこと(笑)。時代の流れに付いていけてないんでしょうか。。。

一方フィルムカメラはそんな悩みはありません。フィルムカメラは基本的に30〜50mmの単焦点で撮る人が多いと思いますが、それはズームレンズなんてものが無いor使い物にならない時代だったからです(偏見)。

僕の持ってるMamiya645なんて独自マウントで使えるレンズは片手で数えられる程度(実際にはもう少しあるが、実用的な焦点距離として)。レンズ沼どころか底が見える道端の側溝レベルです。レンズ側溝です。

選択肢が少ない分、余計な事を考えなくて済むのはいいですよね。
今持ってるカメラと真剣に向き合って、自分はどんな写真を撮りたいのか。
写真は撮ってなんぼ!

まぁ、これは人それぞれですね(笑)。

5. いろんなフィルムを試す楽しみ

フィルムが高い、富士のフィルムは生産終了した?!などといえど、ありがたいことに世の中にはまだたくさんのフィルムがあります。このフィルムで撮ったらどうなるのか、あれこれ変えて楽しめるものフィルムの良さ。
デジタルでピクチャー設定を変えるのが好きな人なら絶対ハマると思います。

ただ、使ってるとすぐに自分のお気に入りは決まってきますが。

6. 自家現像と暗室という楽しみ方

別記事にもしましたが、最近自家現像を始めました。薬品とかいろいろ使って実験室のようです。めんどくさいと言われればそれまでですが、実験とか好きな人はハマるんじゃないですかね。

また、暗室プリントと言ってフィルムから印画紙に像を焼き付けることを自宅でやっている方もいます。

ストレンジャーシングスとかで赤いランプの部屋で写真をやってるシーンわかる人いますか?あれですね。

僕はまだ暗室プリントには挑戦していないわけですが、すでに6つもフィルムが楽しい理由を挙げているにもかかわらず、まだ未知の世界があるわけですね。本当に深い。

こんな人には向かない。フィルムカメラ

最後に「こんな人には向かないよ」ってところを書いて、一応中立性のある記事としておきます。

エモい写真が欲しい人

いわゆる最近の流行りです。モデルさんやらインフルエンサーの方たちがSNSにアップして流行っているやつですね。それこそ、オールドコンデジが流行っているようなので、フィルムよりもそっちがおすすめ。
なぜなら、上記であげた通りフィルムカメラが楽しい理由は撮影から現像までを含めた一連の流れだと思うからです。
完成物としての写真を手早く入手したい人にとっては、このスピード感はデメリットでしかないと思います。

目立ちたくない人

各社フラグシップ機サイズのカメラ+三脚を立てて使っていればデジタルでも普通に目立ちますが、フィルムカメラ、とくに二眼レフとか使ってると「なんだあのカメラは!」って見られてる気がします(あくまで撮影者として、見られてる気がするだけ)。
「そんなの誰も気にしてないよ」って思える人、もしくは「ドヤっ!」って思える人であればいいですが、「なんか見られてる気がして恥ずかしい…」って思うのであればフィルムカメラは向いてないです。

僕もRB67を持ち歩いてる時はちょっと恥ずかしかった…。

それくらい?意外と思いつかなかった。

まとめ

今の時代にフィルムカメラを手に取るハードルは本当に高いと思います。また、すべての人がフィルムの支出を無視できたり自家現像を楽しめたりするわけでもないと思います。

ただ、これだけデジタルが主流になっている世の中でもフィルムが死んでいない理由を考えれば、一度は試す価値はあるのではないでしょうか。

”カメラが好き” ”写真を撮ることが好き”な人であれば、一度は体験してもらいたい趣味、それが「フィルムカメラ」なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?